コロナ禍では、ステイホーム・テレワークといった生活様式の変化に伴いデリバリーサービス「出前館」やオンライン会議システム「Zoom」などの株価が躍進しました。
国内でいち早くワクチン開発を進めたアンジェス株式会社も株価が急騰しました。
現在の株価は一体どうなっているのでしょうか?
コロナ禍で株価が上がった国内企業3社とアメリカの企業2社の現状を見ていきましょう。
コロナ禍で上がった銘柄、どうなった?~日本株編~
1.エムスリー株式会社
エムスリー株式会社は医療ニュース・論文・各種データベースなどを閲覧できる「m3.com」や医薬品情報サイト「MR君」などを提供する医療情報サービス会社です。
コロナ禍に製薬会社の営業で医薬品の情報を提供するMR(医薬情報提供者)が、病院を訪問できなくなったことなどにより、エムスリーの需要は高くなり株価が上昇しました。
コロナ前から株価は上昇傾向にありましたが、2020年3月末から3,000円台に突入し2021年1月には1万円台に上昇しました。
出典:Tradingview
医療機関への訪問制限が緩和され株価は下がり2023年7月現在は3,000円台で推移しています。
エムスリーはコロナ禍に比べて株価は下がりましたがコロナ前より高水準で推移しています。
2.株式会社出前館
コロナ禍では料理の宅配サービス「出前館」「Uber Eats」を利用する人が増えました。
株式会社出前館の株価は今どうなっているのでしょうか?
出典:Tradingview
出前館は2016年には既に株価が上昇していましたが、創業者が金融商品取引違反(相場操縦)容疑で有罪判決を受ける事件がありました。
コロナ禍で株価は急上昇し、2020年末には4,000円近い株価になりましたが2023年7月現在は400円台で推移しています。
しかし以前より認知度を上げたことから、今後も一定のユーザーに利用される可能性があります。
3.アンジェス株式会社
アンジェス株式会社は難病・希少疾患などの医薬品を製造・開発する製薬会社です。
2020年3月にアンジェス株式会社は、大阪大学などと提携し「大阪発ワクチン開発」をスタートしました。
出典:Tradingview
国から75億円の支援を受け、2020年7月には大阪市立大病院(現・大阪公立大病院)で国内初の治験に着手しました。
海外の製薬会社ジョンソンエンドジョンソン・モデルナ・ファイザーなどもワクチン開発進め、2020年末にはイギリスでワクチン接種が開始しました。
2021年2月には日本でもワクチン接種が始まりましたが、11月にはアンジェス株式会社は治験で「想定していた効果が得られなかった」と公表します。
2020年6月には株価は2,000円を超え2,300円台まで上がりましたが、徐々に下落し2023年7月時点では100円台となっています。
コロナ禍で上がった銘柄、どうなった?~米国株編~
1.Zoom
オンライン会議システム「ZOOM」もコロナ禍に急上昇した銘柄の1つです。
アメリカでは新型コロナウイルス感染症拡大から間もなく金融緩和政策を実施し「金余り」の状態になっていたため、株式市場はダウ・ナスダックともに上昇しており特にナスダックはGAFAMを筆頭に急上昇しました。
出典:Tradingview
ZOOMも2019年は60~100ドル台で推移していましたが2020年2月以降上昇し、10月16日の終値は559ドルになりました。2023年の前半は、60~70ドル台前半です。
2.Tesla
電気自動車の販売などを手がけるテスラ社もコロナ禍で株価が急上昇しました。
出典:Tradingview
2020年5月には米国の証券取引所に上場している大手企業500社の株価指数「S&P500」に採用され、ますます株価は上昇しています。
FRBの利上げ政策により2023年1月には株価市場全体が下がり、テスラの株価も下がりましたが2023年6月頃から再び株価が上昇傾向にあります。
テスラ社CEOで株式を保有するイーロン・マスク氏も世界一のお金持ちとして知られるようになりました。
今回紹介した銘柄の中で、現在もコロナ禍と同水準を保っているのはテスラ社のみです。
新型コロナウイルス感染症拡大により上昇したというよりも、アメリカで投資をする人が増え「投資家に広く認知されるようになった」銘柄と言えるでしょう。
まとめ
コロナ禍で株価が上昇した企業5社の中で、テスラ社は現在も株価が高水準でエムスリー社はコロナ前より株価が高い状況です。
他の3社も含め、今後の動向を見守っていきましょう。