今回解説していく通貨はハンガリーフォリント円(HUF/JPY)とチェコ・コルナ円(CZK/JPY)です。両通貨とも上昇トレンドを維持しており、フォリント円は2009年から続いたレンジ相場を上方向にブレイク。コルナ円も史上最高値圏での推移が続いていますが、短期的な調整リスクには一応の警戒が必要な局面です。
ファンダメンタルズを確認すると、ハンガリー中銀は次回会合での連続利下げも含めて金融緩和方針が明確に。チェコ中銀は約4年ぶりの利上げに踏み切りましたが、今後の追加利上げペースに関しては穏やかなものとなりそうです。
今後の相場の焦点:ハンガリー中銀、8月会合でも利下げが濃厚
まずはハンガリーおよびチェコの現在の金融政策状況を確認していきます。
ハンガリー中銀は2021年6月に金融引き締めを開始。2022年9月には政策金利を13.00%まで引き上げました。2023年10月から現在の緩和局面へと移行。2024年10月以降は金利据え置きを続けてきましたが、今年2月に利下げを再開しました。現在の政策金利は5.75%です。
●ハンガリー中銀が金利の引き下げを決めた7月直近会合での声明文では
・物価上昇率は今年後半から来年にかけても中央銀行の目標である3%を下回るだろう
・インフレ率は2028年上半期に中央銀行の目標に戻る
・好ましい状況が継続すれば、理事会はプラスの実質金利を維持しつつ、夏の間を通して政策金利をさらに引き下げる余地があると見ている
・その継続については9月のインフレ報告に基づいて決定する予定
などの見解を示しました。
バルガ総裁も「次回の会合(8月25日)でさらに利下げを行う余地がある」と言及しており、連続利下げが実施される可能性が濃厚。市場では年内に5.00%前後まで金利が引き下げられるとの見方も広がっています。
一方、チェコ中銀は2023年12月から金融緩和を開始。2025年5月に政策金利を3.50%まで引き下げましたが、今年6月から金融引き締めへと移行しました。現在の政策金利は3.75%です。
●チェコ中銀が利上げに踏み切った6月直近会合での声明文では
・2026年後半から2027年初頭にかけてインフレ率が一時的に若干上昇するリスクがある
・コアインフレ率は6カ月間、3%をわずかに下回る水準で推移しているが、低下傾向は見られない
・サービス部門で物価上昇が顕著であり、その価格変動はコアインフレの大きな要因となっている
・理事会は今後の措置を非常に慎重に検討する
・現状では長期的にインフレ率を2%の目標値付近に維持するために比較的引き締め的な金融政策が必要
などの見解が示されました。
なお、中銀のミフル総裁は同国の首相および大統領による利下げ要請に対して、中銀がインフレ抑制のために行っている努力と矛盾するとして要求を拒否したほか、クビチェク理事は「年末までに金融政策の利上げがもう一度行われる可能性は十分にあるが、現時点で緊急性はない」と言及。利下げの可能性を明確に否定した一方、市場の早期利上げ期待に対しても否定的な見解を示しています。
ハンガリーフォリント円の週足チャート分析:2009年以来のレンジ相場をブレイク
ではハンガリーフォリント円(HUF/JPY)について、テクニカル面でも現在の状況を確認していきましょう。下図はフォリント円の週足チャートになります。

フォリント円は今年5月に入って、2009年10月につけた重要な上値目標(0.521円、チャート上の青色実線)を上抜け。2009年から続いてきた0.4円を挟んだレンジ相場をブレイクした格好となりました。
手元のチャートでは2009年以前のデータが表示できず申し訳ありませんが、次の大きな上値目標は2008年7月につけた0.744円。そこまで目立った上値目処はなく、当面は押し目買い方針の継続でよさそうです。
チェコ・コルナ円の週足チャート分析:最高値を維持も短期上昇トレンドに変調か
下図のチャートはチェコ・コルナ円(CZK/JPY)の週足チャートになります。

コルナ円は2020年5月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の青色実線)にあり、現在は2022年3月安値を始点とするより急激な上昇トレンド(チャート上の青色点線)に移行。史上最高値の更新こそ至っていませんが、最高値の7.73円近辺で推移しています。
ただ、チャート下部に追加した「DMI」で確認すると+DIと-DIが接近しており、トレンドの強さを示すADXも急失速。短期上昇トレンドの変調を示唆している可能性もあり、いったんは調整リスクについても警戒しておきましょう。
今後の取引材料・変動要因をチェック:日銀、チェコ中銀は今回据え置きか
最後に今後1カ月間の経済指標や重要イベント等も確認しておきます。注目は日本・ハンガリー・チェコの金融政策。前週に日銀関係者筋の話として「日銀は利上げペースを半年に1回程度の市場予想より加速させることに柔軟な姿勢を取る」との報道も伝わりましたが、7月会合に関しては金利が据え置かれる見込み。チェコ中銀も今回は据え置きの判断で落ち着きそうですが、ハンガリー中銀は連続利下げに踏み切る可能性が高まっています。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
7月30-31日 日本 日銀金融政策決定会合
8月5日 チェコ 7月消費者物価指数(CPI)
8月6日 チェコ チェコ中銀、政策金利公表
8月7日 ハンガリー 7月CPI
8月21日 日本 7月全国CPI
8月25日 ハンガリー ハンガリー中銀、金融政策公表



