ブラックロックの割安感強まる

S&P500が高値から20%超下落し「弱気相場」入り


2022年の米国株はロシアのウクライナ侵攻や、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めに転じたこと、長期金利の上昇、将来の景気後退懸念などを背景に年初から大きく下落しました。機関投資家がベンチマークとするS&P500は一時、1月4日に付けた史上最高値から20%超下落し「弱気相場」入りとなりました。

先週はダウ平均、S&P500、ナスダック総合の主要3指数がそろって4週ぶりに大幅反発し、S&P500は高値からの下落率を18.8%に縮小しましたが、底打ちから再び上昇相場に転じたのか、「弱気相場」における一時的な反発なのか、見方が分かれています。

しかし、個別銘柄をみると、年初からS&P500以上に大きく下落し、バリュエーション面で割安感が強まった銘柄も多くあります。

 



ブラックロックの株価は下落基調が続くも足もとでは下げ止まり


運用資産残高で世界最大のブラックロック(ティッカー:BLK)は、先週末時点の年初来下落率が29.3%となり、ダウ平均の13.3%安、S&P500の17.9%安を上回る大幅安となりました。


4月13日に発表されたブラックロックの2022年第1四半期(1-3月)決算は、営業利益が前年同期比14%増の17億6400万ドル、純利益が同7%増の13億6300万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は9.52ドルと市場予想の8.75ドルを上回りましたが、純収入は同7%増の46億9900万ドルにとどまり、市場予想の47億2700万ドルを下回りました。

総運用資産残高は前年同期比で6%増の9兆5695億ドルとなりましたが、2021年末の10兆101憶ドルから4%減少しました。


2022年第2四半期(4-6月)決算は7月12日に発表される予定ですが、市場予想は純収入が前年同期比5%増の48億4100万ドル、純利益が同11%減の13億8100万ドル、調整後の一株当たり利益が9.04ドルとなっており、年初からの株式市場の下落の影響が続く見通しです。



ブラックロックの株価は2019年末の500.84ドルから、コロナ・パンデミックで株式市場が急落した2020年3月に327.42ドルまで下落しましたが、2021年11月12日には973.14ドルの取引時間中の高値を付け、上場来高値を更新しました。コロナ・パンデミックの安値からの上昇率は約300%となり、S&P500の上昇率の210%を大きくアウトパフォームしました。その後は2022年6月16日に575.85ドルの安値を付け、先週末は647.78ドルと直近安値から約13%反発して終了しました。



バリュエーション面では割安感が目立つ


ブラックロックは、機関投資家と個人投資家向けに、グローバルに資産運用、リスク・マネジメント、アドバイザリー・サービスを提供している世界最大の資産運用会社で、運用サービスや商品は投資一任口座、ミューチュアル・ファンド、iShares(ETF:上場投資信託)などです。ニューヨークを拠点として北米、南米、欧州、アジア、オーストラリア、中東、アフリカ等、世界30カ国を超える地域でビジネスを展開しています。


2021年末の総運用資産残高はグループ全体で10兆101億ドルと2017年12月末の6兆2882億ドルから大きく増加しました。2022年3月末時点の総運用資産残高は株価の下落などにより、9兆5695億ドルと昨年末から4%減少しましたが、資金流入額は全体で860億ドル増、長期資産が1140億ドル増と増加が続いています。


株価のバリュエーション面を見ると、予想株価収益率(PER)が15.85倍、予想株価純資産倍率(PBR)が2.39倍と、それぞれS&P500の17.16倍、3.49倍を下回っています。

配当利回りも3.01%とS&P500の2.11%を上回っており、バリュエーション面での割安感が目立っています。



国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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