コロナ禍の生活再建はこれから メンタルと生命保険の最新考察

未曽有のコロナ禍に世界が覆われて約2年が経過しました。接種ワクチンの開発と提供拡大により、(日本では)コロナとの共存が確立しつつありますが、生活が大きな影響を受けた方々も多いでしょう。苦しい生活苦に見舞われたという話も多く聞きました。これから、コロナ禍からの生活再建に向けて、公的保障や生命保険の活用とともに何ができるかを考えます。


諸産業への本当の影響はこれから?

振り返ると2020年1月に横浜港で発生した新型コロナは、瞬く間に全国に広がりました。


あれから2年半が経過しました。最大限の政府・自治体の支援策により企業の倒産数は抑えられているものの、2022年から急場凌ぎに借り入れた長期借入金の返済が始まるなど、会社経営に暗い影を落としています。1-2回の会社決算が過ぎ、再建のため職種によっては給与減額やリストラなど、従業員が最も影響を受けるのはこれからではないか、という指摘もあります。


コロナ禍だけではありません。今年に入りロシアのウクライナ侵攻を発端とする原料高や為替変動が生活に悪影響を及ぼし、粘り強く頑張ってきたなかにも、「さすがにもうだめではないか」と弱気になっている人も多いように感じます。


これまで何度もボラティリティ変動の高い景気局面はありましたが、今回は異質というべきか、前例のない印象があります。そこで顕著に表れるのがメンタルへの影響です。メンタル系の疾患では仕事の継続も難しくなり、生活面の安定も脅かされます。そこに公的保険や生命保険は役立つのでしょうか。


メンタルと生命保険について

メンタルの治療として多くの人は精神科や診療内科に通院します。これらの入院・通院で行われた医療行為や投薬、作成された処方箋のもと薬局にて受け取った薬は公的保障の対象になります。


注意しなければならないのは付随して行われるカウンセリングです。メンタルの治療に医師がしっかりと話を聞くカウンセリングは不可欠なものですが、これらは保険外適用のことが多いです。


カウンセリングが負担になるようであれば、病院にその旨を伝えることをお勧めします。不安の除去を目的として通院しているのに、あらたに金銭的な不安を感じるのは本末転倒です。


医療保険はメンタルの疾患も対象なのか

公的保障ではなく、民間の医療保険はどうでしょうか。保障対象としてあらかじめ保険約款などに明記された疾患に対しては、メンタル面のものも通常通り保障対象となります。たとえば転職時や環境が著しく変わったあとに医療保険に加入することで、リスクヘッジの一端とすることができるでしょう。


自立支援医療について

どうしてもメンタル治療に費やすお金が不安な際は、「自立支援医療」という制度を活用することができます。総合失調症やうつ病などの治療の場合、自己負担額を1割に抑えることができます。


住んでいる自治体の窓口で利用手続きが可能で、入院以外で行われる外来(投薬を含みます)、デイケア、訪問介護などが対象です。自治体に金銭交渉に出向くのは抵抗があるかもしれませんが、対策可能な不安はひとつずつ対処していきましょう。


コロナからの生活再建はひとりだけの課題ではない

会社経営者や個人の立場から金融機関より借り入れたお金に対し、今後返済に苦しむ人も増えてくるでしょう。そのなかで伝えたいのは、コロナからの生活再建はひとりではなく、同じ境遇の人はたくさんいるということです。


苦しみや悩みを共有するコミュニティや相談先は数多くあります。インターネットの活用で相談する手間やハードルも下がっているので、積極的に活用するようにしましょう。金銭面に関しても同様です。


金融機関や自治体からの貸付は猶予をしてくれることも

もちろん借入時に定めた返済計画は遵守すべきものです。ただ、どうしても再就職などの資金充当が上手くいかず、返済スケジュールに遅延の出る場合は、金融機関や自治体に相談しましょう。


返済計画の見直しやペンディングに応じてくれることも多いです。まして最近は国から「借入者からのペンディング計画には積極的に応じるように」という指針が出されてもいます。


本稿のメンタル疾患の部分とも繋がりますが、気持ちの面で追い込まれると利率の高いカードローンは個人貸付が目に入ります。インターネットの裏側で悪徳業者が暗躍しているという話も聞きます。


日本中を覆っての再建段階のため、コロナ禍では業者の動きも活発化しているようです。決して早とちりをしてそれらからお金を借りることなく、正統の手続きを優先させるようにしましょう。


楽観的な言い方ですが、ピンチのあとにチャンスありといいます。今後、再び世の中が明るくなる時期が到来します。生命保険をはじめ自治体の支援など「可能なもの」を遠慮せず活用しながら、それぞれが可能な速度で乗り越えていきましょう。



独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

株式会社FP-MYS 代表取締役 1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

工藤 崇の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております