確定拠出年金、どんな金融商品を選んでいますか

確定拠出年金の運営管理機関連絡協議会では、毎年「確定拠出年金統計資料」を作成し、確定拠出年金に関する現状を広く報告しています。このたび、2023年3月末時点の統計資料が公表されましたので、その中からトピックをご紹介しましょう。


企業型、個人型(iDeCo)ともに加入者は年々増加


確定拠出年金の窓口となっている金融機関を「運営管理機関」といいます。運営管理機関が会員となり、確定拠出年金の普及・発展に努めるための組織が「運営管理機関連絡協議会」です。


「確定拠出年金統計資料(2023年3月)」によると、2023年3月末時点における確定拠出年金の加入者は1,095万人。企業型と個人型(iDeCo)の近年の加入者数の推移は、【グラフ1】の通りです。



もともと加入者数の多かった企業型は、緩やかなペースで加入者数が増加していますが、個人型(iDeCo)の方は、4年で約2.4倍になるほどの勢いで増えています。


金融商品のラインナップについて


確定拠出年金は、加入者自身の判断で掛金を運用します。企業型であれ、個人型(iDeCo)であれ、運営管理機関が用意した金融商品の中から、どの金融商品をどの割合で購入するか、加入者が自分で決めます。


運用がうまくいけば、将来受け取る一時金や年金が多くなりますし、うまくいかなければ思ったほど多くはならず、場合によっては掛金総額より少なくなってしまうかもしれません。


金融商品のラインナップは、運営管理機関によって3~35商品と、まちまちです。「iDeCoを始めたい」とおっしゃる方から、どこの運営管理機関にしたら良いかと聞かれることがあります。口座管理手数料の多寡に注目する人は多いですが、運用のラインナップにどのような金融商品を取り揃えているかも重要な選択基準です。


金融商品の種類は、大きく分けて「元本確保型の金融商品」と「投資信託」があります。


元本確保型は、定期預金や積立年金のような保険商品が代表的です。投資信託の投資対象は、国内株式型、海外株式型、国内債券型、海外債券型、バランス型などさまざまです。また、ターゲットイヤー型と呼ばれる、経過年数や加入者の年代に従って運用対象の配分を変更し、徐々にリスクを下げていく投資信託を扱う運営管理機関もあります。


また、企業型では、導入企業だから加入者となっているという人もいるわけで、必ずしも運用に積極的ではない加入者も見られます。元本確保型だけを選択する人は一定数存在し、2021年3月末までは3割以上いましたが、年々その割合は減少し、2023年3月末時点では26.9%となっています。


どんな金融商品を選んでいるか


では、加入者のみなさんは、どんな金融商品を選んでいるのでしょうか。運用資産のうち、最も選択割合が高い金融商品は投資信託で、その割合は年々高くなっています。2023年3月末時点で、選択している金融商品全体に占める投資信託の資産額割合は、企業型が59.8%、個人型(iDeCo)が64.5%です。


直近の年度ごとに掛金で選択した金融商品別の資産額は、企業型が【グラフ2】、個人型(iDeCo)は【グラフ3】の通りです。いずれも加入者が掛金で選択している金融商品の金額です。




どちらも同じように見えますが、個人型(iDeCo)の掛金規模は、企業型の4分の1以下です。しかし近年は、iDeCoの伸びが高くなっています。


投資信託については、パッシブ運用(インデックスファンド)の人気が高いようです。【グラフ4】は、企業型と個人型について、投資信託を選択している加入者がパッシブ運用またはアクティブ運用のどちらの投信を選んでいるか、投資対象別に集計したものです。



国内株式投信に限っては、アクティブファンドを選んでいる加入者も比較的多めではありますが、過半がパッシブ運用を選択しています。長期・積立・分散投資はパッシブ運用と相性が良いということを、加入者のみなさんはよくご存じのようですね。


【参考資料】

確定拠出年金統計資料(2023 年3月)」(運営管理機関連絡協議会)



ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

ライフプラン→マネープラン研究所 代表 ファイナンシャル・プランナー/CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。終活アドバイザー® 大学卒業後、証券会社に約13年勤務後、2003年にファイナンシャル・プランナーの個人事務所を開業。大学で専攻した心理学と開業後に学んだコーチングを駆使した対話が強み。個人相談、マネー座談会のコーディネイター、行動を起こさせるセミナーの講師、金融関連の執筆を行う。近著は「世界一わかりやすい 図解 金融用語」(秀和システム)。

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