先週の米国株は主要3指数がそろって上昇 S&P500が「強気相場」入り
先週の米国市場では主要3指数がそろって上昇。カナダ中銀のサプライズ利上げを受けて米国でも金融引き締めの長期化が懸念されハイテク株を中心に利益確定売りが強まる場面もありましたが、週後半は金融引き締めへの警戒感が和らぐ中、テクニカルやセンチメントの改善を受けて買い直されました。
ダウ平均は週間で0.3%高と2週続伸し、S&P500は0.4%高と4週続伸。ナスダック総合は0.1%高と小幅ながら7週続伸し、2019年11月以来の長期連騰を記録しました。
S&P500は終値ベースで昨年10月安値3577.03ポイントから6月9日に4298.86ポイントまで上昇。上昇率は20%を超え「強気相場」入りとなりました。9日には一時、4322.62ポイントと節目の4300ポイントを上回り、2022年8月以来の水準を回復しました。
S&P500の11セクターは、7セクターが上昇し、4セクターが下落。一般消費財が2.4%高となったほか、公益。エネルギー、資本財、金融が1%超上昇し、不動産と素材もS&P500(+0.4%)をアウトパフォームしました。一方、ITが0.7%安と4週ぶりに反落し、生活必需品、コミュニケーション。ヘルスケアが0.1-0.5%安と小幅に下落しました。
テスラが急伸 好材料相次ぐ
S&P500の上昇に大きく寄与した一般消費財セクターの構成銘柄を見ると、テスラが週間で14.2%高と急伸したほか、フォード・モーターが10.9%高、ゼネラル・モーターズが5.7%高と自動車株が大幅高となり業種指数を押し上げました。
テスラには先週、好材料が相次ぎました。同社は7日、量産型モデル3とハイエンドSUVのモデルYについて7500ドルの減税が適用されるとウェブサイトで発表したことで、販売数量の増加期待が高まりました。
また、EV充電ステーションの利用での米自動車大手との提携も好感されました。テスラとフォード・モーターは先月26日、EV充電システム利用について提携を発表しました。この提携で、フォード車ユーザーは、米国とカナダに1万2000あるテスラの充電ステーション(スーパーチャージャー)の利用が可能になります。
これに続いて先週9日にはゼネラル・モーターズとの提携も発表されました。ゼネラル・モーターズのメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は、EV充電設備のための7億5000万ドルの投資額が最大4億ドル節約できるとしました。
EV充電システムで米自動車大手と相次いで提携を発表したことで、現在何種類もあるEV充電システムはテスラの規格に統一されるとの見通しが強まりました。
テスラの株価は2021年11月4日に414.42ドルの上場来高値を付けましたが、その後、今年1月6日に101.83ドルまで急落し、株価は約4分の1になりました。
しかし、その後は米連邦準備理事会(FRB)による利上げの休止期待を背景に2022年に大きく下落したハイテク・グロース株を買い直す動きが強まったことなどを背景に、テスラ株も堅調推移が続いています。
テスラの株価は週明け12日の取引でも前日比2.2%高の249.83ドルと12営業日続伸し、昨年9月30日以来の水準を回復しました。年初来では102.8%高と株価が2倍以上になりました。
アナリストが目標株価を再度引き上げ
EV充電での提携などを受けてアナリストは目標株価を再び引き上げました。
リフィニティブが集計するアナリスト43人の投資判断は、「強気買い」が7人、「買い」が15人、「保有」が16人、「売り」が2人、「強気売り」が3人となり、「買い」が1カ月前から1人増加し、「保有」が1人減少しました。
目標株価の平均値は2カ月前の198.73ドルから、1カ月前の181.21ドルに低下しましたが、足もとでは189.33ドルに上昇しました。