効率的市場仮説とは
米国の経済学者ユージン・ファーマ(Eugene Fama)氏が提唱した効率的市場仮説は、あらゆる情報は瞬時に正確かつ同時に全ての投資家に行きわたり、その瞬間において投資家らの合理的な取引行動によって全情報は市場価格に織り込まれる。その結果、特定の投資家が恒常的に市場平均を上回る収益を得ることはできない、という学説です。
この学説は、長期にわたる株価の変化、投資信託の運用成績や株価指数の騰落を比較した研究結果などを根拠に、1970~80年代に米国で広く支持を集めました。
ファンドマネジャーが積極的に運用するアクティブ運用で情報収集や銘柄選択にかかる費用は無駄であり、指数等に連動するパッシブ運用のほうが効率的である。こうした論理から、株価指数の構成銘柄で組成されたインデックスファンドが登場したといわれています。
効率的市場仮説は市場価格に反映される情報のレベルに応じて3つに分類されます。
ウィーク型
過去の市場価格の値動きや出来高などの実績値を分析しても、今までの情報は全て現在の市場価格に反映されているため、将来は予測できない。
つまり、過去の値動きを分析するテクニカル分析の有用性を否定しています。
セミストロング型
過去の実績値のみならず、財務指標などの公開情報も全て現在の市場価格に反映されているため、将来予想には何の役にも立たない。
つまり、企業業績や公開情報を分析するファンダメンタルズ分析の有用性も否定しています。
ストロング型
過去の実績値や財務指標などの公開情報のみならず、未公開情報であっても全て現在の市場価格に反映されているため、将来予想には何の役にも立たない。
つまり、インサイダー情報も収益機会にならないことを示しています。
現代は行動ファイナンスや金融工学が発展
一方、現代では、行動ファイナンスや金融工学の研究が発展しています。また、金融市場にはアノマリー投資や割安株効果、リターン・リバーサル効果などを狙ったいろんなスタイルと投資家が存在します。
効率的市場仮説には、「あらゆる情報は瞬時に正確かつ同時に全ての投資家に行きわたる」「投資家は合理的に取引行動する」という前提条件がありますが、投資家が常に合理的に行動するのであれば、心理状況に左右されるバブルや暴落は起こりうるのかどうか。これらが繰り返し起こるのは、市場が効率的でない証拠であるといえます。