【米国株インサイト】業績上振れ銘柄:デルタ航空、原油価格の下落で燃料費用を圧縮

デルタ航空は4-6月期に純利益63%増、燃料コスト削減が奏功

航空大手のデルタ航空(DAL)が発表した2025年4-6月期決算は売上高が前年同期比で横ばいの166億4800万ドル、純利益が63%増の21億3000万ドルとなりました。調整後EPS(1株利益)は2.10ドルで、LSEGがまとめた市場予想の2.05ドルを2.3%上回っています。


売上高が横ばいで推移する中、人件費が10%増の44億200万ドル、契約サービス費用が11%増の11億5500万ドル、発着費が15%増の8億7800万ドルと膨らみましたが、原油価格の下落を背景に燃料費用が13%減の24億5800万ドルにとどまり、全体の営業費用は1%増で済みました。燃料消費量は4%増えましたが、平均調達価格が16%下がり、燃料費用の圧縮につながっています。



一方、非経常損益では投資収益が7億3500万ドル(前年同期は1億9600万ドルの損失)に上り、純利益を押し上げています。


非GAAP(米国会計基準)の調整後の業績では売上高は前年同期比1%増の155億700万ドル、営業利益が10%減の20億4800万ドルです。特別要因が除外されるため、純利益は10%減の13億7000万ドルとなります。


2025年4-6月期の動向では、航空機10機が引き渡されました。年初来の納入はこれで計19機で、退役となったのは14機なので純増数は5機です。4-6月に引き渡されたのはエアバスA350-900、A330-900、A321ネオ、A220-300です。



ガイダンスでは2025年12月通期の調整後EPSが5.25-6.25ドルになるとの見通しを示しました。エド・バスティアン最高経営責任者(CEO)は2025年1月に2025年12月通期のEPSが7.35ドルを超え、「デルタ航空の100年の歴史の中で最高の年になる」との見方を示しましたが、2025年1-3月期決算の発表時にはこうした予想を取り下げています。


今回は1月の予想から下方修正するかたちで予想を復活させています。一方、2025年7-9月期の見通しについては、売上高が前年同期比0-4%増、営業利益率が9-11%、EPSが1.25-1.75ドルと予想しています。


ファスナル、1割前後の増収増益と抜群の安定感

留め具(工業用ファスナー)や工作機械を製造するファスナル(FAST)が発表した2025年4-6月期決算は売上高が前年同期比9%増の20億8000万ドル、純利益が13%増の3億3000万ドルでした。EPS(1株利益)は0.29ドルで、LSEGがまとめた市場予想の0.28ドルを3.1%上回っています。


市況は引き続き低迷しましたが、為替レートの変動が売上高にポジティブに働いたようです。販売価格とコストのバランスが小幅に改善し、粗利益率は前年同期の45.1%から45.3%に上昇しました。人件費が10%増と増収率を上回りましたが、全体の販売管理費は9%増にとどまり、営業利益は13%増の4億3600万ドルに伸びています。



売上高に占める割合は、工業用ファスナーが30.5%で前年同期の31.0%から低下しています。一方、反射ジャケットや防護服、手袋、トラフィックコーンなどの安全用品が0.4ポイント上昇し、22.2%に達しています。清掃器具や切削工具などのその他製品は0.1ポイント高い47.3%でした。


ファスナルの株価は上昇基調を維持しており、7月15日に終値の上場来高値を更新しています。


JPモルガン・チェース、市場・証券サービスが2桁の増収増益

世界有数の総合金融サービス会社、JPモルガン・チェース(JPM)が発表した2025年4-6月期決算は売上高に相当する純営業収益が前年比11%減の449億1200万ドル、純利益が17%減の149億8700万ドルでした。調整後のEPS(1株利益)は4.96ドルで、LSEGがまとめた市場予想の4.48ドルを10.7%上回っています。


セグメント別では消費者&コミュニティ銀行業務が堅調です。非GAAP(米国会計基準)の純営業収益は6%増の188億4700万ドル、純利益が23%増の51億6900万ドルです。資産管理手数料やカード収入が伸びています。



商業・投資銀行業務は純営業収益が9%増の195億3500万ドル、純利益が23%増の66億5000万ドルです。市場・証券サービスが2桁の増収増益でした。


資産・ウエルス管理業務は純営業収益が10%増の57億6000万ドル、純利益が17%増の14億7300万ドルで、こちらも増収増益でした。

中国株情報部

島野 敬之

出版社を経て、アジアの経済・政治情報の配信会社に勤務。約10年にわたりアジア各国に駐在。 中国株二季報の編集のほか、個別銘柄のレポート執筆を担当する

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