気になるテーマ解説

国土強靭化に20兆円!

日本は言わずもがな災害大国です。毎年のように台風の被害が各地で発生し、突然起こる地震にも常に警戒しなければなりません。火山が大規模に噴火した際の被害想定も甚大です。陸海空、何かしらの天災と隣り合わせの日本ですが、高度経済成長期に整備されたインフラもボロボロです。


その都度、政府はインフラ整備や補修に予算を投じていますが、令和8年度から令和12年度までの5年間を対象とする「第1次国土強靱化実施中期計画」が始まります。大きな投資テーマとなりそうなので、今回はこの計画についてみていこうと思います。


第1次国土強靱化実施中期計画とは

この計画は、防災・減災と国土強靱化の取り組みを切れ目なく進めることを目的に、令和5年6月の国土強靱化基本法改正を受けて策定されました。単に災害発生後の復旧を急ぐのではなく、平時からインフラや地域の備えを強化し、被害そのものを抑えることがポイントです。


 


未然防止する方が事後対応よりもコストも抑えられ、同時に安全性を高められますね。また、この計画では令和6年の能登半島地震やその後の豪雨災害を踏まえ、長期化する避難生活やライフライン寸断への対応、地域の自立性向上なども重視されています。事業規模は5年間でおおむね20兆円強、1年あたり4兆円という大規模な予算が組まれています。


重点施策の予算規模

計画では大きく分けて5つの重点施策があり、防災インフラの整備・管理、ライフラインの強靱化、デジタル等新技術の活用、官民連携強化、地域防災力の強化があります。それぞれに予算規模は以下のようになります。



最も資金が大きいのはライフラインの強靱化(10.6兆円)で、全体の過半を占めます。ここには、交通・上下水道・通信・電力・エネルギーなどについて、予防保全型メンテナンスへの転換、陸海空の交通ネットワーク強化、上下水道の耐震化、送電網強化や自立分散型電源の活用、通信システムの災害時自立性強化などが含まれます。 


次に大きいのが防災インフラの整備・管理(5.8兆円)です。主な対象は、洪水・内水・土砂・高潮・津波などへの対策、流域治水、住民避難に資する情報伝達の強化、道路橋梁等の耐震機能強化、河川・砂防施設などの戦略的維持管理です。概要資料では、流域治水対策や道路橋梁の耐震化、気象衛星整備などが例示されています。 


デジタル等新技術の活用(0.3兆円)は金額規模こそ小さいものの、マイナンバーカードを活用した避難所運営効率化、資機材や情報の一元的収集・提供システム、フェーズフリーなデジタル体制の構築など、横断的な高度化策に充てられます。 


官民連携強化(1.8兆円)では、住宅・建築物の耐震化、密集市街地や地下街等の耐震化・火災対策、保健・医療・福祉支援の体制強化、立地適正化計画等と連携した国土強靱化が柱です。計画本文でも、民間企業のBCP、住宅や施設の耐災害性強化、地方創生やまちづくりとの連携が重視されています。 


地域防災力の強化(1.8兆円)では、避難所環境の改善、プッシュ型支援物資の分散備蓄、学校等の耐災害性強化、避難所等における自立分散型エネルギーシステム、民間・NPO・ボランティアの活動環境整備などが挙げられています。本文では、防災庁を令和8年度中に設置する方針も記載されています。


細かくどの分野にいくらの予算が充てられるかは現時点で書かれていないため、今後の詳細を待ちたいところです。


株式市場のテーマ株

国土強靭化と言っても重点分野は多岐にわたり、それぞれに関連する銘柄もたくさん存在します。全部は記載しきれないので、注目度が高そうな銘柄の一例をピックアップしてみました。



国土強靭化というと建設会社が真っ先に思い浮かびますが、インフラ維持に携わる企業は数多く存在します。今後計画が始動するにあたって、その頭角を現してくる企業が増えてくるでしょう。株価や業績だけでなく、生活の安全を守ってくれる企業としても応援したいですね。


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日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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