【旧NISAの出口戦略】2023年以降における非課税期間終了後の運用方針を解説

2023年に新規投資が終了する旧NISA制度(一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISA)において、駆け込みで投資を始める人は多くいます。


2024年から新しいNISAが開始されますが、今まで投資していた旧NISAをどのように運用するか疑問に思う人も多くいるのではないでしょうか。


投資を始めるのは簡単ですが、どのように終わらせるかを決めていないと、資産を大きく減らしてしまうかもしれません。


そこで本記事では、旧NISA制度の注意点や非課税期間終了後の運用について詳しく解説します。つみたてNISA・ジュニアNISAなどで運用している方は、ぜひ参考にしてみてください。


旧NISAの非課税期間と運用時の注意点

旧NISA制度には、以下の非課税期間が設定されています。


・一般NISA:5年間

・つみたてNISA:20年間

・ジュニアNISA:18歳まで(1月1日時点で18歳になる前年の12月31日まで)


たとえば、つみたてNISAを利用して2023年に投資した場合、非課税保有期間は2042年で終了します。


旧NISAの注意点として、資産を途中で売却した場合、運用していた非課税枠に再投資はできなくなります。教育費のためNISA枠をすべて売却すると、新しく購入ができないわけです。


また旧NISAの非課税保有期間が終了するタイミングで、購入していた金融商品が値下がりする可能性も考慮しなければいけません。


したがって、非課税期間が終了する前に出口戦略を考えておく必要があります。



旧NISAの非課税期間が終わるタイミングでの3つの選択肢

旧NISAの非課税期間が終わるタイミングにおいて、私たち個人投資家ができる3つの選択肢を紹介します。


本章で詳しく解説するので、今後の運用方針への参考にしてみてください。


1. 売却して「新しいNISA口座」へ再投資する

旧NISAの出口戦略のなかでもっともおすすめなのが、運用した資産を一度売却して2024年開始予定の「新しいNISA口座」へ再投資する方法です。


新しいNISAとは、非課税保有期間の恒久化と非課税投資枠が大幅に拡大された、大変使いやすくなった制度のことです。制度の概要については、以下の画像をご覧ください。


 

画像引用元:考えてみませんか!?“NISA”で資産形成!!|金融庁


投資枠は最大で1,800万円まで利用できるため、旧NISAで運用した資産を再投資に回しても非課税投資枠に余裕があります。


また旧NISA制度と異なり、一度売却した非課税保有枠は翌年以降に再投資ができるので、生涯にわたって非課税の恩恵を受けられます。


2024年以降は新NISAを上手に利用して、運用を続けてみてください。


2. 課税口座で運用を続ける

新しいNISAの非課税投資枠をすぐに使い切ってしまうほど資金に余裕のある方は、課税口座で運用を続けるのがおすすめです。


2024年以降に旧NISAの非課税期間が終了したあとは、自動的に課税口座へ移管されます。


課税口座へ移管したあと、配当金や売却益には20.315%の税金がかかりますが、売却せずに運用を続けたほうが最終的なリターンは大きくなる可能性が高いです。


非課税期間終了のタイミングですぐに現金が必要ないケースでは、課税口座での運用を視野に入れてみてください。


3. 売却して現金化する

非課税期間終了前に大きな出費を控えている場合、売却して現金化するのも有効です。


非課税期間内に資産を売却すれば、税金を納めず手元に残るお金を増やせます。たとえば、大学の入学金を支払うために「つみたてNISA・ジュニアNISA」を運用しているなら、現金化しても問題ありません。


資産運用の目的にあわせて現金化を検討してみてください。


旧NISAの出口戦略を考えるうえで売却のタイミングを見極めるのが重要

旧NISAの出口戦略を考えるうえで、売却のタイミングを見極めるのが重要です。市場が暴落のタイミングを迎えると、多くの株式は値下がりしてしまうからです。


以下画像は、過去30年におけるS&P500の推移をあらわしています。

 

画像引用元:S&P500について|SBIアセットマネジメント


直近30年のうち3回も時価総額が50%前後値下がりする時期がありました。旧

NISAを現金化するタイミングで暴落を迎えた場合、元本割れするリスクがあります。


そこで非課税期間が近くなったタイミングで、売却するかを見極めることが重要です。


旧NISAの非課税期間が残り数年なら売却を視野に入れる

旧NISAを利用している人のなかには、子供の教育費や住宅の購入のために運用を続けている人も多くいます。


繰り返しになりますが、現金が必要なタイミングで暴落がくると、資産を減らした状態で現金化しなければいけません。


そこで非課税期間が残り数年なら、売却を視野に入れる必要が出てきます。具体的なタイミングを予測するのは困難ですが、非課税期間終了前の5年前後を目安にして、旧NISAで運用した資産の取り崩しを検討するのがおすすめです。


旧NISA制度で運用した資金を使用する予定があるなら、おおよその売却タイミングを決めておきましょう。


独立系ファイナンシャルプランナー

藤崎 竜也

「独立系ファイナンシャルプランナーとして執筆業を中心に活動中。2019年から教育資金や老後資金を蓄えるために投資を始める。実体験をもとに、専門用語をわかりやすく解説するのが得意。2級ファイナンシャル・プランニング技能士資格を取得し、現在は金融ジャンル(資産運用・投資・不動産・保険)をメインに執筆している。

藤崎 竜也の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております