コロナ禍の行動制限が緩和された影響で、盗難・傷害・暴行などの「街頭犯罪」の件数が増加しています。不正アクセス禁止法違反などサイバー関連の検挙件数も前年に比べ20%以上上昇しました。
犯罪の増加に伴い防犯カメラやセキュリティシステムなどの銘柄の株価に影響があるのでしょうか?そもそもどのような銘柄があるのでしょうか?
本記事では警察庁が発表した2022年の犯罪情勢、監視(防犯)カメラ、セキュリティ関連銘柄3つについてお伝えしていきます。
20年ぶりに刑法犯の認知件数が増加
警察庁が発表した「2022(令和4年)の犯罪情勢」によると、2002年をピークに下降していた刑法犯の認知件数が増加しています。
出典:警察庁「令和4年の犯罪情勢 令和4年暫定値 刑法犯の認知件数の推移」
中でも自転車の盗難・傷害・暴行などの「街頭犯罪」の件数が増加しており、コロナ禍での行動制限が緩和された影響と推測されます。
殺人・強盗・強制わいせつなど重要犯罪の認知件数は9,536件で、前年比で8.1%増加しました。特殊詐欺の認知件数・被害額も2年連続で前年に比べて増加し、不正アクセス禁止法違反等のサイバー関連の検挙件数も前年に比べ20%以上上昇しています。
治安に関するアンケート調査の結果においても「日本の治安はよい(安全で安心して暮らせる)と思いますか」という質問に対して2021年は「そう思う・まあそう思う」と答えた人の割合が75.9%だったのに対して2022年は68.6に低下しています。
犯罪の増加により、監視(防犯)カメラやセキュリティ関連の銘柄に注目が集まると推測されます。
監視(防犯)カメラ、セキュリティ関連銘柄3つ
キヤノン株式会社はカメラを始めプリンター・ソフトウェア・映像管理システム・医療用の診断装置・半導体・ディスプレイ製造装置などを幅広く取り扱っています。
「カメラと言えばキヤノン」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。2020年の新型コロナにより落ち込んだ営業利益は、2023年にコロナ前の水準に戻っています。2022年の配当金は1株あたり120円です。
キヤノンのホームページ「投資家情報」によると、2023年は営業キャッシュフロー(CF)・フリーキャッシュフローが前年の2倍以上に上昇している点が魅力と言えます。
営業CFは企業が主に営業活動で得られる利益で、プラスの企業は本業でキャッシュが得られている状況です。なお、フリーCFは企業が自由に使えるお金を指します。
財務をチェックする際には営業CFに注目してみましょう。
株式会社セキュアは2022年に設立されたオフィス向け入退室管理・無人型店舗・監視カメラシステムなどを提供する企業で、導入実績は8,000社以上に上ります。
2021年12月に東京証券取引所マザーズに新規上場しました。
2021年に比べ2022年は営業利益・営業CF・当期純利益が落ちていますが、売上高は横ばいで負債が増えています。
2022年12月の決算短信によると長期借入金の返済や棚卸資産の増加などが原因という記載があります。事業については、監視カメラシステムが上期での需要調整や期ズレの影響で前年同期と比べで微減、オフィス向けの入退室管理システムは前年同期比で微増、顔認証システムの販売が堅調に推移し案件単価は上昇傾向となっています。
上場してからは堅調な動きとなっていますが、慎重に検討しましょう。
あいホールディングス株式会社は監視カメラやレコーダーなどのセキュリティシステム機器・カード発行機器・計測機器などを取り扱い設計事業にも携わっています。
子会社にはセキュリティシステム・機器の販売会社などがあります。2022年6月の配当金は1株当たり60円で、直近3年で順調に配当を伸ばしています。
2023年6月の決算短信によると、財政状態については負債が減少し自己資本比率は81.6%と高い数値です。一方で営業CFは売上債権と棚卸資産の増加と法人税支払いにより減少、全体のキャッシュフローも前年に比べ微減となっています。
ただし、取り扱う事業が幅広いため大規模な金融危機が訪れない限り、株価は堅調に推移していくと推測されます。
※上記は「関連銘柄」の紹介であり、購入を推奨するものではありません。企業や財務の分析は筆者個人の見解に基づくものであり、筆者が所属する組織・団体の公式見解ではありません。
まとめ
2022年の犯罪情勢、監視(防犯)カメラやセキュリティ関連銘柄と動向について解説しました。今後ますます犯罪が増えると企業の業績も伸びると予測されます。セキュリティ関連銘柄の決算や株価、企業の財務などを分析しながら慎重に運用を検討してみましょう。