2022年から電気料金の上昇は続いていますが、2023年の6月も大手電力会社のうち7社が値上げをしました。電気料金の明細を見て、以前より負担が増えたと実感する人も多いのではないでしょうか。
わたしたち一般消費者の目線でみると、電気代の値上げがいつまで続くかは生活に大きな影響を与えるといえます。
そこで本記事では、電気料金の推移と値上げはいつまで続くか予想したうえで、電力会社の業績にも焦点をあてて解説します。
電気料金の推移と値上げはいつまで続くのか?
2023年6月に中部・関西・九州以外の大手電力会社は家庭向けの電気料金を引き上げました。2023年以前から電気料金の値上がりは続いていましたが、ここにきて大きく家計に負担をかける形です。
以下画像は、電気料金価格の推移をあらわしています。
画像引用元:電気料金単価の推移|新電力ネット
また実際に家計の電気料金をみてみると、2021年から2022年にかけて大きく増加しています。単身と二人以上世帯に分けて、2020年以降における電気料金の平均月額を表にまとめました。
出典:家計調査(家計収支編)調査結果|総務省統計局 データをもとに筆者作成
2022年における単身・二人以上世帯は前年比20%以上も上昇しており、家計への負担は増えているのがわかりました。
今後の電気料金を予測すると、大きな値下げは難しいと予想されます。エネルギー価格の上昇を受け、2023年2月から「電気・ガス価格激変緩和対策事業」により、電気料金に割引が適用されています。
ただし、政府の方針で今年9月から割引を半額にしたうえ2024年5月以降は補助額の縮小が決まっているため、大きく値下げする余地は少ないからです。わたしたち一般家庭にとっては、苦しい状況が続きそうです。
電気料金が決まる仕組み
電気料金が決まる仕組みは、以下画像のとおり「基本料金」「電力量料金」「再エネ賦課金」の合計額で決まります。
画像引用元:月々の電気料金の内訳|経済産業省 資源エネルギー庁
「基本料金」は各電力会社が契約者のプランごとに定めている固定料金です。
「電力量料金」は1ヶ月に使用した電力量に応じた料金にプラスして、燃料調整単価を増減して決まります。原油・ガスなどの燃料価格は、為替や市場による変動の影響を受けるため、毎月調整される金額です。
また「再エネ賦課金」は、電力会社が再生可能エネルギー(太陽光・風力発電など)を買い取る時に発生する費用です。国が年度ごとに全国一律で基準価格を設定しており、使用電力量に応じて消費者ごとに負担する必要があります。
電気料金の値上げが続く要因は燃料価格の上昇が関係する
電気料金の値上げが続く要因として、燃料価格の上昇が大きく関係します。2022年ロシアのウクライナ侵攻により、世界各国が経済制裁の一環でロシアからの資源供給を抑える政策をとっています。その結果、ガス・原油の供給量が不足して、燃料価格の上昇につながりました。
また2022年以降はアフターコロナの影響から、世界的な経済活動の活発化にともない、エネルギーの需要が大きく増えているのも要因です。2つの要素により、天然ガス・原油を中心に国際的なエネルギー価格が高騰しています。
また2022年以降は外貨に対して円安に振れたことで、輸入価格は上昇しています。2021年まではドル円110~120円前後で推移していたのに対し、2022年6月以降は130~150円前後と大きく円安に動きました。
エネルギー価格と円安の2つの要素によって燃料費が上昇した結果、電力会社の電気料金も上がっています。
電気料金の値上げにともない電力会社の業績は好調
燃料価格の高騰の影響により、大手電力会社10社のうち7社は2022年度の業績が赤字になりました。残り3社(中部電力・関西電力・九州電力)は、原子力発電による電力供給量が多く、燃料費高騰の影響が少なく済んだと考えられます。
なお、赤字を計上した7社が2023年6月に電気料金を値上げした結果、大手電力会社の2023年4~9月期決算は大幅増加が発表されています。なかでも沖縄電力以外の9社の経常利益は、過去最高益になりました。
今回は大手電力会社のうち3社(東北電力・東京電力・関西電力)の株価推移を紹介します。
今後も電気料金の値下げは難しい状況でありますが、電力会社の動向とあわせて注視してみてはいかがでしょうか。