【相場で利食いが上手くなる?】

目標株価を算出する方法

株式投資において利食いが上手くなる方法をかんたんな計算方法を使って解説します。株式投資で目標株価を算出する方法はいくつかあります。

 

ファンダメンタルズ分析では、企業業績の側面から使われる代表的な投資尺度に「PER(株価収益率)」があります。PERは株価がEPS(1株当たりの純利益)の何倍まで買われているかをみるもので、株価÷EPS で割って求めます。

 

PERは業種によって平均値が異なりますし、成長性が高いと評価される企業のPERは高くなる傾向があります。相場の地合いによってもPERの許容される範囲が異なることもあるでしょう。一般的には企業の業績が上向き、EPSが上昇した際に株価も従来のPER水準になるまで上昇するといった目標株価の捉え方が実務的ではないでしょうか。

 

一方、テクニカル分析では、フィボナッチ比率など用いて上昇相場や下落相場の反発ポイントや反落ポイントを見極める手法があるほか、今回以下で取り上げる一目均衡表の4つの基本計算などが一般的で人気が高いといえましょう。


一目均衡表の4つの基本計算

一目均衡表の理論において、波動論、水準論、時間論という3大骨子があります。その中の水準論で紹介されているのが、「N計算値」「V計算値」「E計算値」「NT計算値」の4つの計算方法です。以下、4つの計算方法を紹介します。

 

V計算値

「倍返し」といわれる計算方法です。左の上昇相場のケースでいくと、価格の中心点を高値Bにおき、安値Cまでの下げ幅を高値Bに加えた水準を目標値と考えます。半分のポジションの利食いの目標値ともいわれています。

N計算値

左の上昇相場のケースではいくと、価格の中心点を安値Cにおき、それまでの上げ幅と同値幅を安値Cに加えた水準を目標値と考えます。

E計算値

左の上昇相場のケースでいくと、価格の中心点を高値Bにおき、それまでの上げ幅と同値幅を高値Bに加えた水準を目標値と考えます。全ポジションの利食いの目標値ともいわれています。  

NT計算値

左の上昇相場のケースでいくと、価格の中心点を安値Cにおき、安値A から安値Cまでの安値切り上げ幅を、安値Cに加えた水準を目標値と考えます。主に週足に用います。

野村ホールディングスのV、N、E計算値

以下の図表は、実際の野村ホールディングス(8604)の日足チャートの水準論の例です。安値Cが前の安値Aから切り上がったのを確認できるのは、高値Bを上回った時です。高値Bを上回る以前の段階で、以下の4つの計算値が予測できます。

 

安値Aから高値Bまでの上げ幅と高値Bから安値Cまでの下げ幅の二つの値幅を基に、E、V、N、NTの4計算値を求めることができます。

 

V計算値は、高値Bに高値Bから安値Cまでの下げ幅63.8円を加えると、662円が算出できます。N計算値は、安値Cに安値Aから高値Bまでの上げ幅135.7円を加えると、671円が算出されます。E計算値は、高値Bに安値Aから高値Bまでの上げ幅135.7円を加えると、735円が算出されます。NT計算値は、安値Aから安値Cまでの切り上げ幅を安値Cに加えることで算出できますが、安値Cと安値Aの距離が短いと高値Bに到達しないことがあります。

指数は終値ベース、個別株では取引時間ベースを使う

4つの基本計算は、短期・中期・長期波動において、全て考え方は同じでです。インデックス(指数)は終値ベース、個別銘柄は取引時間ベースを使用します。

 

4つの基本計算のほか、4つの中でそれぞれの計算値の中値をとる方向や、別の応用計算もあります。まずは今回の4つを押さえておくと、大まかな利食いのメドを想定することができるでしょう。



日本株情報部 チーフストラテジスト

東野 幸利

証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。 マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。世界主要指数や個別株を対象にテクニカル・ストラテジーの提案。 日経CNBC「夜エクスプレス」、日経チャンネル「マーケッツのツボ」、テレビ東京「モーニングサテライト」、ラジオ日経(金曜後場マーケットプレス)など 会社四季報プロ500、ダイヤモンド・ザイ、日経マネー、株主手帳など 金融機関向けコラム「相場一点喜怒哀楽」 IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA) 日本テクニカルアナリスト協会理事 CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務) DCアドバイザー(確定拠出型年金教育・普及協会)

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