ペアトレード・チャレンジではペアトレードの実際の事例を紹介していきます。今回はペアトレード・チャレンジの第2回となります。
ペアトレードとは
ペアトレードは「似たような動きをする銘柄」の「売りと買いを組み合わせる」という投資手法であり、リスクを抑えつつ利益を狙う取引といえます。
ペアトレ・チャレンジ「みずほと三井住友」
今回はペアトレードは、みずほフィナンシャルグループ(8411)と三井住友フィナンシャルグループ(8316)を取り上げます。以下は両社の株価(2024年5月22日の終値)などをまとめたものです。なお、平均価格差は2024年1月から5月までの終値データを使用、相関係数は150日分のデータを使用して算出しています。
平均価格差5516円に対して、実際の価格差が6687円と開いています。また、みずほと三井住友の相関係数は0.99とかなり1に近いので同じ動きをする可能性が高いと判断できます。
ここで、以下のようなペアトレードを実施しました。なお、同じ株数を買うのではなく、投資金額をほぼ同額にすることがポイントです。
みずほの買い(3129円で1600株:投資金額500万円程度)
三井住友の売り(9816円で500株:投資金額490万円程度)
今回のペアトレードでは、実際の価格差と平均価格差は1171円開いています。したがって、みずほの株価が安すぎるのではないか、三井住友の株価が高すぎるのではないかと考えることができます。
つなり、みずほの株価が上がるまたは三井住友の株価が下がるという動きによる価格差縮小が期待されます。
ペアトレードのリスク低減効果
ペアトレードは見た目の投資金額は大きくなりますが、相関係数が高い銘柄の買いと売りを組み合わせですので、それぞれが逆の動きをすると想定されます。これにより、理論的な最大損失をかなり抑えることができます。
各項目の説明は省きますが、以下の事例からリスク低減効果があるということを認識してもらえればと思います。
みずほの買い(3129円で1600株)のみの場合
理論的な最大損失(VAR:バリューアットリスクで算出)は20万5000円程度(2024年5月22日時点)。
三井住友の売り(9816円で500株)のみの場合
理論的な最大損失(VARで算出)は18万6800円程度(2024年5月22日時点)。
上記を組み合わせた場合はどうかというと、
みずほの買い(3129円で1600株)+三井住友の売り(9816円で500株)の場合
理論的な最大損失(VARで算出)は1万8400円程度(2024年5月22日時点)まで低下します。
このように相関係数が高い銘柄の買いと売りを組み合わせればリスクを抑えることができます。
最後に
みずほと三井住友の価格差は、5月半ばから拡大しました。これは両者の決算発表後の動きに差が出たためです。
両社ともに今期(25.3期)の最終益は10%の増益を見込んでいますが、三井住友は決算発表と同時に自己株取得と株式分割を発表しました。価格差拡大はこの自己株取得と株式分割が影響したと考えられます。
今回のペアトレードは、自己株取得と株式分割が一時的に株価を押し上げたものの、価格差は徐々に平均へ回帰すると見込んだものとなります。今後、価格差が平均の価格差に戻るのか、それとも拡大したままなのか。どのような結果になるか、注目していきたいと思います。