あの株はいまいくら?

第64回 永代供養墓の企画・建立・運営・販売代行などのエータイ(369A) 高い成長続く?それとも成長鈍化

「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回はエータイ(369A)みていきます。


同社は永代供養墓募集代行業務院が提供する新たなお墓の形である「永代供養墓」を中心とした寺院コンサルティング事業を行っています。


「永代供養墓」とは、同社の有価証券届出書では「墓地の利用者に後継者がいなくても寺院が永代に渡り供養・管理を行う墓地であり、従来の伝統的な墓地の場合は墓地の利用者による管理およびその費用負担、墓地の承継者を必要とするのに対し、永代供養墓はこれらが不要であることが一般的である」と記載されています。


寺院コンサルティング事業は、具体的には「永代供養墓募集代行業務」、「その他の業務」となっています。


「永代供養墓募集代行業務」では、永代供養墓募集代行契約を締結した寺院に対して、永代供養墓の運営に係る業務をワンストップで提供。永代供養墓利用者の成約額から永代供養など宗教活動の対価として寺院に配分する志納料を差し引いた金額を募集代行手数料として収受し収益としています。


「その他の業務で」は、永代供養墓域の管理代行業務および寺院への集客提案などの各種ソリューションならびに葬儀関連業務を行っています。


同社の上場については、弊社のIPOアナリストは「従来型の家で継承していく墓が時代にそぐわなくなりつつあるなか、集合型の墓の需要は今後も増加していくだろう。檀家(だんか)離れが進む寺院側にもそれに代わる収益手段としてメリットがあり、到来する多死社会に備えた変わり種案件としても注目を集めそうだ」と指摘。業績が順調に拡大していることもあり、堅調な初値形成を予想していました。



エータイの株価推移(上場から2025年8月5日まで)

2025年6月26日に東証グロースに上場した同社の初値は2547円と公開価格1510円を大きく上回りました。初値形成後も堅調な展開となり、2967円まで上値を伸ばしましたが、その後はやや売りに押され上場初日の終値は2600円となりました。


上場2日目も2913円まで上値を伸ばしましたが、その後は売りに押され、終値は2515円と前日終値を下回りました。なお、3日目、4日目も引けにかけて売りに押される展開が続き、上値の重さが意識されていました。


しかし、7月に入り流れが変わります。徐々に騰勢を強め7月半ばには終値で3000円の大台に到達。このタイミングで上場後初の決算発表を迎えます。


同社は2025年7月15日に25.8期3Q累計(2024年9月~2025年5月)の決算を発表。営業利益は6.0億円となり、通期の会社計画7億2800万円に対する進ちょくは82.4%と良好な進ちょくが確認できました。

同社では、であった広告媒体を中心に繁忙期後半に向けた先行投資を実施、さらに、折り込みチラシなどの集客方法の見直しを実施したことに加えて訪問顧客数の確実なクロージングにより、既存開苑寺院 の売上高が順調に推移したとしています。


この決算を受けて翌16日の株価は上昇。決算期待で株価が上昇してきていたこともあり、16日は小幅な上昇にとどまりましたが、17日に3300円まで上昇。これが現時点(2025年8月5日)での上場来高値となっています。


その後の株価はすぐに3000円割れとなり、徐々に下値を切り下げます。ただ7月29日に2730円まで下げたところでいったん下げ止まりとなり、足もとの株価は2900円程度で推移しています。



【エータイの日足チャート(上場から2025年8月5日まで)】



今後について

同社については10月下旬に発表が予定されている本決算が注目されます。25.8期については会社計画(7億2800万円)を上回る着地が期待されますが、問題は26.8期です。


IPOの主幹事だった大和証券は上場直後にレポートを出しており、26.8期の営業利益は5.5%増の7.7億円を予想しており、成長鈍化を想定しています。


26.8期の会社予想が8億円を超えてくれば、しっかりとした成長が継続していると判断できるでしょう。しかし、25.8期が上振れて、26.8期が大和予想程度となれば、成長鈍化が強く意識されることになると思います。

次回決算発表次第で評価が一変する可能性もありますので、しばらくは様子見し、決算を見極めたほうがよいと考えます。


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日本株情報部長

河賀 宏明

証券会社、事業会社におけるIR担当・経営情報担当、FPや証券アナリスト講師などを経て2016年に入社。 金融全般に精通。証券アナリスト資格保有。 「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別株を中心としたニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 株主手帳、日経CNBC「朝エクスプレス」、日経マネー

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