2024年秋は物価高+猛暑+トランプで食材が高騰する?

2024年7月18日、関東地方を含む多くの地域で梅雨明けが発表されました。ウェザーニュースによると、2024年の夏は全国的に平年より高く、観測史上もっとも暑くなった2023年に匹敵する恐れがあります。最高気温35℃以上や、場所によっては40℃に迫る酷暑の可能性もあります。ふと気づいたのは物価高の現在、ここに酷暑による農作物の生育不足が重なれば、著しい食材高騰の可能性があるのではという点です。実際に一部のスーパーなどでは、米の在庫が減少してきているとの報告もあります。



酷暑のあとに懸念される食材の高騰

ここ数年の尋常ではない暑さのあとは、食材の高騰が懸念されます。ここ数年、「〇〇が高い!」というトピックになった食材はトマト・白菜などです。


食費は生活の根本であり、自炊するにしろ外食するにしろ、家計への影響は著しいものです。総菜を含む外食費はこれまで企業努力で対応し、消費者には影響しないという考えが主流でしたが、最近は様々な企業で値上げが発表されるなど、流れも変わってきています。


2023年から2年続けて酷暑となれば、早ければ9月前後からの食材高騰は目に見える形になるでしょう。スーパーマーケットで「あれ、この食材高くなってきたな」と気づく場面が増えてくると考えられます。


家計を苦しめるのは酷暑の影響だけではありません。現在の日本は物価上昇が進行しています。客観的な統計を見てみましょう。


IMFが立証する日本の物価上昇


 


出典:World Economic Outlook Database October April 2024 Edition(IMF)


こちらの統計は、IMF(国際通貨基金)による日本の物価推移です。この統計を見ると、日本において2022年からの物価上昇は統計的にも証明されていることがわかります。1日の食費が2000円ならば2%の40円前後が上昇している計算です。実生活からすると、「それぐらいしか上がっていないのか」という感想でしょうか。


なお2021年以前で物価上昇率がプラスとなっているのは2014年と2019年です。それぞれ消費税が5%から8%、8%から10%と増税した時期です。世の中が物価上昇基調ではなくとも、消費税はプラスの効果があることは知られていますが、詳しくは解明できていないようです。


2022年から消費税は現行の10%のままであるため、現在に向けて物価上昇が続いていることは間違いないでしょう。この状況は政府や中央銀行(日本銀行)が目指していたものです。物価上昇の側面として各企業の売上や給与が上がることで、国民の生活が豊かになることを想定しています。



トランプはこの状況下で追加関税をかけてくる?

これだけでも秋以降の生活に懸念が重なりますが、2024年には見通さなければならない要素がもう一つあります。アメリカ大統領選挙です。


2024年7月現在、アメリカ大統領選挙の共和党候補者は、ドナルド・トランプ氏に決まりました。一方の民主党の現職であるジョー・バイデン大統領は、米大統領選挙から撤退する意向を表明し、ハリス副大統領を民主党の大統領選候補として支持するとしています。


仮にトランプ氏が大統領に返り咲いた場合、日本を含む諸外国からの関税を一律10%増額すると表明しています。アメリカに対する輸入業は大きな打撃を受けるでしょう。トランプ氏と日本の政治家との関係性は決して悪くはないですが、経済は別物です。


対する日本も関税の設定権があります。アメリカが高い関税を設定したから、即座にアメリカ→日本の輸入物にも同等の関税がかかるものではありません。ただトランプ政権が関税を含む保護主義を推進するようであれば、日本を含む相手国も黙って手をこまねいているとはならないはずです。トランプ氏が在任中に離脱し、バイデン政権も再加入をしていないTPPにも、状況改善の道筋は見えていません。


時期的なものとしてはタイムラグもあります。トランプ氏の就任は2025年1月以降です。2024年の秋の時点では、どれだけ選挙予測が一方的でも関税が増額することはありません。ただ、仮に食材の物価高が数ヶ月と続いた場合、アメリカに依拠している牛肉や小麦などは、我々の生活を更に苦しめることでしょう。


「可視化すること」に大きな意味

日銀が主導する物価政策とアメリカ大統領選挙です。家計レベルで懸念しても、状況を変えることは難しいでしょう。ただ、秋から物価が上がるから留意しなければと「状況の可視化」をすることだけでも大きな意味があります。家計だけではありません。牛肉や小麦を使ってビジネスを展開している企業は、原価高を今から想定し、可能な対策を打っていくことが可能です。恐いのは、実際に原価高が現れてから「大変だ」となり、その場しのぎの対策になってしまうことです。状況が変わるまでの数ヶ月の間に、可能な対策を進めていきましょう。


独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

株式会社FP-MYS 代表取締役 1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

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