スイスフラン(CHF)
スイスの通貨であるスイスフラン(CHF)は欧州連合(EU)統一通貨ユーロが誕生した後も、その独自の地位を維持しています。国際社会における永世中立国スイスの地位を背景に、その安定性や信頼性から「金よりも堅い」と評されることもあります。
戦争などの有事や金融危機などの際には長らく円などと共に「安全資産」「避難貨」とも呼ばれました。外国為替市場における取引量は、ドル・ユーロ・円・ポンドに次ぐ取引規模を有し、また国際決済通貨のひとつであるため、自国の通貨が不安定な国家では世界との貿易にドルに代わってCHFが使われることも多いです。
CHFは強い
昨年はトランプ米大統領の政策に対する市場の不信感が高まり、米国売りの動きが見られました。近年は世界情勢の不安や、地政学リスクの高まりが続いていることもあり、逃避通貨のCHFは堅調な動きを続けています。今回の米・イスラエルがイラン攻撃もCNHの初期反応はCHFでした。「有事のドル買い」が鮮明になっていることや、スイス中銀がCHF高へのけん制を示したことで伸び悩んだが、堅調地合いを維持しています。
CHF円

ドル/CHF

かつて2大安全通貨としてならしたスイスフランと円だが、今では残酷なまでに差がついています。円は他の通貨よりも安く、先進国最弱の通貨になっているのに、なぜCHFは最強通貨の座を維持しているのでしょうか。
なぜCHF高・円安?
スイス経済が決して絶好調というわけでもなく、金利もゼロ近辺まで引き下げられています。低金利は通貨安の要因ですが、CHFは堅調です。その背景には実質金利と国の構造の強さもあります。スイスの実質金利はマイナス幅が小さく、日本の方が物価上昇に対して金利が低すぎる状態にあります。また、スイスは医薬品・精密機器など高付加価値の輸出が中心で、通貨高でも競争力が落ちにくく貿易黒字が続いています。政府の純債務残高もGDP比で極めて低く、財政への信認が高い点も海外マネーを呼び込んでいます。
一方の日本は貿易赤字が続き、財政への信認が揺らいでいます。かつて円はCHFと並び「安全通貨」と呼ばれたが、現在は記録的な円安と物価上昇が重なり、地政学リスクや株価調整局面でも円が買われず、輸入コストだけが増える状態です。円が安全通貨としての地位を回復できるかは、今後の成長戦略と財政運営にかかっています。
CHFを取り巻く環境
スイスは長年にわたる政治的中立性と安定した民主主義制度で、投資家に安全な投資環境を提供しています。また、慎重な経済政策と堅固な財政規律も、スイスの魅力をさらに高めています。
金融政策は慎重な金融政策アプローチで知られ、低金利を維持し、必要に応じて為替市場への介入を行い、スイス国立銀行(SNB)は過度の変動を防ぎ、物価の安定を確保することを目指しています。財政政策に関しては、均衡した予算と低い公的債務を維持し、フランの安定性を強化しています。
また、スイス経済は、低い失業率、高い一人当たりGDP、そして充実した銀行セクターを特徴とし、世界でも最も安定した経済の一つとなっており、通貨高につながる好環境とも言えます。




