【ローソク足の複数足分析~切り込み線とかぶせ線】

複数足とは? 

ローソク足から相場を観測する場合、最初は1 本の足からその強弱を読み、次に2本以上の組み合わせによる複数足分析で、より精度の高い相場の勢力や方向性を探ることが望ましいといえます。


組み合わせ足にはそれぞれに「呼び名」がついています。今回は、前回までの「包み線」「はらみ線(足)」に続いて、「切り込み線」と「かぶせ線」を説明します。


2本の足(線)の行き違い

実体の長さや上下のヒゲの長さがあまり大きく違わない2本のローソク足で、前日は陰線で当日は陽線、あるいは前日は陽線で当日は陰線という組み合わせになることはよくあります。


これらは、前日の動きを打ち消す形になるので、注目に値する動きです。2本のローソク足の上下関係や重なる部分の割合、あるいは2本のローソク足の距離によってさまざまな名前が付けられています。行き違う2本のローソク足の始値・高値・安値・終値を合成して1本のローソク足にすると、上ヒゲもしくは下ヒゲの長い足となります。


切り込み線

大陰線が出現したあと、前日の売り人気が続く中で大きく下寄りしたものの、予想に反して下げ渋ったパターンです。当日の終値が前日の大陰線の実体の中心部分より上まで切り返して引けた足を「切り込み線」といいます(図表1)。前日までの売り人気に逆らっての急上昇は相場の変化を暗示します。この2本のローソク足を1本のローソク足に書き直してみると、下にたくったような下ヒゲ陰線となり、相場の下位で出現した場合は買い転換を暗示します。



かぶせ線

大陽線が出現したあと、前日の買い人気が続く中で大きく上寄りしたものの、伸びきれないで反落するパターンです。当日の終値が前日の陽線の実体の中心以下まで下落して引けた陰線を「かぶせ線」といいます(図2)。前日までの買い人気に逆らっての急反落は相場の変化を暗示します。この2本のローソク足を1本のローソク足に書き直してみると、上ヒゲ陽線となり、相場の上位で出現した場合は売り転換を暗示します。


図3は、オリエンタルランド(4661)の日足チャートです。かぶせ線が上位で示現した後、短期的に下げ渋る動きもみられましたが、結局は下落相場につながったのが確認できます。急落後、陽線はらみ足で底打ちサインとなりました。


図4は、日本製鉄(5401)の日足チャートです。下降相場は切り込み線で底打ちとなり、いったん戻したあとの下落局面では陽線はらみ足で買い転換したことがわかります。


日本株情報部 チーフストラテジスト

東野 幸利

証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。 マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。世界主要指数や個別株を対象にテクニカル・ストラテジーの提案。 日経CNBC「夜エクスプレス」、日経チャンネル「マーケッツのツボ」、テレビ東京「モーニングサテライト」、ラジオ日経(金曜後場マーケットプレス)など 会社四季報プロ500、ダイヤモンド・ザイ、日経マネー、株主手帳など 金融機関向けコラム「相場一点喜怒哀楽」 IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA) 日本テクニカルアナリスト協会理事 CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務) DCアドバイザー(確定拠出型年金教育・普及協会)

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