近年増加する企業の炎上事例と投資家の取るべき対策とは

近年SNSなどを通じて企業が「炎上」し、株価に悪影響を与える事例が増えています。

特に2024年の年末には、靴下メーカー、菓子メーカー、求人アプリ運営企業の「炎上」騒動がありました。

2025年1月30日現在は、フジテレビと中居正広さんのニュースが話題になっています。


今回は2024年の年末に起きた企業の炎上事例3つ、個人投資家が取るべき対策を解説していきます。


2024年の年末に起きた企業の炎上事例3つ


某靴下メーカーのSNS投稿が炎上

某菓子メーカーの炎上で不買運動が

某求人アプリの2つの炎上



1.某靴下メーカーのSNS投稿が炎上

2024年12月に、某靴下メーカーがX(旧Twitter)の公式アカウントで不適切な投稿を行ったことが問題視されました。


投稿した社員は、SNSユーザーが「(メーカーが)破れないストッキングを作れるのに、売るために穴が開くストッキングを作っていると聞いた」という旨の投稿が話題になったことに反応しています。


「何回も言うけど、破れないストッキングは都市伝説、陰謀論の領域です。」「工場さんもよく言います。『そんな繊維でストッキングとか靴下作ったら、指飛ぶで?』っと。」


上記の投稿にネットユーザーからの批判が相次ぎ、後日靴下メーカーは「従業員のSNSにおける不適切投稿に関するお詫び」を投稿しています。


今回のように、SNSによる企業のブランディングやイメージ向上が目的であるにもかかわらず逆に「炎上」してしまうパターンが近年多く見られます。


特にストッキングは、多くの場合女性が仕事や冠婚葬祭などで履かなければならないものですので「女性に寄り添った対応」が適切と思われます。この投稿が炎上した理由の1つに、筆者は「女性のストッキングへの不満」が根底にあると考えています。筆者も女性ですが、個人的にストッキングは好んで履きたいものとは決して言えず、消耗品としては値段が高い印象を抱きます。


なお、同社の株価はその後下落したものの、12月後半には回復しています。


2024年10月には、女性下着メーカーのジェンダー問題をめぐる炎上騒動もありました。

ジェンダーの問題はセンシティブな対応が必要になりますので、企業の客層が男女どちらかに偏っている場合は公式のSNSをチェックしてみましょう。



2.某菓子メーカーの炎上で不買運動が

2024年12月に某菓子メーカーのインド人の代表取締役会長兼CEOが「日本経済が高度成長期の栄光を取り戻すためにはマインドセット(考え方)を変え、より多くの移民を受け入れる必要がある」という考えを示しました。


この発言に、ネットユーザーが反発し不買を呼びかける運動が起こりました。

そして同社の子ども向けのお菓子から、基準値を超えるカドミウムが検出されたと台湾の衛生福利部食品薬物管理署(FDA)が発表します。

しかし、菓子メーカーは「日本国内の基準値は下回っていることから、国内での商品の回収などは検討していない」という見解を示しました。

台湾と日本の基準値が異なることから、炎上がさらに加速してしまったことが予測されます。


「政治・宗教・野球の話はタブー」と言われますが、この発言は政治色があり外国人のCEOが発言したことから炎上につながったのではと推測します。


特に大企業は、経営陣が政財界と関わりを持つパターンが少なくありません。

投資を検討する方は、普段から企業の経営者の発言もおさえておきましょう。



3.某求人アプリを運営する企業の2つの炎上

2024年11月1日に、経済ドキュメンタリー番組で某求人アプリを運営する企業が取り上げられました。

放映の直前に同社の広報担当者が、Xにて「IPO前から仕込んできました『○○(番組名)』が今晩放送です」と投稿します。


「仕込み」という表現は宣伝と気づかれないように広告をする「ステルスマーケティング」が疑われ、SNSで炎上に発展してしまいました。

2023年10月1日から、ステルスマーケティングは景品表示法違反として規制の対象となっています。


同時期に同社は運営する求人アプリが、犯罪に加担する「闇バイト」などが疑われる求人をあらかじめ確認することなく掲載されていたとして批判を浴びました。

その後、同社は求人に応募できない措置をとり、掲載前に全ての求人内容をチェックすることを発表しました。


この会社は炎上後に株価が下落しましたが、12月には回復基調にあります。



企業の「炎上」と個人投資家の取るべき対策

ここまで企業の炎上を振り返ってきましたが、炎上した企業の株価はいったん下落するもののその後回復する傾向にあります。

よって顧客に損害を与える重大な不祥事と比べるとダメージは少ないと思われますが、「炎上」によって個人投資家の気持ちが離れてしまうこともあるでしょう。

そして「炎上が作為的に拡散され、株価が下落した時に海外ファンドが株を購入している」疑惑がある、という報道もあります。


「炎上」企業を回避するためには、企業のSNSや経営陣の発言をチェックする、不祥事を起こした企業は慎重に検討するなどの対策を取ることをおすすめします。


ファイナンシャル・プランナー/ライター

田中 あさみ

大学在学中に2級FP技能士の資格を取得。会社員を経て独立し、金融・投資・相続・法律などの記事を執筆している。 自身でも米国株やETF・投資信託等を運用中。

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