前回、上海証券取引所の主要銘柄(前編)では、白酒の貴州茅台酒(600519)、銀行最大手の中国工商銀行(601398)、石油・天然ガスのペトロチャイナ(601857)の3銘柄を紹介しました。今回は時価総額トップ10にランクインしている、このほかの主力銘柄を紹介していきたいと思います。中国関連のニュースにもよく登場する企業なので、中国株を始めるにあたり、どんな企業なのか知っておきましょう。
時価総額7位は生保のトップ企業、中国人寿保険
(出所:中国人寿保険のホームページ)
時価総額7位は生命保険で国内トップシェアを誇る中国人寿保険(601628)です。社名にある「人寿保険」というのは、中国語で「生命保険」のことを指しています。ネーミング的には、日本の生保大手である「日本生命保険」と同じと言えます。
中国には中国人寿保険のほかにも、「●●人寿保険」と社名に「人寿保険」を冠した企業が何社か上場しています。これが「●●財産保険」となると、今度は損害保険会社を指します。中国語が分からなくても、何となく想像できてしまいそうです。
前身企業の設立は中国の建国と同じ1949年10月で、中国で最も古い保険会社の一つと言われています。2021年の中国における生命保険料収入のシェアは19.8%で国内トップ。2021年末時点の運用資産は総額4兆7200億元に上り、中国最大の機関投資家という側面も併せ持っています。
扱う商品が保険のため、日本人には馴染みの薄い銘柄かもしれませんが、中国人にとって知名度は抜群です。米調査機関ワールド・ブランド・ラボが発表した2022年版「中国で最もブランド価値のある企業500」で、中国人寿保険グループ全体のブランド価値は4525億元(約9兆500億円)。保険会社ではトップ、全体でも5位となっています。
時価総額8位は水力発電の世界最大手、中国長江電力
(出所:中国長江電力のホームページ)
時価総額8位は水力発電の世界最大手である中国長江電力(600900)です。日本で水力発電銘柄と言っても馴染みがないかもしれませんが、長江流域にある世界最大級のダム「三峡ダム」で水力発電事業を手掛けている会社です。
長江と言えば全長6300キロメートルに上る世界で3番目に長い川で、三峡ダムは1993年に建設が始まり、2009年にようやく完成にこぎ着けた巨大ダムです。2020年には大雨の影響で貯水量が警戒水位を超え、ダム決壊の可能性が報じられるなど世界中に緊張が走りました。ニュースで見たという方も多いのではないでしょうか。
長江流域で主に4つの水力発電所を運営し、2021年末時点の発電能力は約4560万キロワット(kW)。中国の水力発電能力全体に占める割合は国内トップの11.6%となっています。
水力発電で日本最大手である東京電力リニューアブルパワー(東京電力ホールディングスの100%子会社)の4.6倍にもなります。これは160カ所以上の水力発電所の合計なので、1つの発電所の規模がどれほど大きいか想像できるのではないでしょうか。
時価総額9位は中国の石炭最大手、中国神華能源
(出所:中国神華能源のホームページ)
時価総額9位は石炭最大手の中国神華能源(601088)です。石炭が売上高全体の約8割を占めますが、このほかに、石炭を使った発電事業や化学事業、石炭を運ぶための鉄道事業や海運事業、そして港湾事業など、石炭に関係する事業をすべて1社でやっている巨大企業です。
発電容量は3790万キロワット(kW)で関西電力の1.3倍に上り、石炭会社にもかかわらず発電事業でも中国の上位にランクされます。中国神華能源のホームページを見ると、手掛けてる主な事業が写真で紹介されていますが、近年は風力発電や太陽光発電など新エネルギー事業への投資にも力を入れています。
S&Pグローバルが財務・業績指標から算出している「世界エネルギー企業トップ250」の2021年版ランキングでは、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコに次いで2位。石炭企業では世界1位の評価を受けています。
今回は上海証券取引所に上場する時価総額上位企業を、各業界から1社ずつ紹介しました。次回は深セン市場の主要企業を紹介したいと思います。お楽しみに。