アナログ・デバイセズが上場来高値更新

先週の米国株は高安まちまち ナスダックが反発も、ダウ平均が3週続落し、S&P500も2週続落


先週の米国市場では、ダウ平均が0.1%安と小幅に3週続落し、S&P500も0.3%安と2週続落した一方、ナスダック総合は0.6%高と反発しました。


米1月消費者物価指数(CPI)や米1月生産者物価指数(PPI)、米1月小売売上高などが総じて強い結果となり米10年債利回りが上昇したことや、

ブラード米セントルイス連銀総裁など米連邦準備理事会(FRB)高官から金融引き締めに積極的なタカ派発言が相次ぎ、利上げの長期化見通しが強まったことも米国株の重しとなりました。


アナログ・デバイセズが上場来高値を更新


終盤戦を迎えた米企業の第4四半期決算は、先週はS&P500採用の63銘柄が発表し、そのうち67%の42銘柄で調整後一株当たり利益が市場予想を上回りました。


決算や見通しが好感されたウエスト・ファーマシューティカル、エコラボが2桁高となったほか、パラマウント・グローバル、ゾエティス、アナログ・デバイセズ、シスコ・システムズなども7-9%上昇しました。


一方、決算が予想を下回ったデボン・エナジー、オルガノンが2桁安となり、アカマイ・テクノロジーズ、CFインダストリーズ、ホスト・ホテル・アンド・リゾーツ、マラソン・オイルなども決算が嫌気され5-9%下落しました。


半導体製造のアナログ・デバイセズは予想を上回る決算や強い見通しなどが好感され、株価は1年3カ月ぶりに上場来高値を更新しました

 


予想を上回る決算や強い見通しを好感


アナログ・デバイセズが2月14日引け後に発表した2023年度第1四半期(11-1月)決算は、売上高が前年同期比21%増の32億5000万ドルとなり市場予想の31億5100万ドルを上回りました。

純利益が同37%増の14億600万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は2.75ドルと市場予想の2.60ドルを上回りました。


部門別の売上高は、消費者部門が前年同期比5%減の3億5300万ドルとなりましたが、産業部門が26%増の16億9000万ドル、自動車部門が29%増の7億1800万ドル、通信部門が18%増の4億8800万ドルと2桁の増収でした。


同社の半導体は再生可能エネルギーや電気自動車などのクリーンエネルギー関連分野で幅広く使用されており、産業部門や自動車部門の好調が続きました。



強い見通しも好感されました。アナログ・デバイセズは第2四半期(2-4月の)の売上高見通しを前年同期比7.7%増の32億ドルとし、アナリスト予想の30億3000万ドルを上回りました。


2023年度通期では売上高が前年比74%増の127億1000万ドル、純利益が同109%増の54億2300万ドルと、2022年度の114%増、174%増から伸びが鈍化するものの、大幅増収増益が続く見通しです。


 


決算や強い見通しが好感され、株価は15日の取引で一時、前日比13.87ドル高(+7.6%)の196.41ドルまで上昇し、13.64ドル高(+7.5%)の196.18ドルで終了。

2021年11月に付けた高値191.94ドルを上回り、1年3カ月ぶりに上場来高値を更新しました。

週間では8.0%高となり、年初来では17.5%高となりました。


2022年からのパフォーマンスをフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)と比較すると、SOX指数が24%下落したのに対し、アナログ・デバイセズは9.4%高となりました。



国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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