2023年のベストパフォーマーは高配当株?

高配当株への投資が人気を集めています。配当利回りが高いことで知られるJT(日本たばこ産業)<2914.T>や武田薬品工業<4502.T>などは、高配当銘柄と言えば必ずと言っていいほど例に挙げられる代表格であり、マネー誌などで取り上げられる常連。個人投資家からの人気も高いです。


また日本郵船をはじめとした海運大手も高配当銘柄の代表格として知られています。実際には海運の配当利回りが非常に高かったのは前期である2023年3月期でしたが、話題となった期間も長かったほか、今期も配当利回りが悪いというわけではなく、一定の人気があります。


2023年も年の瀬が迫ってきましたが、今年はこうした従来からの人気配当銘柄以外にも、多くの高配当銘柄が注目され、また実際に株式市場で買われた年でもありました。上昇率だけでいえばルネサスエレクトロニクスやアドバンテストなど年初から2倍以上に上昇した銘柄もありますが、それでも「配当」が今年の相場を表す一つのキーワードであることに違いはないでしょう。


前述したJTはもちろん、上記で挙げげていなかったところでは三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>などの銀行関連の銘柄もよく上昇しました。また、日本製鉄<5401.T>や神戸製鋼所<5406.T>、三菱商事<8058.T>や丸紅<8002.T>などの景気敏感株のなかにも業績拡大や株主還元の強化から配当を増額し、配当利回りが上昇した銘柄が多くありました。


こうして一つ一つ上げていくと、いろんな銘柄があって、どれに投資したらいいか迷ってしまうこともあるでしょう。そんなときに高配当投資を行う際に選択肢の一つとして検討したいのが、さまざまな高配当銘柄を複数組み入れた投資信託です。


なかでも市場で好きなタイミングに売買ができる上場投資信託(ETF)は、その手軽さもあって、近年特に人気を集めています。代表的なものとしてはNEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信<1489.T>が挙げられます。長すぎるので略称としてはNF日経高配当50ETFなどを呼ばれたりもします。



NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信の週足チャート


こちらは日経平均構成銘柄のうち配当利回りの高い50銘柄から構成されており、前述したJTや武田薬品、三菱UFJフィナンシャル・グループ、日本製鉄などが組み入れられています。東京証券取引所が公開している資料によれば、2023年6月30日時点での1口当たり分配金は2228円、同時点での市場価格市場約5万2000円に対する分配金利回りは4.3%となっていました。2023年11月中旬移転では5万8000円前後まで上昇していますが、そこから企業の配当予想も増額修正されていますので、依然として高い利回りを維持しているとみられます。


これは単純に100万円分の同ETFを購入した場合、1年で4万3000円の分配金が受け取れるという計算になります。実際にはここから信託報酬費用や税金などで約2割ほど引かれることになりますが、難しいことは考えず、1つの銘柄に投資するだけで、さまざまな高配当銘柄を組み合わせて分散投資してくれるというのは手間がかからないという点で非常に大きなメリットと言えるでしょう。


なおかつ、今年は前述したように高配当銘柄が非常に人気でしたから、このETFの価格自体も大幅に上昇しました。年初から9月下旬につけた高値6万1630までの上昇率は約45%となっており、日経平均の同31%高、TOPIXの同30%を大幅に上回っています。


中間配当がもらえるのが確定する権利日が9月末だったころから、その直前が高値となっており、今はそこからやや価格は下落していますが、今後も期末配当の権利日である3月末に向けて、再度上昇する場面があるでしょう。


日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

経済誌、株式情報誌の記者を経て2019年に入社。 幅広い企業への取材経験をもとに、個別株を中心としたニュース配信を担当。

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