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第187回 スイスフラン、なぜ強い

スイスフラン(CHF)

スイスの通貨であるスイスフラン(CHF)は欧州連合(EU)統一通貨ユーロが誕生した後も、その独自の地位を維持しています。国際社会における永世中立国スイスの地位を背景に、その安定性や信頼性から「金よりも堅い」と評されることもあります。

 

戦争などの有事や金融危機などの際には長らく円などと共に「安全資産」「避難貨」とも呼ばれました。外国為替市場における取引量は、ドル・ユーロ・円・ポンドに次ぐ取引規模を有し、また国際決済通貨のひとつであるため、自国の通貨が不安定な国家では世界との貿易にドルに代わってCHFが使われることも多いです。

 

CHFは強い

昨年はトランプ米大統領の政策に対する市場の不信感が高まり、米国売りの動きが見られました。近年は世界情勢の不安や、地政学リスクの高まりが続いていることもあり、逃避通貨のCHFは堅調な動きを続けています。今回の米・イスラエルがイラン攻撃もCNHの初期反応はCHFでした。「有事のドル買い」が鮮明になっていることや、スイス中銀がCHF高へのけん制を示したことで伸び悩んだが、堅調地合いを維持しています。

CHF円

 

ドル/CHF

 


かつて2大安全通貨としてならしたスイスフランと円だが、今では残酷なまでに差がついています。円は他の通貨よりも安く、先進国最弱の通貨になっているのに、なぜCHFは最強通貨の座を維持しているのでしょうか。

 

なぜCHF高・円安?

スイス経済が決して絶好調というわけでもなく、金利もゼロ近辺まで引き下げられています。低金利は通貨安の要因ですが、CHFは堅調です。その背景には実質金利と国の構造の強さもあります。スイスの実質金利はマイナス幅が小さく、日本の方が物価上昇に対して金利が低すぎる状態にあります。また、スイスは医薬品・精密機器など高付加価値の輸出が中心で、通貨高でも競争力が落ちにくく貿易黒字が続いています。政府の純債務残高もGDP比で極めて低く、財政への信認が高い点も海外マネーを呼び込んでいます。

 

一方の日本は貿易赤字が続き、財政への信認が揺らいでいます。かつて円はCHFと並び「安全通貨」と呼ばれたが、現在は記録的な円安と物価上昇が重なり、地政学リスクや株価調整局面でも円が買われず、輸入コストだけが増える状態です。円が安全通貨としての地位を回復できるかは、今後の成長戦略と財政運営にかかっています。


CHFを取り巻く環境

スイスは長年にわたる政治的中立性と安定した民主主義制度で、投資家に安全な投資環境を提供しています。また、慎重な経済政策と堅固な財政規律も、スイスの魅力をさらに高めています。

 

金融政策は慎重な金融政策アプローチで知られ、低金利を維持し、必要に応じて為替市場への介入を行い、スイス国立銀行(SNB)は過度の変動を防ぎ、物価の安定を確保することを目指しています。財政政策に関しては、均衡した予算と低い公的債務を維持し、フランの安定性を強化しています。

 

また、スイス経済は、低い失業率、高い一人当たりGDP、そして充実した銀行セクターを特徴とし、世界でも最も安定した経済の一つとなっており、通貨高につながる好環境とも言えます。

