核融合発電で日本のエネルギー問題は解消?

5月17日付けの日本経済新聞朝刊では、核融合発電に関する記事が一面トップを飾りました。核融合の言葉自体は聞いたことがあるけれど、実際はどういうものなのかよく分からない・・・核とついているからなんだか怖い・・・と思う人もいるでしょう。


今回は、実現したら日本のエネルギー問題が解消するかもしれない夢のエネルギーについて分かりやすく説明していきます。ちなみに、太陽が常に燃えているのも核融合反応が起き続けているからです。


核融合とは

そもそも核融合とは何なのか?というと、原子核同士が合体する反応のことです。最も核融合反応を起こしやすいのは、水素の一種である「重水素(デューテリウム)」と「三重水素(トリチウム)」とされています。


この2つの水素を合体させると、風船によく使われる「ヘリウム」と「中性子」が生まれ、同時に莫大なエネルギーを発生させます。


<原子の構造>

 

出所:電気事業連合会


なお、核融合反応を起こすためには2つの水素を1億度以上の高温にし、原子同士が反発しないように高速でぶつけなければなりません。1億度がどの程度の温度なのかは全くイメージできないですが、太陽の中心温度が1,600万度といわれています。


<核融合反応の仕組み>

 

出所:内閣府


核融合反応の際に莫大なエネルギーが発生すると申し上げましたが、どれくらいの規模かというと、2つの水素計1グラムが石油8トン分の燃料エネルギーに匹敵するとされています。水素は地球上にたくさんあるので、石油資源はあと何年でなくなる?という問題について考えなくてよくなるかもしれません。


核分裂との違い

核分裂は、ウランやプルトニウムなどの原子核が中性子を取り込むことなどによって、

ほぼ2つに分裂する反応です。この時に熱エネルギーを発生させ、高い放射能レベルを有する核分裂生成物と中性子に分かれます。


<核分裂の仕組み>

 

出所:原子力委員会


核分裂の場合は、ウラン燃料1グラムが石油1.8トンに相当するとのことです。エネルギー量は核融合の方が圧倒的に多いですね。また、核分裂は制御不能になって暴走する恐れがありますが、核融合は過熱しすぎたり燃料を入れすぎたりすると反応が自然に停止するため、原理的には暴走しないようです。


核融合は、燃料資源がほぼ無尽蔵、高い安全性、二酸化炭素が発生しない、大規模電力供給が可能、高レベル放射性廃棄物が生じないなど、核分裂発電のリスクを抑えつつ、メリットも大きいことが分かりますね。


関連する銘柄は?

現状では核融合発電の実用化には至っていませんが、核融合炉の部材や装置、システムなどを手掛ける企業は多く存在しています。将来的に実用化されることを期待し、関連銘柄をチェックしておきたいところです。


<関連銘柄の一例>


日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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