キユーピーの答え合わせ

特定の銘柄の値動きを1カ月間追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」

今回は2025年5月に取り上げたキユーピーの値動きを振り返ります。


キユーピーを買ってみた



1カ月後の株価は横ばい


6月30日の株価は3371円でした。5月28日の終値は3372円でしたので、値動きをみた期間では1円の下落となりました。33万7200円が33万7100円となり、-1円×100株で100円の下落(手数料・税金等は考慮せず)、下落率は0.03%となりました。


いったん失速も下げ渋って反転


それでは、この間の値動きを見ていきましょう。



価格改定(値上げ)を好感した買いは長くは続かず、5月30日に3429円まで上昇した後はしばらく上値の重い動きが続きました。一方、6月中旬以降は3200円台で下値が固くなっており、6月後半からは基調が上向きとなりました。下げて戻して、この1カ月ではほぼフラットという動きとなりました。


期間中の高値は5月30日の3429円、安値は6月20日の3244円でした。期間全体で見ても値幅はあまり出ませんでした。


ただ、6月後半からの上昇には弾みがついており、7月2日には3537円まで上昇しています。


日経平均やTOPIXには見劣り


横ばいなら強くも弱くもないとも言えますが、日経平均株価やTOPIXと比較すると、見方も変わってきます。同じ期間の騰落率を見ると、日経平均は+7.33%、TOPIXは+3.01%となっています。キユーピーは-0.03%ですので、日本株の動きが良かった割には見劣りする動きでした。


これに関しては、6月の日本株の上昇は半導体株など成長期待の高い銘柄が牽引役となっていたことが要因と考えられます。食品株は安定した業績が見込まれるという点で、ディフェンシブ性のある業種とみられています。成長期待の高い銘柄が選好される局面では、ディフェンシブ株が物色の蚊帳の外に置かれることも多いです。


逆に、成長期待の高い銘柄に過熱感や上昇一服感が出てくると、ディフェンシブ銘柄の安定感に注目が集まります。日経平均は6月後半にかけて3万9000円や4万円といった節目を勢いよく超えてきましたが、7月に入ってブレーキがかかったような動きを見せていますので、食品株の安定性が見直されていると推測されます。


上場来高値が射程圏内に


キユーピーは11月決算銘柄で、7月3日に上期の決算発表を予定しています。決算では株価が大きく動くこともありますので、先回りの買いが入っているようにも見えます。


全体の地合いが良い時には、決算発表前の銘柄に期待買いが入ることはあります。ただ、期待通りの決算になるかどうかは分かりませんし、先んじて上昇した場合、良好な内容でも発表後には利益確定売りに押されることもありますので、注意は必要です。決算発表前に大きな動きが出てきただけに、実際に決算を確認した後も振れ幅が大きくなる可能性があります。


キユーピーの上場来高値は2024年7月につけた3896円です。3200円~3300円レベルでもみ合った後、7月に入って3500円台まで水準を切り上げており、上場来高値も射程圏内に入ってきました。


値上げが実施されるのは2025年9月以降となりますので、売上高の大きな落ち込みがなければ、先々では利益面での貢献が期待できます。そういった期待を背景に、高値更新の動きが見られるかどうかが注目されます。






日本株情報部 アナリスト

小松 弘和

証券会社、外資系生命保険会社、大手出版社マネーサイトの株式分析アナリスト、FX会社勤務を経て2014年に入社。金融全般に精通。2級FP技能士。 「トレーダーズ・プレミアム」では、「個別株戦略」「Market Flash」などのコンテンツやニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 日経CNBC「朝エクスプレス『証券中継』」(隔週金曜)、株主手帳「街の専門家『今月の相場見通し』」、週刊現代、日経マネー、ダイヤモンド・ザイ、ビジネスマンの人生逆転マガジン「Ambitious」、完全ガイドシリーズ「株 完全ガイド」

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