日銀短観はアンケート調査
日銀短観(全国企業短期経済観測調査)とは、全国の企業動向を的確に把握し、金融政策の適切な運営に資することを目的に、日本銀行が四半期ごとに実施するアンケート調査です。
毎年 3、6、9、12 月に調査を実施し、原則、それぞれ 4 月初、7 月初、10 月初、12 月央に調査結果を2 日間に分けて公表しています。
調査項目は、業況や販売価格・仕入れ価格などの判断項目、企業の年度計画、物価全般の見通し、新卒者採用状況など。調査対象企業は、規模別、業種別、製造業・非製造業別で区分されます。
日銀短観の特徴は?
日銀短観の特徴としては、判断項目では、現状(回答時点)の業況と先行き(3カ月後)の業況について、3 つの選択肢の中から回答を求めている点です。
特に、業況判断では、「良い」、「さほど良くない」、「悪い」の3 つの選択肢から、DI(ディフュージョン・インデックス)を指数化して算出しており、業況判断DIとして企業の景況感が時系列的に迅速に反映されます。
業況判断DIは、業況が「良い」と思う企業の割合から、「悪い」と思う企業の割合を差し引いて求めます。DIがプラスなら「良い」とみる企業が多い、DIがマイナスなら「悪い」とみる企業が多いということを示しています。
好況時には強気に、不況時には弱気に傾きやすいというバイアスはあるものの、現状と見通しについての企業の率直な感覚が把握できる点が特徴です。
アンケート調査から結果公表までの期間が比較的短く、調査対象も広い点などが、マーケット関係者やアナリスト、エコノミストなどが注目する理由です。
DIで景気の体感温度を知る
DIが増加傾向か減少傾向かの方向性を見ることによって、景気の流れが判断できます。例えば、業況判断 DI が天井を打つと景気後退局面入り、底を打つと景気上昇局面入りと解釈できます。
前述のような傾向を踏まえれば、景気の体感温度を知ることができます。
ただし、DI の水準そのものは景況感に依存するため、一定のレベルを超えると行き過ぎと捉えるべきではありません。現実に、1980 年代までは DI の水準は高く、1990 年代以降は水準が下がっています。
株価との関係やさまざまな経済環境を分析できる
判断項目において、規模別や業種別に分析することも可能ですし、その他の項目を利用することにより、収益、費用、利益、設備投資、資金調達、雇用などのさまざまな細かい経済環境を分析することも可能です。
株価との関連では、大企業製造業業況判断 DI よりも、株価には先行性が認められます(下記図表)。従って、景況感の確認指標として利用するか、DI の上か下かへの反転によって既に反転している株価トレンドを確認するという使い方になるでしょう。