8月はダウ平均、S&P500、ナスダック総合がそろって下落
8月の米国市場では、ダウ平均が2.4%安と3カ月ぶりに反落し、S&P500が1.8%安、ナスダック総合は2.2%安とともに6カ月ぶりの反落となりました。
上旬は、フィッチ・レーティングスが米国の外貨建て長期債務の格付けをAAAからAA+に引き下げたことなどで米10年債利回りが上昇したことや、決算が嫌気されたアップルが大幅安となったことでハイテク株を中心に売りが強まりました。
その後も、弱い経済指標を受けて中国の景気悪化懸念が強まる中、ムーディーズが一部地銀株の格付けを引き下げたことや、フィッチ・レーティングの格下げ警告を受けて米大手銀の下落したことに加え、7月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で利上げ長期化懸念が強まり、米10年債利回りが昨年10月21日以来の高水準となる4.32%台まで上昇したことで中旬まで下落基調が続きました。
しかし、下旬はセンチメントが改善し、下落幅を縮小。好決算が期待されるエヌビディアにアナリストの投資判断や目標株価の引き上げが相次いだことでエヌビディアを中心に人工知能(AI)関連株が買い戻されたことや、注目されたジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言がおおむね想定内となったことで安心感が広がりました。
8月消費者信頼感指数、7月JOLTS求人件数、8月ADP民間部門雇用者数など月末にかけて発表された経済指標が軒並み予想を下回る弱い結果となったことで米国債利回りが低下したことも株式市場の追い風となりました。
主要3指数は中旬にそろって短期トレンドラインの50日移動平均線を割り込みましたが、8月29日にそろって同水準を回復。月中安値(終値ベース)からはダウ平均が1.8%高、S&P500が3.2%高、ナスダック総合が5.6%高と下落率を大きく縮小して終了しました。
投資家の不安心理を示すVIX指数(終値ベース)は7月末の13.63ポイントから17日に17.89ポイントと5月31日以来の水準まで上昇しましたが、13.57ポイントで8月を終了し、月間では0.06ポイントの低下となりました。
第2四半期決算後半戦はおおむね良好
第2四半期決算発表後半戦は、8月はS&P500採用銘柄の234銘柄が発表を終え、このうち81%の190銘柄で調整後一株当たり利益が市場予想を上回りました。
注目されたハイテク大手の決算は、予想を上回る決算や強い見通しが好感されたエヌビディアが月間で5.6%高、アマゾン・ドット・コムも3.2%高となりましたが、アップルはiPhone販売が予想を下回ったことで4.4%安となりました。
このほか、強い決算が好感されたイーライ・リリーが21.9%高、シスコ・システムズが10.2%高、キャタピラーが6.0%高となった一方、弱い売上高見通しが嫌気されたクアルコムが13.3%安となったほか、ウォルト・ディズニー、メドトロニック、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)も5-9%安となりました。
セクター別ではエネルギーを除く10セクターが下落
業種別では、8月はS&P500の11セクターの内、エネルギーを除く10セクターが下落と、ほぼ全面安となりました。
騰落率上位は、エネルギーが1.3%高と唯一上昇し、コミュニケーション、ヘルスケアが1%未満の下落にとどまりました。一般消費財とITは1%超下落しましたが、S&P500(-1.8%)をアウトパフォームしました。
一方、騰落率下位は、公益が6.7%安となったほか、生活必需品、素材、不動産が3%超下落し、フィッチやS&Pの格下げを受けて金融も2.9%安となりました。
ダウ平均採用銘柄は8銘柄が上昇、22銘柄が下落
ダウ平均採用銘柄は、8月は月間で8銘柄が上昇し、22銘柄が下落しました。
決算が好感されたシスコ・システムズ、アムジェン、キャタピラーが月間で6-10%上昇しました。
一方、業績悪化見通しが強まったウォルグリーン・ブーツ・アライアンスが15.5%安と急落しました。
金融のゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、トラベラーズ、アメリカン・エキスプレスが軒並み6-7%安となり、ナイキ、ボーイング、ウォルト・ディズニーも5-7%下落しました。
アップルは決算が予想を上回りましたが、予想を下回るiPhone販売が嫌気され4.4%安となりました。