【NISA貧乏まっしぐら?】お金のことで将来が不安…その投資、本当に大丈夫?

「新NISAが始まったから、将来のために全力投資!」

「周りもやってるし早く投資枠を使い切らないと損しそう…」

「毎月の生活費を切り詰めてでも、NISAで積み立てなきゃ…」


2024年から始まった新しいNISA制度をきっかけに、投資への関心が一気に高まっています。30~40代を中心に「将来のために資産形成を!」と意気込んでいる方も多いのではないでしょうか。


一方で、最近ささやかれるのが「NISA貧乏」という言葉。つまり、新NISAでの投資を頑張るあまり、日々の生活が苦しくなってしまう状態のことです。


「自分は大丈夫!」と思っていても、もしかしたら無意識のうちに「NISA貧乏」予備軍になっているかもしれません。


この記事ではNISA貧乏に陥りやすい人の特徴と、回避するために本当に大切なことを解説します。ぜひ参考にしてみてください。



あなたは大丈夫?「NISA貧乏」に陥りやすい人の特徴

どんな人がNISA貧乏になりやすいのか、3つの項目をチェックしてみましょう。


情報に流されやすい人

インターネットやSNSには「NISAは全力投資!」「早めに投資枠を使い切るべき!」といった情報が溢れています。たしかにNISAの投資枠を最大限に活用し、運用期間を長く取ることは、複利効果によって資産を効率的に増やす可能性が高い戦略の一つです。


しかし、こうした情報を鵜呑みにして収入や支出のバランスを考えずに無理な投資計画を立ててしまうと、家計が圧迫されてしまいます。


もちろん金融情報を調べることは、将来の資産形成をするうえで重要であり、それだけマネーリテラシーが高い証拠です。偏った意見だけを取り入れず、幅広く専門家の意見を取り入れ、自分にあった投資方法を見つけるのが大切です。


投資の基本ルールを知らない人

投資の鉄則は「余裕資金で行うこと」と「生活防衛資金は別に確保しておくこと」です。


毎月の生活費の他に病気、ケガ、失業など万が一の時に備えるお金まで投資に回すと、いざという時にお金が足りなくなり、資産を売却せざるを得なくなるかもしれません。


資産を切り崩したときに株価が下がっていたら、元本割れしてしまうリスクもあります。毎月の出費額の半年~1年分を目安に生活防衛資金を準備しておき、余剰資金で投資するのが重要です。


投資の目的や計画があいまいな人

「なんとなく将来が不安だから」「周りの友達も始めたから」など、具体的な目的や計画がないまま投資を始めてしまうのもNISA貧乏に陥る落とし穴の一つです。


例えば「老後の資金として65歳までに2000万円貯めたい」「子供の大学進学費用として15年後に500万円準備したい」といった目標を立てるのが重要です。目標金額から逆算して毎月いくら積み立てるべきか、どのくらいの期間で運用すべきか、といった具体的な計画が見えてきます。


計画を立てておくことで、途中で市場が下落しても「目標達成のためには、今慌てて売るべきではない」と冷静に判断しやすくなります。


しかし、目的や計画があいまいだと「早く非課税枠を使い切らなきゃ」と焦ってしまい、身の丈に合わない金額を投資に回してしまいがちです。


また、明確なゴールがないと市場のちょっとした変動にも一喜一憂しやすくなり、精神的にも不安定になる可能性もあります。自分なりの目標設定と計画が、無理なく投資を続けるためには非常に重要なのです。


「NISA貧乏」を避けるために本当に大切なこと

NISA貧乏に陥らず、賢く資産形成を進めるためには投資と生活のバランスを取ることが重要です。


投資を始める前に必ず毎月の収入と支出を把握し、家計が赤字になっていないか確認しましょう。そして、何よりも先に生活防衛資金を預貯金で確保することが最優先です。預貯金が不十分なまま投資を始めるのは、土台がグラグラな家を建てるようなものです。


次に、毎月の生活費や近い将来使う予定のあるお金(結婚資金・住宅購入の頭金・車の買い替え費用など)は投資に回さず、余裕資金で投資を行いましょう。


NISAの非課税枠をすべて使い切る必要は全くありません。毎月1万円からでもコツコツ続けることが大切です。


また、将来のためにお金を増やすことは重要ですが、今の生活を犠牲にしすぎるのは本末転倒です。旅行に行くことや趣味に熱中するといった、お金に変えられない経験も人生には不可欠だからです。



NISA貧乏が出たことで社会全体の懸念点は?

多くの人が新NISAに期待を寄せ、積極的に活用しようとしています。日本証券業協会の調査によると、20代でも新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠を合わせて、年間平均100万円以上投資する人も見られました。


しかし、投資への関心が過熱すると、社会的な影響も指摘され始めます。例えば、日本人が投資ばかりにお金を回し日々の消費を抑えると、経済全体が停滞するという懸念があります。


また、NISAで海外の株や投資信託を買う人が増えると為替市場における円安が進む要因となり、輸入品の値段が上がって生活が苦しくなる可能性も指摘されているのです。


ただし、個人が将来のために備えることや賢く資産運用することは何ら悪いことではありません。NISA貧乏という言葉が出てくる背景には、社会全体のバランスに対する懸念も含まれる点は知っておきましょう。


NISAと正しく付き合いながら資産形成を進めよう

新NISAは、私たちの資産形成をサポートしてくれる素晴らしい制度です。しかし、その使い方を間違えるとNISA貧乏に陥り、生活が苦しくなる可能性があります。


大切なのはメディアの情報や周りの声に流されず、家計状況やライフプラン、価値観をしっかりと見つめ直すことです。


新NISAを賢く活用して将来への不安を減らしながら、より豊かな人生を築いていきましょう。


独立系ファイナンシャルプランナー

藤崎 竜也

「独立系ファイナンシャルプランナーとして執筆業を中心に活動中。2019年から教育資金や老後資金を蓄えるために投資を始める。実体験をもとに、専門用語をわかりやすく解説するのが得意。2級ファイナンシャル・プランニング技能士資格を取得し、現在は金融ジャンル(資産運用・投資・不動産・保険)をメインに執筆している。

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