イラン情勢に振り回され…
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2026年4月30日9時頃、対円では前週(7日前)比2.6%安の1215万円前後で取引されています。BTCドルが7万5700ドル台で推移。ドル高が進行しているため、こちらは前週比3.4%安での値動きです。
依然としてイラン情勢に振らされる展開が続いています。米イラン和平協議の再開期待が後退した週末25-26日には、BTC円は、数日前に1270万円に迫るかと思われた水準から1230万円手前まで反落しました。BTCドルも8万ドルの手前から7万7200ドル前後まで売り戻されました。
もっとも、最悪期を脱したとみていた株式市場は、企業決算なども背景に上昇。日経平均は6万円に乗せて、過去最高値を更新しました。リスク志向ムードの強まりとともにBTCも再び買いが強まると、対円では1267万円台、対ドルで7万9500ドル近辺まで切り返します。
しかしながら、米政権はイラン側の提案を拒否し、トランプ米大統領は海上封鎖の長期化も示唆。原油先物が急騰し、インフレ懸念から米長期金利が上昇しました。リスク回避に一気に傾き、BTC相場も水準を落としました。

※Trading Viewより
戦略的な予備資産化へ
中東の不安定さに影響を受けるということは、ビットコインが既存の金融秩序に組み込まれることで生じるリスクを浮き彫りにしています。そういった中でも、国家の準備資産や決済インフラとしての実務的な転換期を迎えたとするニュースが、この1週間は目立ちました。
ラスベガス「Bitcoin 2026」におけるSECやFBI幹部の登壇は、これまでの規制一辺倒な姿勢からの転換を示唆しました。注目すべき一つは、米政府が保有する約20万BTCを「戦略的予備資産」へ転用する計画でしょう。
これは単なる業界への歩み寄りという訳ではなさそうです。暗号資産を「国防インフラ」と再定義することで、分散型ネットワークを実質的に国家の管理下に置く狙いが見えます。技術革新の保護という名目の裏で、ビットコインを自国の金融的な優位性維持に利用しようとする、米当局の現実的な判断です。

※Trading Viewより
チェコやサウジアラビアでも…
米国の動向に呼応し、チェコ国立銀行総裁が外貨準備の多様化としてビットコイン保有を支持しました。サウジアラビアでも政治レベルでの検討が始まっており、ビットコインは金(ゴールド)に類する「戦略的備蓄」としての評価を確立しつつあります。
背景にあるのは、既存の制裁網や通貨リスクを回避したいという地政学的なニーズです。しかし、国家という巨大なプレーヤーの参入は、価格形成を純粋な市場原理から乖離させる可能性があります。今後は国家間の政治的な動機が相場に介入する、不安定な構造に変質するかもしれません。
「透明化」の加速
実務面では、南アフリカでの決済網拡大や米「GENIUS法」によるステーブルコインの法整備など、日常利用の土壌が整いつつあります。利便性と法的信頼の両輪が揃ったことは、一般普及において決定的な意味を持つでしょう。
一方で、この普及は「徹底した取引の透明化」と引き換えです。法整備によるコンプライアンスの徹底は、かつて暗号資産が備えていたプライバシーの側面を削ぎ落としているのは事実です。決済としての「使いやすさ」が向上するほど、ネットワークは国家の監視網と一体化していくことになります。
セキュリティ、依然として問題が…
市場が国家レベルへ拡大する一方で、システム自体の脆弱性は克服できたとは言えません。2026年4月の不正流出額は6億2000万ドルを超え、史上3番目の規模に達しました。特にDeFiにおける技術的欠陥を突いた攻撃が続いており、防御の構築が市場の膨張スピードに追いついていません。
規制当局が「安全な利用」を強調する傍らで、巨額の資金が流出し続けている事実は、今後の普及における最大の懸念材料です。機関投資家の参入で資金の集積が進むほど、攻撃者にとって標的としての価値は高まってきました。国家が重要な資産を預けるインフラとしては、信頼性の欠如は致命的でしょう。
※今週のまとめ 





