早いもので2025年も後半戦に突入しました。今年前半のIPO銘柄でも、人気化したもの、決算を発表し売り込まれたものなど様々ですが、今回は3月28日に東京証券取引所のグロース市場に新規上場したトヨコー(341A)を紹介したいと思います。
同社の株価は上場以来、右肩上がりで推移しており、7月9日には上場来高値を更新しています。TBS系トーク番組「がっちりマンデー!!」に取り上げられたこともあり、投資家からの知名度もますます高まっている同社ですが、好業績・人気の理由を検証したいと思います。
何をしている会社?
3層の樹脂をスプレーコーティングして強靱な屋根によみがえらせる「SOSEI」の施工と、老朽化したインフラのサビや塗膜などをレーザーで除去する「CoolLaser」の製造・販売をおこなっている会社です。「CoolLaser」は特許も取得しており、独自の技術に強みをもっています。
「CoolLaser」とは
同社の製品で、投資家からも期待を集めているのが「CoolLaser」です。高出力レーザーで金属表面のサビや古い塗装、有害物質(鉛・PCBなど)を安全かつ効率的に除去する次世代の洗浄技術です。非接触・非研磨で金属本体を傷つけず、薬品や水を使わないため環境にも作業者にも優しいのが特長。騒音も少なく、工場稼働中や市街地での施工にも対応可能です。従来工法と比べ廃棄物がほとんど出ないため、インフラや工場設備の長寿命化とサステナブルな保全に大きく貢献するとしています。また、国土交通省の令和7年度準推奨技術に「CoolLaser工法」が選定されるており、同工法を採用する事が工事会社の加点要素となるため、同工法の採用の拡大が期待されます。
売上構成を大転換。今後の展望は?
「CoolLaser」の納品は2024年9月からスタートしているといいます。これに伴い、同社は売上高構成比の変化を見込んでいます。「CoolLaser」が24.3期の売上高に占める割合はわずか3%でしたが、25.3期には21%に、30.3期にはなんと85%を占めるイメージとしています。短期間で劇的な変化となりますが、それだけ「CoolLaser」拡販への自信がうかがえます。同社は、業界ごとにレーザー施工の仕様化や実績を積み上げ、他地域や同業他社、海外に展開するとのことです。一度採用、納入に至れば、継続的なメンテナンス、消耗品による安定的な収益獲得にもつながりそうです。
出所:「事業計画及び成長可能性に関する事項」株式会社トヨコー 2025年6月30日
「CoolLaser」は2008年に開発を開始、2019年には一般社団法人レーザー施工研究会立ち上げるなど業界の整備、長期間の開発、社会実験の段階を経て、ようやく事業成長・収益化の段階にきています。
同社の26.3期の業績見通しは売上高が前期比48%増、営業利益が同93%増と大幅増収増益の見込みです。特に営業利益は前期の営業黒字転換から1年でおよそ2倍となる見通しになっているのは驚きですね。最近では、社会インフラの老朽化が喫緊の課題となっていることも追い風となりそうです。同社のこれからの成長が楽しみです。