【いまから会社リサーチ】味の素:調味料だけではないニッチトップ

新NISAをきっかけに株式投資を始めた人は多いと思います。投資銘柄を選ぶ基準は人それぞれですが、最初の投資銘柄としては、身近な会社、配当や株主優待が魅力的な会社などが人気ですね。


晴れて投資家デビュー!とは言いつつも、銘柄選びに際して最初はなんとなく良さそうな気がしたから・・・という人も多いのではないでしょうか。慣れていないと会社のすべてを調べることはなかなか大変な作業ですし、働きながらそんな暇はないよ!という人も多いと思います。


そういった事情を踏まえて、簡単に会社のことが分かればいいのに!という要望を想定し、このコーナーでは大まかな概要だけでなく、そんなこともやっているの!?という意外な情報、豆知識などもお届けしていきます。


ちなみに今回紹介する銘柄は、調味料でおなじみの「味の素(銘柄コード:2802)」です。


100年以上の歴史を持つ調味料の国内最大手

味の素と言えば、社名かつ商品名でもあるうま味調味料「味の素」がシンボルですよね。知らない日本人を探す方が難しいくらいに身近な会社です。創業は1907年(明治40年)と古く、創業者である鈴木三郎助氏が池田菊苗教授の「日本人の栄養状態を改善したい」という思いを共有し、会社を立ち上げたことから始まります。


そして1908年に「グルタミン酸塩を主要成分とせる調味料製造法」を取得し、翌1909年に「味の素」の販売が始まります。とはいっても当時は「うま味って何?」だったようで、原材料に蛇が使われているといったデマも流れたとのこと。


ちなみに、当時の日本では小麦粉が原料、今はサトウキビのようです(販売されている国によって原材料がかわることもあります)。味の素は体に悪い!という偏見が一部で根強く残っていますが、味の素の主成分はアミノ酸の一種であるグルタミン酸ナトリウム。さまざまな天然由来の食材にも含まれています。過去に味の素を入れ過ぎて体調を崩した事件があったようなので、なんでも食べ過ぎは良くないということですね。




いまはどんな事業を展開?

前述のとおり創業100年を超える味の素ですが、2023年3月期末時点で連結子会社110社、持分法適用会社14社を傘下に持つ巨大企業に成長しました。従業員数は連結で3万人を超え、就活生の人気企業ランキングでは常に上位です。ちなみに味の素本体の従業員数は約3300人、平均年収は1048万円ほどとなっています。高給取りですね・・・!


事業についても、調味料、栄養・加工食品、ソリューション&イングリディエンツ、冷凍食品、医薬用・食品用アミノ酸、バイオファーマサービス(医薬品製造受託)、ファンクショナルマテリアルズ(電子材料)など多岐にわたります。


食品はイメージがつくけれど、電子材料って何?と思った人もいるはず。実は味の素、半導体(CPU)の絶縁材として「味の素ビルドアップフィルム(通称ABF)」というものを作っています。1970年代にアミノ酸に関するノウハウを応用した絶縁性をもつエポキシ樹脂に注目し、90年代にパソコン用半導体基板への応用したとのこと。現在では全世界の主要なパソコンのほぼ100%のシェアを持つといい、食品会社が半導体に欠かせない部材を作っているということには驚きですよね。

※半導体の断面図イメージ


また、昨今では働き方が多様化していることもあって冷凍食品が人気であるほか、健康への意識も高まっています。世の中のさまざまなニーズや半導体関連のニッチトップとして、今後の展開に注目したいところです。


<ざっくりとした数字のまとめ>

 

※時価総額以外の項目は23年3月期の実績

※時価総額は24年3月26日時点






日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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