2022年4月以降のIPOで株価が公開価格を大きく下回っている銘柄を確認

今回は2022年4月以降の上場銘柄について、足元の株価が公開価格を大きく下回っている銘柄を確認します。そして、その上位3社について、株価が下落している要因を分析してみたいと思います。



公開価格比下落ランキング10位(2024/04/08更新)




1位はノイルイミューン・バイオテック(4893 公開価格740円 以下、ノイル)

同社の上場来高値は上場初日の高値775円。その後の株価は右肩下がりとなっています。

直近で大きく下落した要因としては、12月15日に発表した武田薬品工業との「NIB102」および「NIB103」のライセンス契約解消があります。


ライセンス契約解消の理由は、武田における細胞療法の開発ポートフォリオにおける他家細胞療法への戦略的シフトによるものであり、NIB102とNIB103の安全性や有効性を要因とするものではないとのことです。今後、他社とのライセンス契約の可能性もあることから、そこに期待できないわけではありません。


ただし、同社のパイプラインで進んでいるものは2024年1月末時点でNIB101、NIB102、NIB103が第1相臨床試験段階となっています。そしてNIB102とNIB103は武田からの返還について協議中となっています。

このような状況から、上市までの道のりはまだまだ長いと考えられます。赤字であることから、今後、資金調達が行われる可能性が高く、株価が低迷していても手を出しづらい銘柄であると考えます。



2位はブリーチ(9162 公開価格1340円)

ブリーチの株価下落の要因は業績と考えられます。上場時点では安定した業績推移が予想されており、実際に前期(23.6期)の営業利益は21.7億円(22.6期は10.3億円)と大幅な増益での着地となりました。


今期(24.6期)の営業利益については、当初予想は22.1億円(前期比1.6%増)と小幅な増益見込みとなっていましたが、2024年2月に2.5億円の黒字~2.0億円の赤字(レンジ形式)に下方修正しました。

下方修正の要因は、同社の広告投資の効率性を表す指標が下落したこと、および新たなマーケティング施策に向けた投資や人材採用教育成投資の拡大などとしています。


広告投資の効率性が低下していることは気になりますが、先行投資と考えられる部分もありますので、それが収益に結びついてくれば、来期のV字回復が期待できます。24.6期の下期の業績推移をみながら、チャンスを狙ってみるのも面白いと思います。



3位はAtlas Technologies(9563 公開価格1440円 以下、Atlas)

Atlasの株価下落の要因もブリーチと同様に業績と考えられます。前期(23.12期)の営業利益は大幅な減益となり、今期(24.12期)は営業赤字に転落する会社予想となっています。

要因は、一部のプロジェクトからの収入減少を要因とした収入減少を予想していることや、戦略的な人材投資を行うこととしています。


上場時点で販売先が大手携帯キャリアかその子会社に偏っているとのアナリストの指摘がありました。収入減少が一時的なものであればよいのですが、販売先が偏っているとすれば影響が長引く可能性があります。投資するにしても業績回復の胎動が感じられてからでも遅くはないと考えます。



最後に

今回は3銘柄をみてみましたが、足もとの株価が公開価格を下回っている銘柄にはやはりそうなる原因がありました。逆に言えば、その原因が解消されれば、株価が再浮上することにつながると想定されます。宝探し感覚で大化け銘柄を探してみるのも面白いと考えます。


日本株情報部長

河賀 宏明

証券会社、事業会社におけるIR担当・経営情報担当、FPや証券アナリスト講師などを経て2016年に入社。 金融全般に精通。証券アナリスト資格保有。 「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別株を中心としたニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 株主手帳、日経CNBC「朝エクスプレス」、日経マネー

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