2024年11月22日、三菱UFJ銀行は元支店管理職の行員が貸金庫から顧客の資産を盗んでいたことを発表、謝罪しました。
「銀行の貸金庫がだめならどこに預ければ良いの?」「大事な書類や財産はどうやって保管すれば良いのか」と疑問を抱く方も多いでしょう。
重要な書類や財産は、資産運用と同様に「分散」して保管することでリスクを軽減できます。
また、遺言書は法務局に預けると家庭裁判所の検認が不要というメリットがあります。
今回は三菱UFJ銀行で起きた事件と、財産や重要書類の保管方法、注意点について解説していきます。
三菱UFJ銀行で行員が貸金庫から顧客の財産を盗む事件が。被害額は10数億円に上る
2024年11月22日、メガバンクの1つ三菱UFJ銀行は、元支店管理職の行員が貸金庫から顧客の資産を盗んでいたことを発表し、謝罪しました。
元行員は自身の行為を認めており、既に懲戒解雇の処分が下りました。
練馬支店(旧江古田支店を含む)、玉川支店にある貸金庫を契約する顧客のうち、約 60 名が被害に遭い被害総額は時価10数億円程度と言われています。
さらに三菱UFJ銀行は、同行の貸金庫取引を装ったメールを送付し、偽サイトに誘導し個人情報を取得するフィッシング詐欺の報告を受けていることを発表し注意喚起を行っています。
参照:三菱UFJ銀行HP
そもそも金融機関の貸金庫とは?
貸金庫は、銀行にある金庫を有料で貸すサービスです。
預金通帳・印鑑などを始め、貴金属や宝飾品、不動産関連の書類などを預けられます。
遺言書やアルバム、思い出の品物を預ける方も存在します。
貸金庫の開閉は専用カード・鍵・暗証番号などで行いますが、上記のような事件が起きると不安になる方もいらっしゃるでしょう。
今回の事件は前代未聞の出来事で、遭遇する確率は低いと思われますが不安な方は「分散」して財産や大事なものを保管してみてはいかがでしょうか。
財産・大事なものの保管方法3つ
遺言書は法務局に保管する
自宅の金庫
民間の保管サービスの利用
1.遺言書は法務局に保管する
遺言書は、大きく分けて自身で書いた自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
公正証書遺言は、公証役場で公証人立ち会いのもとで作成します。公正証書遺言は原則20年間、公証役場で保管してもらうことが可能です。
自筆証書遺言は、公証役場に出向くことなく自身で作成できるというメリットがありますが不備が発生してしまう、保管場所に困るというデメリットがあります。
法務局の保管制度を利用すると、改ざんの恐れがなく家庭裁判所の検認が不要です。
作成にあたっては、弁護士など専門家に相談することで、不備の可能性が低くなるでしょう。
手数料は遺言書1通につき3,900円で、士業の事務所など民間のサービスに比べコストがおさえられます。
2.自宅の金庫
貴金属や不動産の重要な書類などは、自宅の金庫に保管する人も多いでしょう。
自宅の金庫は貸金庫のように、平日の所定時間内に金融機関に出向く必要はありません。
しかし、家に強盗が入った際に金庫をこじ開けられ盗難されるリスクや金庫ごと奪われる可能性があります。
3.民間の保管サービスの利用
士業の事務所や貴金属を取り扱う企業、民間の書類・文書保管サービスなどを利用して保管を依頼する方法です。
金融機関の貸金庫と同様に、社員が不正を行う可能性はありますが、金融機関を含め複数の保管サービスを利用することでリスクの軽減が見込めます。
「デジタル遺産」に注意を
近年、ネットバンクやネットの証券会社を利用する人が増えインターネット上の相続財産である「デジタル遺産」も増加傾向にあります。
デジタル遺産は、現物の遺産と比べ相続人が把握しづらく、後から遺産が見つかり相続税の追徴課税をされるという事例もあります。
心配な方は、自身にもしものことがあった場合を考えエンディングノートを作成しておきましょう。
エンディングノートの形式は自由です。デジタル遺産を含め財産の保管場所や金額などを記載しておきましょう。
財産のことだけではなく、「事故などに遭った場合延命措置をするか」など医療上の措置についても記入が可能です。
まとめ
重要な書類や大事な財産は、分散して保管することで事故・事件に遭った時のリスクを軽減できます。
インターネット上の資産も含め、改めて保管方法を見直してみましょう。