公開価格割れ銘柄を初値で買っていたら儲かったのか?~2019年編~

IPOにおいて初値が公開価格を下回った(公開価格割れ)銘柄を、初値で買っていたら儲かったのかを検証してみます。今回は新型コロナウィルスの感染が全世界に拡大する前となる2019年を対象とします。



2019年の公開価格割れ銘柄は8社

2019年に上場し公開価格割れとなった8銘柄(地方単独上場やリート、インフラファンドは除く)の上場時の株価と直近の株価(2024年7月17日の終値)を比較したいと思います。吸収資金の多い順にみていきます。なお、分割している銘柄については分割を遡及修正しています。



メドレー(4480)吸収資金:205.7億円

初値1270円→直近株価4455円

ヘルスケア領域向け成果報酬型人材紹介が主力のメドレーは、2019年12月12日に東証マザーズに上場しました。

公開価格1300円に対し初値は1270円となり、公開価格割れ。足元の株価は4455円(7月17日終値)と初値に対し3.5倍となっています。


SREホールディングス(2980) 吸収資金:136.7億円

初値2475円→直近株価5340円

AIクラウド&コンサルティング事業やライフ&プロパティソリューション事業を行うSREホールディングスは、2019年12月19日に東証マザーズに上場しました。

公開価格2650円に対し初値は2475円となり、公開価格割れ。足元の株価は5340円(7月17日終値)と初値に対し2.2倍となっています。


BASE(4477) 吸収資金:108.0億円

初値242円(分割考慮前1210円)→直近株価276円

個人、小規模事業者向けECプラットフォーム「BASE」を運営するBASEは、2019年10月25日に東証マザーズに上場しました。

公開価格260円(分割考慮前1300円)に対し初値は242円(分割考慮前1210円)となり、公開価格割れ。足元の株価は276円(7月17日終値)と初値に対し14.0%高となっています。


ステムリム(4599) 2019/08/09 吸収資金:96.6億円

初値930円→直近株価472円

再生誘導医薬の研究、開発、製造、販売を行うステムリムは、2019年8月9日に東証マザーズに上場しました。

公開価格1000円に対し初値は930円となり、公開価格割れ。足元の株価は472円(7月17日終値)と初値に対し49.2%安となっています。


HPCシステムズ(6597) 2019/09/26 吸収資金:63.7億円

初値1870円→直近株価1244円

科学・工学向け高性能コンピューターのソリューション提供を行うHPCシステムズは、2019年9月26日に東証マザーズに上場しました。

公開価格1990円に対し初値は1870円となり、公開価格割れ。足元の株価は1244円(7月17日終値)と初値に対し33.5%安となっています。


ダブルエー(7683) 2019/11/01 吸収資金:48.5億円

初値2340円(分割考慮前4680円)→直近株価2342円

婦人靴の製造小売りを日本と中国、香港で展開するダブルエーは、2019年11月1日に東証マザーズに上場しました。

公開価格4690円(分割考慮前2345円)に対し初値は2340円(分割考慮前4680円)となり、公開価格割れ。足元の株価は2342円(7月17日終値)と初値に対し0.09%高となっています。


kubell(旧社名Chatwork)(4448) 吸収資金:23.2億円

初値1480円→直近株価482円

ビジネスチャットツールの開発・提供やセキュリティーソフトの販売を行うkubellは、2019年9月24日に東証マザーズに上場しました。

公開価格1600円に対し初値は1480円となり、公開価格割れ。足元の株価は482円(7月17日終値)と初値に対し67.4%安となっています。


KHC(1451) 2019/03/19 吸収資金:15.0億円

初値832円→直近株価740円

注文建築・分譲など事業子会社を有する持株会社であるKHCは、2019年3月19日に東証2部に上場しました。

公開価格850円に対し初値は832円となり、公開価格割れ。足元の株価は740円(7月17日終値)と初値に対し11.1%安となっています。



まとめ

勝敗としては4勝4敗の引き分けですが、仮にすべての銘柄に均等の金額を投資していたとすれば、メドレーとSREHDの値上がり幅が大きいことにより、かなりのプラス収支となりました。まとめると以下となります。



今回の結果では、吸収金額が大きい銘柄の好調さが目立ちました。「吸収金額が大きい銘柄は公開価格割れとなってもその後に株価が上昇する」という傾向があるのかどうか、2019年以外も検証が必要と考えます。引き続き、公開価格割れ銘柄を初値で買っていたら儲かるのかを調査していこうと思います。



日本株情報部長

河賀 宏明

証券会社、事業会社におけるIR担当・経営情報担当、FPや証券アナリスト講師などを経て2016年に入社。 金融全般に精通。証券アナリスト資格保有。 「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別株を中心としたニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 株主手帳、日経CNBC「朝エクスプレス」、日経マネー

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