あおぞら銀ショック 減配で株価大幅安を避けるための方法

あおぞら銀行が2月1日、業績の下方修正および下期配当を無配とする減配予想を発表し、同日にストップ安まで売られたことが株式市場で大きな話題となりました。


同社は日経平均株価の構成銘柄にも採用されている大型株です。この規模の会社がストップ安となることは珍しく、まずこの点で大きな話題となりました。


また、業績のストップ安まで売られる要因となった業績の下方修正と配当予想の減額修正についてですが、これが米国の商業用不動産の下落に対し、引当金を大きく積み増したためであったことも注目されました。


折しも、米国でニューヨーク・コミュニティー・バンコープが商業用不動産で多額の引当金を計上し、株価が約半値水準まで売り込まれるという出来事があったばかりだったことから、邦銀にも同様の影響が波及するのか、2023年に起きた米シリコンバレーバンクのときのようなショックがまた起きるのではないか、との連想も働いたように思います。


あおぞら銀行日足チャート(DZHFR作成)


あおぞら銀行といえば銀行のなかでも高配当利回りで知られています。減配により株価が下落する前では、配当利回りは5%近い水準でした。それが下期が無配となったことで株価が3300円から2000円付近まで下落したにも関わらず、足もとの配当利回りは3%程度とかなり低下しています。


直近では新NISAの開始に伴い、高配当株に関する投資家の関心が高まっています。マネー誌などでも特集をよく見かけることから、利回りの高さで知られたあおぞら銀行は個人投資家にも人気の銘柄であったと推測できます。こうした配当重視の投資家の売りが同社の下げを加速させた可能性は高いです。


では、このあおぞら銀ショックともいえる出来事は事前に予測可能な内容だったでしょうか。今回のケースでは事前にこうしたケースを予想するのはある程度は可能であったと思います。例えば各証券会社が提供している銘柄のレポート(一般的に言うレーティング)では、同社の米商業用不動産関連のエクスポージャーに対する懸念を指摘するアナリストがいました。


また、23.3期の実績を見ると、EPSが74.67円だったのに対し配当は154円、配当性向は200%に達していました。利益以上に配当を支払っていたということですから、配当をたくさん支払ってくれるいい企業だ、との見方もありましょうが、投資家ならばこれを長期間続けるのは難しいだろう、と考えることも必要です。


今24.3期の期初時点のEPS予想は205.51円でしたから、これでも配当性向は75%近い水準です。企業の規模や成長度合いにもよりますが、一般的に配当性向は30%程度が標準的な水準という考え方もあり、75%でも相当に高い水準です。業績に問題があった場合、減配になるリスクがあると判断することは可能だったと言えるでしょう。


高配当利回りランキングなどを目にする機会も多いですが、単純に利回りの高さだけでなく、継続し安定的な配当を期待できる企業であるのか、配当性向はどの程度なのか、このあたりの基準も加えて企業を見ることで、より魅力的な高配当銘柄を見つけられるはずです。


日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

経済誌、株式情報誌の記者を経て2019年に入社。 幅広い企業への取材経験をもとに、個別株を中心としたニュース配信を担当。

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