7月は主要3指数がそろって続伸 S&P500とナスダック総合が連日で最高値更新
7月の米国市場では、ダウ平均が36.21ドル高(+0.08%)、S&P500が2.17%高とともに3カ月続伸し、ナスダック総合は3.70%高と大幅に4カ月続伸となりました。
上旬は、カナダがグーグルやメタなどに課すデジタルサービス税を撤回したことで米国とカナダの貿易交渉進展期待が再び高まったほか、ベトナムと20%の輸入関税で合意したことでナイキなどが大幅高となりました。6月雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を上回り、失業率も改善したことで安心感が広がったことに加え、エヌビディアを筆頭にAI関連株が上昇したことも相場を押し上げました。
中旬はトランプ米大統領がカナダからの輸入品に対して35%の関税を8月1日から課すと発表し、欧州連合(EU)とメキシコからの輸入品に対しても8月1日から30%の関税を課すと発表したことで関税問題が再び相場の重しとなりました。しかし、新規失業保険申請件数や6月小売売上高などが予想を上回る強い結果となり景気減速懸念が和らいだことや、発表がスタートした第2四半期決算発表が総じて良好な結果となったことが支援となり米国株は再び騰勢を強めました。
下旬は発表が本格化した第2四半期決算が総じて良好な結果となったことに加え、米国と日本が関税合意に至り、EUなどとの合意期待が高まったことでセンチメントが改善しました。30日に結果が公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利が予想通り据え置かれ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が9月利下げに慎重な姿勢を示したことが重しとなりましたが、マイクロソフトやメタ・プラットフォームズが好決算を発表し上昇したことが相場の支えとなりました。
S&P500は月初の2日、3日に終値の最高値を更新すると、10日、17日も高値を更新し、下旬は21日から25日まで5日連続で高値を更新し、28日も最高値で終了しました。ナスダック総合も7月2日から28日までほぼ連日で最高値を更新し、7月の22営業日中、14回の高値更新を記録しました。
第2四半期決算発表は総じて良好
第2四半期決算はS&P500の採用の300銘柄が発表を終え、そのうち82%の246銘柄で調整後一株当たり利益が市場予想を上回りました。
予想を上回る決算や強い見通しが好感されたゼネラック・ホールディングス、インベスコ、ノルウェー・クルーズ・ライン、GEベノルバ、ウエスタン・デジタル、ラス・ベガス・サンズ、IQVIAホールディングス、ベーカー・ヒューズ、ユナイテッド・レンタルズが軒並み月間で2桁高となったほか、時価総額上位ではアルファベットが8.9%高、マイクロソフトが7.3%高、アマゾン・ドット・コムが6.7%高、メタ・プラットフォームズが4.8%高となり相場を押し上げました。
一方、決算が嫌気されたモリナ・ヘルスケア、チャーター・コミュニケーションズ、アライン・テクノロジー、バクスターインターナショナル、エレバンス・ヘルス、チポトレ・メキシカン・グリルなどが20%-40%安と急落したほか、時価総額上位のテスラも決算が予想を下回り3.0%安となりました。
S&P500の11セクターは6セクターが上昇、5セクターが下落
S&P500の11セクターはIT、公益、資本財、エネルギー、一般消費財、コミュニケーションの6セクターが上昇し、ヘルスケア、生活必需品、素材、金融、不動産の5セクターが下落しました。
上昇率トップのITではAIラリーの復活でアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が月間で24.2%高となったほか、オラクル、エヌビディアも2桁高となりました。上昇率2位の公益ではデータセンターによるエネルギー需要拡大見通しを受けてAESが25.0%高と急伸したほか、アメリカン・エレクトリック・パワー、エンタジー、エクセル・エナジーも7-9%高となりました。
一方、下落率トップのヘルスケアでは、決算が予想を下回ったセンティーン、モリナ・ヘルスケア、アライン・テクノロジーが30%-50%安と急落し、時価総額が比較的大きいユナイテッドヘルスも20.0%安となりました。
ダウ平均採用銘柄は15銘柄が上昇し、15銘柄が下落
ダウ平均採用銘柄は、7月月間で15銘柄が上昇し、15銘柄が下落しました。
上昇率上位はキャタピラーが12.8%高、エヌビディアが12.6%高となったほか、ジョンソン・エンド・ジョンソン、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、シェブロン、ボーイング、アムジェン、ナイキも5%超上昇しました。
一方、下落率上位はユナイテッドヘルスが20.0%安、IBMが14.1%安となったほか、アメリカン・エキスプレス、プロクター・アンド・ギャンブル、セールスフォースが5%超下落しました。
エヌビディアは人工知能(AI)向け半導体の独走が評価される中、AI需要の高まりによる業績好調期待が続き、連日で上場来高値を更新しました。時価総額は上場企業初の4兆ドル台となりました。マイクロソフトも予想を上回る決算や強い見通しが好感され、エヌビディアに続いて時価総額4兆ドル乗せを達成しました。