この連載の一覧
第187回 スイスフラン、なぜ強い
第186回 中東情勢に主要通貨の反応
第185回 経常収支の黒字は過去最大も、円安続く
第184回 中国・全人代、3月5日に開幕
第183回 ドル円、ドルの信認低下も重し
第182回 トランプ関税圧力と加ドル
第181回 円相場のカギは日本国債
第180回 2026年世界10大リスク-米調査会社
第179回 25年の中国貿易黒字、初の1兆ドル超え
第178回 金の台頭、ドルの支配に影響
第177回 人民元は堅調
第176回 FRB、来年の政策運営はなお不透明
第175回 円安、結局は再び介入との勝負か
第174回 円安、メリットとデメリット
第173回 実質為替レート 1ドル=270円
第172回 インフレと円安
第171回 予算案控え、慌ただしい英政府
第170回 トランプ氏、米中をG2と表現
第169回 ヘッジファンド資産、過去最高
第168回 通貨スワップ協定
第167回 カナダ経済は厳しい
第166回 自動売買のメリット・デメリット
第165回 FX活用の為替ヘッジ
第164回 利下げ再開、米経済は?
第163回 市場とFRB、来年以降の見通しにかい離
第162回 自民党総裁選と金融市場
第161回 英国の財政懸念
第160回 FRB理事の解任騒動
第159回 11人の次期FRB議長候補
第158回 「基調的な物価上昇率」
第157回 中国の政策金利
第156回 今年後半の米経済
第155回 日米合意、今後のドル円は?
第154回 トランプ氏、人民元の影響拡大の引き立て役になるか
第153回 香港ドル、キャリー取引が活発化
第152回 英国でもトリプル安
第151回 中東リスクに円買いではなくドル買い
第150回 悪いドル安
第149回 FX、マイルールを徹底
第148回 FX詐欺の手口
第147回 信認低下のドル、売り圧力が継続
第146回 半導体を制するものが世界を制する
第145回 米中会談、過度な期待は禁物
第144回 加ドル、米加首脳会談に注目
第143回 日米協議、円安是正に一安心も警戒残る
第142回 関税方針、トランプ氏の正念場
第141回 トランプ氏の脅かし、中国には通用しない
第140回 トランプ関税、ポンド相場への影響
第139回 RBA、追加利下げは5月か
第138回 英中銀、慎重な利下げペース維持
第137回 ドイツの大規模な財政拡大策
第136回 中国、今年GDP成長目標を5%前後に
第135回 米消費者信頼感指数、消費鈍化を示唆
第134回 リーダー不在のEU
第133回 各国中銀の利下げも、トランプ関税効果を薄めるか
第132回 円と加ドル、IMMポジションの変化
第131回 FX取引、投資詐欺に注意
第130回 FX、リスクも把握した上で取引を
第129回 トランプ氏VS中国
第128回 トランプトレードはいつまで続くか
第127回 ポジションの手仕舞い
第126回 今年最後の日米金融政策会合
第125回 中国景気、改善傾向もトランプリスク高まる
第124回 尹韓国大統領の戒厳令騒動
第123回 ポジションの管理
第122回 ドル円、160円台復帰はあるか
第121回 AI・FX取引
第120回 FX取引はギャンブルなのか
第119回 FXの確定申告
第118回 元キャリートレードの復活に注意
第117回 ドル円 8/1以来の150円台
第116回 ポンド、雇用・物価データの見極め
第115回 中国、景気支援策を強化
第114回 自民党総裁選、サプライズの結果に
第113回 景気回復が鈍いままの中国経済
第112回 最近の円相場、スキャルピング手法が有利か
第111回 最近主要国の金融政策(4)
第110回 最近主要国の金融政策(3)
第109回 最近主要国の金融政策(2)
第108回 最近主要国の金融政策(1)
第107回 投機筋、2週間以内での勝負多い
第106回 トランプVSハリス
第105回 来週の日銀会合、利上げは?
第104回 イベント・材料の認識から消化まで
第103回 経済指標の基本知識
第102回 勝つために情報本質の見極めは大事
第101回 押し目買いの罠
第100回 円安・円高の影響
第99回 円キャリートレードは正念場
第98回 ドル・ブル=ドル買いではない
第97回 ドル円 200円になったら
第96回 デイトレードの基本は順張り
第95回 ドル円、どこに向かうのか
第94回 FX、初心者に多い失敗例
第93回 本間宗久が残した相場の極意
第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
第89回 RBNZ政策金利とNZドル円
第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
第83回 英中銀とMPC
第82回 ECBと理事会
第81回 FRB 、FOMC
第80回 人民元の基準値
第79回 円キャリートレード
第78回 日銀、1月会合でマイナス金利解除を見送るか
第77回 ドル円 ゆく年くる年(2)
第76回 ドル円 ゆく年くる年(1)
第75回 ポジションの偏り
第74回 ユーロ圏、厳しい財政ルール
第73回 米国の双子の赤字、ドル相場への影響は?
第72回 日本の貿易収支
第71回 国際収支と為替(2)
第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
第67回 FX、時間軸視点も大切
第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
第64回 米大統領選とドル相場
第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
第56回 FXトレードスタイル(3)
第55回 FXトレードスタイル(2)
第54回 FXトレードスタイル(1)
第53回 近年の相場の軸足
第52回 FX相場の軸足
【第51回 ドル・ユーロ・円、3大通貨に注目】
【第50回 FX、取り組みのタイミング】
【第49回 大局観下でのアプローチ】
【第48回】大局観、身につけよう
【第47回】FX取引の投資資金
第46回 相場と真摯に付き合う
第45回 金相場と為替
第44回 うわさで買って、事実で売る
第43回 原油相場と為替
第42回 金利差拡大ならお金は金利の高い国へ
第41回 貿易収支と為替相場
第40回 米国、なぜドル高にこだわるのか?
第39回 景気と為替相場
第38回 先物市場で投機筋の動きを把握
第37回 米SVB経営破綻の為替相場への影響
第36回 インフレと為替
第35回 FX、最強の参加者は?
第34回 為替レートの安定は為替ディーラーに不利なのか?
第33回 FXの自動売買取引
第32回 注目度の高い米雇用統計
第31回 リスクオン・リスクオフ取引
第30回 注目度の高い経済指標
第29回 アフリカの人気通貨 南アフリカ・ランド
第28回 安全資産・逃避通貨のCHF
第27回 2023年の為替相場
【FX、やるならお得に】第26回 年末年始の取引に注意
【FX、やるならお得に】第25回 急落で魅力低下の高金利通貨(トルコリラ)
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【FX、やるならお得に】第12回 FXはゼロサムゲーム?
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【FX、やるならお得に】第2回 そもそも為替って何?
【FX、やるならお得に】第1回 敵知らずして勝利なし!

為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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