2025年も折り返し地点を迎える中、豪ドル(AUD/USD)の見通しに再び注目が集まっています。年初から続く上昇トレンドの流れは、果たしてこのまま継続するのでしょうか? それとも、過去の長期下降トレンドが再び豪ドルの上値を抑えるのか?2025年現在の為替動向をもとに豪ドル予測を行い、チャート分析・金融政策・国際要因まで幅広く解説していきます。
豪ドル米ドルの相場動向【2025年最新】
まずは2025年ここまでの豪ドル円の価格推移を見ていきます。
2024年からの下落基調は今年に入って一巡。2月3日に0.6088米ドルの安値をつけた後は穏やかに下値を切り上げる動きとなりました。4月初旬には米相互関税の影響で世界的に金融市場が混乱したため、一時は節目の0.6000米ドルを下回ったものの、この一時的な下落を「ノイズ」と考えれば、やはり今年は穏やかな上昇トレンドと見てよいでしょう。
今後の豪ドル予測を左右する要因とは?
豪準備銀行(RBA)の金融政策
・7月の理事会で政策金利3.85%据え置きを決定(市場予想は利下げ)。
・RBAは「労働市場の強さ」や「インフレ持続」を理由に慎重姿勢。
・市場は年内に3-4回の利下げを織り込んでいたが、見通し修正を迫られる形に。
→今後の豪ドル予測では、インフレや雇用データに対するRBAの反応が重要なカギとなる。
米国の貿易・関税政策
・トランプ政権が推し進める分野別関税がリスク要因に。
・銅関税(50%)は豪州への影響は限定的。
・ただし、医薬品への高関税(200%)が発動すれば、豪ドルには下落圧力となる可能性。
テクニカル分析で見る豪ドル予測
週足:下降トレンドラインに挑む重要局面
・2022年からのレンジ相場を一時ブレイクするも、現在は完全にレンジ内に復帰。
・DMI(方向性指数)では-DI > +DIの状態が続き、依然として下落圧力が強め。
・2021年2月高値を起点とした長期下降トレンドライン(0.67米ドル付近)が依然として強い抵抗帯。
→この下降ラインを上抜けできれば、中期的な上昇トレンド転換のシグナルとなる。
日足:6月23日安値がトレンドの境界線
・2月からの穏やかな上昇トレンドラインは継続中。
・ただし、6月23日の安値(0.6373米ドル)を割り込むと上昇トレンドの終息シグナルに。
→短期の豪ドル予測では、0.6373米ドルが重要なサポートライン。
今後の取引材料・変動要因をチェック 豪米当局者内で利下げ派が拡大するか
次に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は豪米両国の金融政策。豪準備銀行(RBA)は前回の会合で、6対3で据え置きが決定されたことを明らかにしており、8月の次回会合では追加緩和に踏み切るのか、据え置きの場合は利下げ支持派が拡大するのか、などに注目しておきましょう。
また、米連邦公開市場委員会(FOMC)内部でも意見の相違が広がっており、今回は据え置き見込みながら利下げを主張するメンバーも現れることが確実視されています。トランプ米大統領から執拗な利下げ要求が続くなか、FOMC内部の利下げ派閥が拡大していくか注意して見ておく必要があります。
今後1カ月の重要イベント
7月17日 豪州 6月豪雇用統計
7月30日 豪州 4-6月期消費者物価指数(CPI)
7月30日 豪州 6月CPI
7月29-30日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)
7月31日 米国 6月PCEコア・デフレーター
8月1日 米国 7月米雇用統計
8月1日 米国 相互関税の上乗せ部分の猶予期限
8月12日 米国 7月CPI
8月11-12日 豪州 豪準備銀行(RBA)理事会
8月14日 豪州 7月豪雇用統計
まとめ:豪ドル米ドルは0.67米ドルの突破で下降トレンドも転換へ
豪ドル米ドルはテクニカル的には下降トレンド終焉の兆しが出始めており、0.67米ドル突破がポイントに。短期では0.6373米ドルのサポート、中期では0.67米ドルのレジスタンスを意識した取引戦略が有効となるでしょう。ファンダメンタルズではRBAの利下げ動向と米国の関税政策が相場を左右することになります。