米国株9月月間回顧　 ダウとS&P500が最高値更新

9月は主要3指数がそろって上昇　ダウとS&P500が最高値更新

9月の米国市場では、ダウ平均が1.85％高、S&P500が2.02％高とともに5カ月続伸し、ナスダック総合も2.68％高と2カ月続伸しました。8月に1.6％安となった小型株指数のラッセル2000も0.56％高と反発しました。

上旬は急落となりました。8月ISM製造業PMIなどの経済指標が予想を下回り景気後退（リセッション）懸念が強まったほか、エヌビディアなどの半導体株に売りが強まり、月初から大幅安でスタートしました。9月6日発表の米8月雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を下回ったことも下げ幅拡大につながりました。

中旬は上旬の大幅安で押し目買いが強まったほか、物価指標の鈍化が好感されて大幅反発となりました。11日の8月消費者物価指数（CPI）前年比+2.5％と前月の+2.9％から伸びが鈍化し、予想の+2.6％も下回り、12日の8月生産者物価指数（PPI）もおおむね予想通りとなったことで9月米連邦公開市場委員会（FOMC）での大幅利下げ期待が高まりました。

18日に結果が公表されたFOMCでは0.50％の大幅利下げが決定され、当日は利益確定売りが優勢となりましたが、翌19日は大幅利下げがあらためて歓迎されたほか、新規失業保険申請件数が予想を下回る強い結果となり、ソフトランディング期待が高まったことも支援となりました。

下旬もFOMCでの大幅利下げを好感し、堅調相場が続きました。9月S&Pグローバル製造業PMI速報値や9月消費者信頼感指数の悪化を受けてリセッション懸念が強まりましたが、予想を上回る決算や強い見通しを発表したマイクロン・テクノロジーが急伸し、半導体株が軒並み上昇したことや、強い結果となった新規失業保険申請件数などを受けてソフトランディング期待が再び高まったほか、米連邦準備理事会（FRB）がインフレ指標として注視する8月個人消費支出(PCE)価格指数が予想を下回る伸びとなり、追加利下げ期待が一段と高まったことも支援となりました。

ダウ平均は16日に約半月ぶりに取引時間中の史上最高値を更新すると、27日まで8日間で最高値を更新しました。終値でも16日から月末までほぼ連日で過去最高値を更新しました。

S&P500も17日に約2カ月ぶりに取引時間中の史上最高値を更新すると、26日までほぼ連日で最高値を更新。終値でも19日から月末までの5日間で最高値を更新しました。

ハイテク株主体のナスダック総合は8月に高値から10％超下落し「調整相場」入りとなりましたが、史上最高値まで2.58％に接近して9月の取引を終えました。

セクター別では8セクターが上昇し、3セクターが下落

S&P500の11セクターは、9月は8セクターが上昇し、3セクターが下落となりました。

月間騰落率上位は、一般消費財が7.0％高と大幅反発し、公益は6.4％高と大幅に3カ月続伸しました。コミュニケーションも4.5％高と2カ月続伸し、資本財は3.3％高と3カ月続伸となりました。このほか、不動産、IT、素材もS&P500（+2.0％）をアウトパフォームしました。

一方、月間騰落率下位は、エネルギーが2.8％安と2カ月続落し、ヘルスケアが1.8％安と5カ月ぶりに反落し、コミュニケーションも0.7％安と3カ月ぶりの反落となりました。

ダウ平均採用銘柄は19銘柄が上昇し、11銘柄が下落

ダウ平均採用銘柄は、9月月間で19銘柄が上昇し、11銘柄が下落しました。

FRBの大幅利下げを受けて住宅リフォーム需要の拡大見通しを背景にホームセンター大手のホーム・デポが月間で10.0％高となり、52週高値を更新したほか、建機大手のキャタピラーは、8月上旬に発表し第2四半期決算を好感する流れが続いたほか、下旬の中国の景気刺激策も好感し9.8％高となり上場来高値を更新しました。IBMも人工知能（AI）関連部門の成長期待から9.4％高となり連日で上場来高値を更新しました。

一方、業績悪化見通しやアナリストの目標株価引き下げが嫌気されたボーイングが12.5％安となり52週安値を更新したほか、JPモルガン・チェースもダイモン最高経営責任者（CEO）が米国経済の先行き見通しに懸念を示したことで6.2％安となりました。