【日本株ピックアップ】オリエンタルランド:おもてなし最強と名高い東京ディズニーリゾート

新語・流行語大賞に「お・も・て・な・し」がノミネートされたのは2013年。それからはや10年以上が経ちますが、巷ではおもてなしにおいて最強集団と評される企業があります。


2023年に開園40周年を迎えた日本屈指のテーマパークと言えばイメージがつくでしょう。今回は東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランドを紹介していきます。


年間来場者数2000万人を超えるTDR

誰もが知る東京ディズニーリゾートですが、年間来場者数は2022年実績で約2209万人となります。新型コロナウイルス流行前の18年には過去最高の約3256万人が訪れており、開園初年の1983年(約993万人)と比べて3倍以上!

熱烈なファンは年に何度も訪れるとのことなので、その人気ぶりが伺えます。


ちなみに、運営会社であるオリエンタルランドが設立されたのは1960年7月。その後に浦安沖の埋め立て工事、ウォルト・ディズニーとのライセンス契約、東京ディズニーランド建設と準備を進め、開業までにおおよそ23年かかりました。


そんな東京ディズニーリゾートですが、施設は大きく分けて東京ディズニーランド、東京ディズニーシー、商業施設のイクスピアリ、ホテルの4つに分けられます。


気になる業績動向


来場者数の着実な増加からコロナ禍による苦境、紆余曲折を経て持ち直しました。本稿執筆日時点で開示されている直近の業績は2024年3月期の第3四半期決算ですが、純利益は998億円(前年同期比66%増)と、同期間として過去最高を更新しています。


下の表は各事業の実績(23年3月期の第3四半期時点)です。ディズニーとなると、2万人を超えるスタッフの人件費、アトラクションに使う水道光熱費など、かなりコストがかかりそうなイメージですが、実は利益率が30%を超えます。また、ディズニーランドホテルやミラコスタは憧れの高級ホテルとして有名ですが、売上高は高級ホテルの代名詞である帝国ホテルを上回ります。


 

出所:オリエンタルランド 2024年3月期 第3四半期決算説明会資料


その利益は一体どこから出てきているのか、その理由の1つとして値上げの効果が大きいようです。開園当初(1983年)の1デーパスポートは大人価格で3900円でした。それがなんと、2023年10月には最大10900円にまで引き上げられており、価格差は最大2.8倍に迫ります。これまで段階的に値上げを実施していますが、それでも来場者数が衰えないのはすごいことですよね。


なお、現在は変動価格制なので7900円~10900円と幅があり、土日や長期連休など混雑する日は高く設定されます。この仕組みはダイナミックプライシングと呼ばれていたりもします。2024年6月6日には、東京ディズニーシーの新エリア「ファンタジースプリングス」がオープンします。しばらくは超のつく混雑が予想されるので、チケット価格も高水準になるかもしれません。


株主優待制度も魅力

オリエンタルランドは優待株としても人気です。株主数は2023年9月末時点で29万8890人ですが、そのうち20.84%が個人・その他に分類されており、所有者別では最もシェアが大きいです。


ちなみに優待内容は「東京ディズニーランド」または「東京ディズニーシー」どちらかのパークで利用可能な1デーパスポートで、保有株数に応じてもらえる枚数が増えます。対象となるのは最低100株以上。500株以上になると毎年最低1枚もらえます。家族全員でオリエンタルランド株を買い、優待で遊びに行くという人もいると聞きます。


ちなみに、100株以上~500株未満の場合は3年以上の継続保有が必要なので、優待目的で新規購入する際にはいつからもらえるようになるのか、事前確認が必須です。


オリエンタルランドの意外な株主


前項では個人投資家のシェアが最も大きいと言いましたが、オリエンタルランドの筆頭株主は私鉄大手の京成電鉄です。保有比率は21.15%もありますが、24年3月に1%分を売却しました。海外の機関投資家から、東京ディズニーリゾートとの相乗効果が薄いなどと指摘されたことが要因の1つです。


ただ、京成電鉄はオリエンタルランド設立前から資金援助をしており、一緒に東京ディズニーリゾートを立ち上げた深い関係にあります。一致協力して世界有数のテーマパークを作り上げた両社の仲はそう簡単には切れません。とはいっても、今後も株を売却しろという要求が続く可能性もあるので、両社の関係がどのようになるのか引き続き注目したいところです。


日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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