4月は主要3指数が高安まちまち トランプ関税で急落後に反発
4月の米国市場では、ダウ平均が3.17%安、S&P500が0.76%安とともに3カ月続落しましたが、ナスダック総合は0.85%高と3カ月ぶりに反発しました。
上旬は、トランプ米大統領が2日にほとんどの貿易相手国に対して高率の「相互関税」を課すと発表したことで急落しました。
「相互関税」の発表を受けて3日のNY市場ではダウ平均が1679.39ドル安(-3.98%)、S&P500が4.84%安とともに2020年6月以来の大幅安を記録し、ナスダック総合は5.97%安と2020年3月以来の急落となりました。
4日の取引でも中国が米国に対して報復関税で応じたことで、ダウ平均が2231.07ドル安(-5.50%)と2日間で3910ドル下落し、S&P500も5.97%安と2日間で10.53%下落しました。ハイテク株主体のナスダック総合も5.82%下落し、2日間で11.44%の急落となりまた。
しかし、9日はトランプ米大統領が「相互関税」を90日間、一時停止すると自身のSNSトゥルース・ソーシャルに投稿したことで、急速に買い戻しが強まりました。
ダウ平均は2962.86ドル高(+7.87%)と2020年3月以来の急騰を記録し、S&P500も9.52%高と2008年10月以来の上昇率を記録。ナスダック総合は12.16%高と2001年1月以来の大幅高を記録しました。
中旬も不安定な展開が続きました。トランプ米大統領は「相互関税」を90日間停止したものの、中国に対しては関税が累積で145%になり、中国も報復として米国製品に125%の関税を課すとしたことで、米中貿易戦争の激化懸念が強まりました。エヌビディアが、米政府が性能を落としたAI用グラフィックプロセッサー「H20」の中国向け輸出を禁止したことに関連して55億ドルの費用を計上すると発表し急落したことも相場の重しとなりました。
下旬は急反発となりました。トランプ米大統領がパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長を批判し、FRBの独立性への疑念が強まったことで米国株、米国債、米ドルなどのドル資産が下落する「アメリカ売り」が強まる場面もありましたが、ベッセント財務長官が米中貿易戦争の緩和の可能性を示したことや、トランプ米大統領がFRB議長の解任を否定し、中国との貿易交渉により穏健な姿勢で臨む用意があるとしたことで買い戻しが強まりました。
ダウ平均とS&P500は4月22日から28日まで5営業日続伸し、ナスダック総合も22日から4日続伸となりました。月間ではダウ平均とS&P500が下落したものの、ナスダック総合は3月末水準を上回って終了しました。
S&P500の11セクターは4セクターが上昇、1セクターが横ばい、6セクターが下落
S&P500の11セクターは、ITが1.6%高、生活必需品が1.1%高、コミュニケーションが0.6%高、資本財が0.2%高と4セクターが上昇し、公益が月間で横ばいとなりました。一方、エネルギーが13.7%安と急落し、ヘルスケアが3.8%安、素材と金融がともに2.2%安、不動産が1.3%安、一般消費財が0.3%安と6セクターが下落しました。
月間上昇率トップのITでは、パランティア・テクノロジーズが40.3%高と急騰。NATOがパランティアのAI搭載戦闘システム「Maven Smart System」の買収を完了したことが好感されました。ソフトウェアのクラウドストライクとサービスナウもともに20%超上昇したほか、時価総額上位銘柄では半導体のブロードコムが15.0%高、ソフトウェアのマイクロソフトも5.3%高となりました。
一方、月間で2桁の下落となったエネルギーでは貿易戦争による景気減速懸念を背景に原油相場が大きく下落したことで、APA(旧、アパッチ)、ハリバートン、SLB(旧、シュルンベルジェ)、オキシデンタル・ペトロリアムが軒並み20%超の下落となりました。
ダウ平均採用銘柄は9銘柄が上昇し、21銘柄が下落
ダウ平均採用銘柄は、4月月間で9銘柄が上昇し、21銘柄が下落しました。
ディフェンシブ銘柄への物色が強まったことでウォルマートが月間で10.8%高と急伸したほか、第1四半期の赤字が予想以上に縮小したボーイングが7.4%高となり、マイクロソフトも5.3%高、マクドナルドが2.3%高となりました。
一方、予想を下回る第1四半期決算や通期見通し引き下げが嫌気されたユナイテッドヘルスが21.4%安と急落し、原油安が嫌気されたシェブロンが18.7%安、米中貿易戦争が重しとなったナイキが11.2%安となりました。