新NISA 2025年6月末時点の利用状況

金融庁では、3ヵ月に1度、「NISA口座の利用状況調査」をまとめています。先日、2025年6月末時点の調査結果が公表されましたので、その概要をお伝えしましょう。


6月末時点でのNISAは2,696万口座、2025年の枠での買付額は10.5兆円


2025年6月末時点で、709の金融機関がNISA口座を取り扱っており、そのうちつみたて投資枠は681金融機関が取扱っています。NISA口座数は、2,696万口座になりました。


2025年初から6月末までのNISAの買付金額は、買付時の時価で10兆5,008億円でした。内訳は、成長投資枠が7兆4,292億円 、つみたて投資枠が3兆716億円です。


2024年の同じ時期における買付額は、NISA全体で10兆1,275億円。成長投資枠が7兆9,100億円でつみたて投資枠が2兆2,175億でした。前年同期に比べて、成長投資枠の買付額が約4,800億円少なく、つみたて投資枠では約4,700億円多くなっています。


さらに、成長投資枠における商品別買付額についての内訳をみると、上場株式が3兆4,750億円で成長投資枠の46.8%、投資信託が3兆6,219億円で48.8%です。上場株式と投資信託で成長投資枠の約95%を占め、ほぼ半々ずつという状況です。残りはETFが2,956億(4.0%)、REITが365億4,144万円(0.5%)でした。これらの内訳の比率は、昨年の同時期とほぼ同様です。


つみたて投資枠の内訳は、インデックス投信が2兆7,061億円で、つみたて投資枠の88.10%を占めています。アクティブ運用投信等は1,516億円で4.94%。ETFが147億円で0.48%となっています。つみたて投資枠の内訳も、前年同期とほぼ同様です。なお、つみたて投資枠の買付額については、一部の金融機関が商品別のデータを公表しておらず、総額と内訳が一致していません。


NISAスタートから2025年6月末までの推移


NISAが始まった2014年1月から2025年6月末までのNISA口座での買付額累計は、63.1兆円です。この数字は、旧NISAの一般NISAとつみたてNISAを含み、新NISAによる買付額までの累計です。【グラフ1】は、3ヵ月ごとの集計時点におけるNISA口座数と買付額累計について、新NISA開始以降の集計分の推移を示しました。



グラフでは口座数、買付額ともに順調に増加しているように見えますが、直近の2025年6月末までは、新NISAが始まってから最も伸びが鈍い3カ月間でした。口座数は同年3月末から約50万口座増えています(+1.9%)が、その前の2024年12月末から3カ月間の約87万口座増(+3.4%)に比べると、伸びは鈍化しています。


2025年6月末までの3カ月間の買付額は約3.9兆円で、口座数の伸びと同様、前の3ヵ月間の約6.6兆円に比べて勢いが鈍くなっています。


半年でNISA口座数が28.5%増えた10歳代


NISA口座数を年代別に見てみると、2025年6月末時点で口座数が最も多い年代は50歳代で、525万口座です。次が40歳代で516万口座、3番目が30歳代で472万口座となっています。


次は視点を変えて、NISA口座数の増加率を年代別見てみましょう。すると、2024年12月末時点に比べて最も口座の増加率が高かったのは、28.5%増の10歳代です。ただし、もともと口座数が少ない年代ですから、半年間で3万口座増えただけで伸び率が高くなりました。次に6.1%増の20歳代、6.0%増の50歳代、5.5%増の60歳代が続きます。


年代ごとの口座数の半年間における変化を、以下の【グラフ2】で示しました。



成長投資枠の買付額は50歳代が最多、つみたて投資枠は40歳代が最多


最後に、2025年のNISA枠での買付額について年代別に見ていきましょう。


成長投資枠とつみたて投資枠の合計額は、40歳代と50歳代が2兆円を超えています。両方の枠の合計金額が最も多いのは50歳代で、2兆2,904億円です。60歳代、30歳代も2兆円にあとわずかという水準です。


【グラフ3】では、各年代の買付額を、成長投資枠とつみたて投資枠に分けて示しました。



成長投資枠は50歳代、60歳代、次いで40歳代が多く、つみたて投資枠は40歳代、30歳代、60歳代の買付けが多くなっています。20歳代は、他の世代と比べると成長投資枠とつみたて投資枠との差が小さくなっています。これらの傾向は、3カ月ごとの調査結果でほとんど変化がありません。


ご年配の方から「NISAは何歳までやれますか?」と聞かれることがあります。判断能力の衰えは個人差が大きいですが、【グラフ3】を見ると、成長投資枠での買付額は半年間で1兆円を超える水準です。以前からの投資分の買い直しだったとしても、売却代金を預金等に移して投資をやめていく一方ではなく、NISA口座でも買付けをしている様子が伺えます。


ただし、ご自身がどのように投資に向き合うかは、ご自身の状況を踏まえた判断が大切です。このようなデータは全体の傾向を知ることで参考になりますが、周りに惑わされず、ご自身の状況において適切な資産管理をすることも忘れないでおきましょう。


【参考サイト】 金融庁NISA特設ウェブサイト「利用状況調査

ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

ライフプラン→マネープラン研究所 代表 ファイナンシャル・プランナー/CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。終活アドバイザー® 大学卒業後、証券会社に約13年勤務後、2003年にファイナンシャル・プランナーの個人事務所を開業。大学で専攻した心理学と開業後に学んだコーチングを駆使した対話が強み。個人相談、マネー座談会のコーディネイター、行動を起こさせるセミナーの講師、金融関連の執筆を行う。近著は「世界一わかりやすい 図解 金融用語」(秀和システム)。

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