【参入と手仕舞いについて】

参入とは

参入とは、仕掛けともいわれ、株式をはじめ為替・先物等の投資商品の売買を開始することです。参入に当たっては、テクニカル分析の側面、資金管理の制約、注文方法などの組み合わせが重要であり、タイミングの決定には日・時間・分などの区分が必要です。


例えば、過去の高値や安値などのフシ突破の見極め、トレンドライン、支持線や抵抗線の突破、トレンド形成中の戻し率、ギャップの支持的役割などを組み合わせながら判断材料としつつ、確信度、資金管理上の制約、リスク等を配慮しながら資金を投じ、最良執行を目指しながら、新規ポジションの構築に結びつける過程となります。


最良執行の利点や弱点を把握

最良執行には、利点や弱点、どのような局面での利用が有効か習熟しておく必要があります。代表的な注文方法は次の4つです。


・成行注文(マーケット注文)・・・必ず売りたい、必ず買いたい時に使う注文方法です。市場に参入する、トレンドに乗る機会の逸失を回避できますが、トレンドに後追いするリスクがあります。

・指値注文(リミット注文)・・・売りたい価格、買いたい価格を指定する注文方法です。買いの場合、時価を下回る価格を設定してコストを制限できますが、市場に参入する、トレンドに乗る機会を逸失することがあります。

・ストップ注文・・・時価を上回る価格、時価を下回る価格を設定し、これにタッチすると「成行注文」が発生する方法です。ある価格以下になったら売る、ある価格以上になったら買う意思を示す売買注文のことです。保ち合い放れにつく際に有効になりえるほか、逆に損失限定や利益確定などに有効です。

・ストップ・リミット注文・・・ある価格を設定し、これにタッチすると「指値注文」が発生する方法です。ストップ注文は設定した価格にタッチすると「成行注文」が発注されますが、ストップ・リミット注文は「指値注文」が発注されることが特徴です。執行価格の管理に有効ですが、値動きの状況によっては約定しないケースがあります。


手仕舞いとは

手仕舞いとは、株式をはじめ為替・先物等で利益確定・損切りのために売買を終了させることです。一般的には参入の意思決定と表裏一体といえましょう。参入を決定する際には手仕舞いのルールも事前に決めておく必要があります。


手仕舞い時に必要なことは、目標価格での手仕舞い、ロスカット・ルールを利用した手仕舞い、相場状況が変化した際の目標価格やストップ水準に未達における手仕舞いがあります。


まず、投資の時間軸、対象商品がどの程度動きそうで利益目標をどこに置くか、損切りの必要性が確信できる価格水準をどこに置くかの明確化が必要です。テクニカル分析では、移動平均線、チャネル、支持線・抵抗線などの手法が利用されます。


第二に、リスク管理の観点から、対象商品のリスク・リワード・レシオ(平均利益と平均損益の比率)や時間軸を意識したうえで、ストップ水準に対する姿勢を明確化しておく必要があります。ストップ水準を変更してよいのは買い玉なら上の方向。売り玉なら下の方向といわれています。



【参考】NPO法人日本テクニカルアナリスト協会テキスト


日本株情報部 チーフストラテジスト

東野 幸利

証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。 マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。世界主要指数や個別株を対象にテクニカル・ストラテジーの提案。 日経CNBC「夜エクスプレス」、日経チャンネル「マーケッツのツボ」、テレビ東京「モーニングサテライト」、ラジオ日経(金曜後場マーケットプレス)など 会社四季報プロ500、ダイヤモンド・ザイ、日経マネー、株主手帳など 金融機関向けコラム「相場一点喜怒哀楽」 IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA) 日本テクニカルアナリスト協会理事 CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務) DCアドバイザー(確定拠出型年金教育・普及協会)

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