【市場趨勢指標でみる株式市場~MA上位銘柄比率(AMAI)】

市場趨勢指標とは?

「市場趨勢指標」とは、市場全体の投資環境を判断する指標です。代表的なものには、評価損益率、騰落レシオ、新高値-新安値指数、MA上位銘柄比率、騰落出来高などがありますが、今回は「MA上位銘柄比率(AMAI)」ついて簡単に解説します。


MA上位銘柄比率(AMAI)

MA上位銘柄比率(AMAI)は、終値が特定期間の移動平均(Moving Average)を上回っている銘柄の数が、全上場銘柄数に対してどのくらいの割合かを表す指標です。


<計算式> 

MA上位銘柄比率(AMAI)=終値が移動平均を上回っている銘柄数÷上場銘柄数×100


例えば、プライム市場に上場している銘柄は1834銘柄(6/12現在)です。そのうち何%の銘柄の終値が25日移動平均(直近25日間の平均値)を上回っているかをみることで、市場全体の強弱を判断することができます。もちろん、グロース市場でも同様に使うことができるでしょう。


終値は日足以外でも、週足、月足を用いてもよいでしょう。移動平均の特定期間は任意です。国内ではMA上位銘柄比率を発表していないため、自分で集計する必要があります。


市場全体に株価上昇期待が広がってくると、買われて上昇する銘柄が多くなります。移動平均を上回る銘柄が増えるにつれてMA上位銘柄比率は上昇し、株価指数も上昇傾向となります。


実際にあった例をみてみましょう。グロース市場に上場している銘柄は528銘柄(6/12)です。5月23日の時点では25日移動平均を上回っているのは全体の180銘柄程度でしたが、6月6日には250銘柄程度、6月12日には310銘柄程度に増加しました。MA上位銘柄比率の上昇と並行して、グロース市場指数は6月12日に年初来高値を更新しました。


逆に、市場全体に株価上昇期待が薄れてくると、売られて下降する銘柄が多くなります。移動平均を下回る銘柄が増えるにつれてMA上位銘柄比率は低下し、株価指数も下降傾向となります。


逆行現象で相場全体の分岐点を判断する

株価指数が上昇基調にあるにもかかわらず、MA上位銘柄比率が下降するとき(逆行現象)は、株価指数の反落がまもなく近づいている可能性がある点に気づく必要があるでしょう。


一方、株価指数が下降基調にあるにもかかわらず、MA上位銘柄比率が上昇するとき(逆行現象)は、株価指数の反発がまもなく近づいている可能性がある点に気づく必要があります。


日本株情報部 チーフストラテジスト

東野 幸利

証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。 マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。世界主要指数や個別株を対象にテクニカル・ストラテジーの提案。 日経CNBC「夜エクスプレス」、日経チャンネル「マーケッツのツボ」、テレビ東京「モーニングサテライト」、ラジオ日経(金曜後場マーケットプレス)など 会社四季報プロ500、ダイヤモンド・ザイ、日経マネー、株主手帳など 金融機関向けコラム「相場一点喜怒哀楽」 IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA) 日本テクニカルアナリスト協会理事 CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務) DCアドバイザー(確定拠出型年金教育・普及協会)

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