株主優待は雑所得!確定申告は必要?評価額はどうやって計算する?

株主優待は企業の株主に対する贈呈品(ギフト)ですので、非課税と思われがちですが「経済的利益」とみなされ雑所得に該当します。


給与所得者の場合、20万円以上の株主優待を受け取った年には翌年に確定申告をしなくてはいけません。商品券やクオカードは受け取った株主優待の金額=評価額になりますが、商品やサービスの場合は一体どうすれば良いのでしょうか?


今回は株主優待と税金、確定申告の実態について、評価額の計算方法を解説していきます。


株主優待をもらっている人は確定申告が必要?評価額は?


株主優待の贈呈品は、雑所得に分類されます。


 


出典:国税庁「2022年分 確定申告書等作成コーナーよくある質問」


給与所得者の場合は株主優待の評価額が20万円以上、自営業者・個人事業主などは原則確定申告をする必要があります。専業主婦(夫)で扶養に入っている方は、評価額が48万円以上になると確定申告をしなくてはいけません。


ただし上記はあくまで所得税の確定申告であって、住民税は所得が生じると確定申告が必要です。


贈呈品の評価額は商品券やクオカードであれば受け取った金額分が、雑所得となります。

商品やサービスの場合は、ホームページやカタログに記載されている「○円相当」を評価額として算定することになるでしょう。


雑所得の計算は「収入―経費」です。株式を取得するための費用は、譲渡所得税の計算で取得費として計上されますので、経費ではありません。


筆者が国税庁の電話相談センターで問い合わせたところ、「株式の取得費は経費には算入されない」という回答でした。


よって「株主優待で得た利益=雑所得」となります。


株主優待は誰がどの位もらったのか、把握することが難しい

株主優待の贈呈品は上記のとおり雑所得に分類され、確定申告が必要です。


しかし税務署が「誰がどのくらい株主優待をもらったのか」を把握することは困難で、実質非課税になってしまうケースは少なくありません。


株主優待は保有株式数が多いと贈呈品がグレードアップする、数量が増えることが多いですが、配当金のように明確に株数と比例しているわけではありません。


所得税基本通達24-2には、注意書きとして「(略)配当等に含まれない経済的な利益で個人である株主等が受けるものは、法第35条第1項《雑所得》に規定する雑所得に該当し、配当控除の対象とはならない」と記されています。


このように税法上のルールとして株主優待は雑所得であり確定申告が必要な事例もありますが、事実上非課税で野放しになっているという実態があります。ただし、過去に「株主優待のクオカードを転売すれば差益が出る」などとして5,000万円をだまし取り詐欺で会社の代表取締役が逮捕された事件があります。



株主優待をあげた、転売した場合はどうなる?

株主優待券を親や友人などにあげた場合でも、株主として経済的利益を得ていることに変わりはありません。よってプレゼントをしても株主優待を得た場合は、雑所得です。


転売して利益が出た際には、利益が譲渡所得となり株主として得た雑所得と譲渡によって得た譲渡所得を申告します。


譲渡所得は、土地・建物・株式などは定められた計算方法を用います。

それ以外の資産を譲渡した場合は、売却価格から「取得費+譲渡費用」を差し引き、さらに特別控除額(最高50万円)を控除し譲渡所得を算出します。


確定申告で雑所得を計算する方法

確定申告で雑所得を申告する際には「収入―経費」で計算します。


雑所得は、暗号資産や副業で得た収入など株主優待の他に雑所得に分類されるものと内部通算(損失と利益を合算する)することが可能です。


しかし内部通算の結果、雑所得がマイナスになっても他の所得から差し引くこと(損益通算)はできません。


まとめ

株主優待は雑所得であり、給与所得者で20万円以上の優待を受けた方、個人事業主・自営業者で優待品をもらった人などは確定申告をする必要があります。


ただし、税務署などが「誰がどのくらい株主優待をもらっているか」把握するのは困難で実質非課税になっている事例があります。


この記事を参考に株主優待と税金、確定申告について知り今後に活かしていきましょう。


ファイナンシャル・プランナー/ライター

田中 あさみ

大学在学中に2級FP技能士の資格を取得。会社員を経て独立し、金融・投資・相続・法律などの記事を執筆している。 自身でも米国株やETF・投資信託等を運用中。

田中 あさみの別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております