米国株3月月間回顧 - 3月は主要3指数がそろって5カ月続伸

3月は主要3指数がそろって5カ月続伸 ダウ平均が40000ドルに接近


3月の米国市場では、ダウ平均が2.08%高、S&P500が3.10%高、ナスダック総合が1.79%高とそろって5カ月続伸となりました。

四半期ではS&P500が10.16%高となり、第1四半期としては2019年の13.07%高以来の大幅高となりました。ダウ平均も5.62%高、ナスダック総合は9.11%高となり、3指数がそろって2四半期続伸となりました。


上旬はダウ平均がやや軟調に推移したものの、エヌビディアを中心に2月下旬からのAIラリーが続き、S&P500とナスダック総合が連日で史上最高値を更新しました。


しかし、上場来高値更新が続いたエヌビディアが利益確定売りに押され反落するとその他のAI関連銘柄にも利益確定売りが優勢となりました。

中旬に発表された米2月消費者物価指数(CPI)や米2月生産者物価指数(PPI)が高止まりし、インフレ長期化懸念が強まったことも相場の重しとなりました。


下旬は再び買いが優勢となりました。20日に結果が公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利が市場予想通りに据え置かれ、注目されたメンバーのFF金利見通し(ドットプロット)では年内3回の利下げ見通しが維持されました。

また、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見を受けてFRBが景気拡大を容認するとの見方が強まり、米国経済のソフトランディング期待が高まったことも投資家心理の改善につながりました。


終盤は月末・四半期末を控えた持ち高調整の動きが強まる中、グッドフライデーの祝日で休場となる月末29日に(FRB)がインフレ指標として注目する3月個人消費支出 (PCE)価格指数の発表を控えた様子見姿勢が強まったことで方向感に欠ける展開となりました。


ダウ平均は20,21日に連日で史上最高値を更新し、月末28日は終値の最高値を更新しました。

S&P500は上旬と下旬に史上最高値を更新。終値では20営業中8日で最高値を更新し、5200ポイントを突破して終了しました。

ナスダック総合は3月22日まで最高値更新が続きましたが、最終盤は伸び悩みました。


セクター別では10セクターが上昇し、1セクターが横ばい


S&P500の11セクターは、横ばいとなった一般消費財を除く10セクターが上昇しました。


月間騰落率上位は、エネルギーが10.4%高となったほか、公益、素材が6%超上昇し、金融、コミュニケーション、資本財が4%超上昇。生活必需品も3.2%高となり、S&P500(+3.1%)をアウトパフォームしました。


一方、月間騰落率下位は、一般消費財が横ばいとなったほか、不動産、IT、ヘルスケアが1-2%高にとどまりました。一般消費財では、テスラが月間で12.9%安となり、業種指数の重しとなりました。


年初来ではコミュニケーションが15.6%高、エネルギーが12.7%高、ITが12.5%高、金融が12.0%高となりS&P500の10.2%をアウトパフォームしました。一方、不動産が1.4%安と唯一マイナス圏にとどまりました。


ダウ平均採用銘柄は23銘柄が上昇し、7銘柄が下落


ダウ平均採用銘柄は、3月は月間で23銘柄が上昇し、7銘柄が下落しました。


新最高経営責任者(CEO)の指名や、ヘルスケア事業のスピンオフが好感されたスリーエム(3M)が月間で15.1%高と急伸し、業績向上見通しを背景にキャタピラー、ウォルト・ディズニーも9%超上昇しました。


一方、中国での販売減速が嫌気されたナイキが月間で9.6%安となったほか、737Max機のドアパネル事故の業績への影響が懸念されたボーイングや、欧州での不正競争防止法違反による巨額罰金や中国でのiPhone販売の落ち込みが嫌気されたアップルがともに5%超の下落となりました。






国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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