業務スーパーの拡大と食品EC事業から見える「安かろう悪かろう」からの次のステージとは

筆者はよく料理をしますが、最近買い物のプロセスに新しい習慣が生まれました。自宅最寄りの「業務スーパー」に行き、鶏モモ肉や手羽、ささみの2㎏袋を購入したうえでいったん自宅へ帰宅、献立を組み大型ディスカウントスーパーに赴きます。失礼ながら業務スーパーのお肉は販売サイズもあり、これまで「安かろう悪かろう」という印象でした。ところが先入観を捨てて見ると、同社の開拓した次のステージが見えてきます。


業務スーパーのお肉はどれだけ安いのか

2024年2月のある日の業務スーパーの鶏モモ肉は100gあたり税込84円、合いびき肉は100gあたり税込108円でした。近くの消費者向けスーパーと比較して、鶏モモ肉は100gで20円近く、ひき肉に至っては30%近い安値です。


なぜこんなことが可能なのでしょうか。業務スーパーを運営する神戸物産は農畜産物の生産から加工、小売までを自社グループで行っています。俗にいうプライベートブランド(PB)は例外もありますが、自社の販売網を前提に製造業者に対し、格安ブランドを展開している形態です。神戸物産は拡大することで、グループの利益率が安定する仕組みといえます。かつ現在も積極的なM&Aを仕掛けており、より強固な産業グループにするプランが掲げられているのでしょう。



業務スーパーが待ち望んだ「インターネットの評価」が高くなっている

筆者が業務スーパー経由を開始したのは、X(旧Twitter)に「業務スーパーのお肉は『安かろう悪かろう』という評価をする人が多いけれど、充分に食せるものだ。特に鶏唐揚げなどの揚げ物がおすすめ」と書かれていたことでした。


半分疑いの目で2㎏を購入し、数日間に分けて料理すると、消費者向けスーパーに引けをとらないお肉です。これでこの値段?というのが最初の率直な感想でした。上手に保管すれば、月の食費は1万円近く浮くことになります。


このような感想を持つユーザーが増えてきていて、インターネットには「安かろう悪かろうだったけど美味しい」から「業務スーパーのお肉は美味しい」に変わってきています。もちろんネットの評価は主観です。自分は消費者スーパーの方かなと感じた方が敢えて書き込まないという背景もあるでしょう。ただ、この状況が業務スーパーの待ち望んでいる「(インター)ネット評価」に繋がっていることがわかります。


株価展望はグループ1社提供型が定着する前の流動期か


神戸物産(3038)は上場しています。最新の株価を見てみましょう。


 

株価推移を見ると、とても変動性が高い銘柄であることがわかります。売上高やPBRは毎期上昇していますが、同社のIRページを見ると提示株主総会の募集要綱を見るまで業績がわからず、マイペースさに苦笑いしてしまいます。このあたりのIRを整備することも株価上昇要因ではありますが、同時に会社のスタンスではあるので、投資家としては今後の展開に期待したいところです。


なお、同社は毎月の売上速報を官報にて発表しています。四半期ではなく毎月です。推奨すべき告知方法ですが、決算報告のみならず月次収支を毎月官報に出しているのは珍しいのではないでしょうか。2024年1月の業績は完全に波に乗っていることがわかります。


売上高:369億900万円(前年同期比+12.9%)

売上総利益:37億6800万円(同+23.1%)

営業利益:21億6200万円(+29.6%)

経常利益:103億5800万円(+904.3%)


引用:官報ブログ


経常利益は何か特別利益があったものと考えますが、それを抜きにしても、本業の強さを強く感じる月次決算です。


業務スーパーと食品ECに見れる共通項

業務スーパーと同じ傾向を実感するのが食品ECです。楽天などのポータルサイトからのECは従来よりありましたが、最近はより生産者の顔が見える作りのサービスが存在感を高めてきた印象です。ECではありませんが、ふるさと納税も似た形態といえるでしょう。


繰り返しになりますが、業務スーパーのIRを見ると、同グループ内で生産した商品群はいかに優れているのかを宣伝した方がいいように思います。創業者の子息である現在の社長は当然、ブランディングイメージの刷新をどこかの段階に組み込むよう、タイミングを見計らっているのではないでしょうか。その時に、業務スーパーという小売店フランチャイズは更に成長するきっかけとして、投資家の支持を得るのではないかと考えられます。

独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

株式会社FP-MYS 代表取締役 1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

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