【市場趨勢指標でみる株式市場~新高値-新安値指数(NH-NL)】

市場趨勢指標とは?

「市場趨勢指標」とは、市場全体の投資環境を判断する指標です。代表的なものには、評価損益率、騰落レシオ、新高値-新安値指数、MA上位銘柄比率、騰落出来高などがありますが、今回はこれまでの「評価損益率」「騰落レシオ」に続いて、「新高値-新安値指数」ついて簡単に解説します。


新高値-新安値指数(NH-NL)

新高値-新安値指数(NH-NL)の「新高値」は高値更新銘柄の数、「新安値」は安値更新銘柄の数を表します。新高値と新安値の差の推移をみることで、市場全体の方向と勢いをみることができます。


ここでいう新高値や新安値は、上場来の最高値・最安値ではありません。日本では年初来の高値や安値を更新すれば新値とするのが一般的です。一方、海外では過去52週間の最高値・最安値を更新した場合に新値とするのが一般的です。


日本では1~12月の間に一番高い値がつくことを「年初来高値」、一番安い値がつくことを「年初来安値」といいます。しかし、1~3月の間は年が始まって間もなく、対象期間が短いため、前年の1月以降の中で比較します。そのため、1~3月の間で新高値がつく場合は「年初来高値」ではなく「昨年来高値」、新安値がつく場合は「年初来安値」ではなく「昨年来安値」と表記されます。


4月以降の新高値は、「年初来高値」と表記します。ですから、相場の状況によっては、4月以降は、「年初来高値」や「年初来安値」が多くなる特徴があります。例えば、昨年来高値からは水準はまだ相当に低くとも、年初来でみると新高値になってしまうことがあるからです。逆に、昨年来安値からは水準はまだ相当に高くとも、年初来でみると新安値になってしまうからです。



しかし、過去52週間を基準とすれば、その欠点がなくなるため、合理的といえます。新高値-新安値指数(NH-NL)は、NY証券取引所やナスダック上場銘柄、S&P500採用銘柄などで計算されています。


<計算式> 

新高値-新安値指数(NH-NL)=52週新高値銘柄数-52週新安値銘柄数


新高値銘柄数と新安値銘柄数が同数なら中立で、NH-NLは0となります。NH-NLがプラス値なら市場全体は強気に傾いている、NH-NLがマイナス値なら市場全体が弱気に傾いていると判断します。


また、NH-NLがマイナス値からプラス値に転じれば買いシグナル、プラス値からマイナス値に転じれば売りシグナルと判断します。


NH-NLは、日々大きく変化するため、短期的な変動幅に注目するのではなく、傾向の変化に注目すべき指標となります。


日本株情報部 チーフストラテジスト

東野 幸利

証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。 マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。世界主要指数や個別株を対象にテクニカル・ストラテジーの提案。 日経CNBC「夜エクスプレス」、日経チャンネル「マーケッツのツボ」、テレビ東京「モーニングサテライト」、ラジオ日経(金曜後場マーケットプレス)など 会社四季報プロ500、ダイヤモンド・ザイ、日経マネー、株主手帳など 金融機関向けコラム「相場一点喜怒哀楽」 IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA) 日本テクニカルアナリスト協会理事 CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務) DCアドバイザー(確定拠出型年金教育・普及協会)

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