ここ1~2年の株式市場では、堅調な株価推移となる銘柄がずっと強い状況です。AI投資ブームということもあり、日本株で特に上昇が強いのは半導体関連、電線関連、データセンター関連などが挙げられますね。
今後も上昇が続くと見込んで右肩上がりの銘柄を買うのは、一般的に「順張り」と言います。ただ、緩やかに上昇していくものと思いきや、滝登りのように高騰することが珍しくありません。
上昇しつつ値動きも大きい銘柄は、値上がり率ランキングや売買代金ランキングの上位にきます。投資家の目に留まりやすいので、とりあえず儲かりそうだから買ってみるといったノリと勢いによる資金集中も起きやすくなります。強い銘柄がとことん買われていく、いわゆるモメンタム株のできあがりです。
モメンタム株とは
モメンタムとは、もともと物理学の用語で「運動量」を意味します。動いている物体はそのまま動き続けようとする慣性の法則と同じように、株式市場でも「上昇している銘柄はさらに上昇しやすく、下落している銘柄はさらに下落しやすい」という傾向があります。この価格トレンドの継続性を投資に活用する考え方が、モメンタム投資です。チャートを見ると、前述のように順張り投資の極致のような状態であることが多いです。
相場の世界では、モメンタムは大きく二つの視点でとらえられています。一つは「価格モメンタム」で、過去一定期間(半年や1年)にわたって株価が強く上昇してきた銘柄を選別する手法です。もう一つは「業績モメンタム」で、売上高や利益が連続して上方修正されるなど、企業の業績が加速度的に改善している状態を指します。
昨今のAI関連株は価格モメンタム、業績モメンタムのいずれにも該当しており、株価の勢いが良い、業績も良い、というように隙がありません。売る理由がなければ買うしかないというのも、AIラリーが続く要因と言えます。
どのような銘柄がモメンタム株になったか
過去を振り返ると、時代ごとの成長テーマと重なる形でモメンタム株が生まれてきました。例えば、2010年代を代表するのはGAFAM(Google・Apple・Facebook・Amazon・Microsoft)に代表される米国テック株です。このころから大勢がスマホを持ち始め、SNSやECを使うのが一般的になってきましたよね。まだエヌビディアがマイナーな時期です。

国内でもその時を映すようにモメンタム株化する銘柄があります。例えばコロナ禍では情報通信系の成長株が買われ、特にSaaS(Software as a Service)が注目されました。今ではAIの台頭によりSaaSの死が懸念される状況ですが、過去は個人投資家からの絶大な人気があったのは事実です。
SaaSの一例(フリー:4478)

2024年~25年のモメンタム株(サンリオ:8136)

2025年~現在のモメンタム株(キオクシアHD:285A)

ここで挙げたのは一例で、三菱重工業<7011>などの重工株もモメンタム株化した時期がありました。
モメンタム投資の注意点
モメンタム投資は勢いのある銘柄についていくので、人気が続く限り高パフォーマンスとなりやすい手法です。ただ、どのような銘柄であっても終わりを迎える時は来るため、引き際が最も重要です。
安値で買って高値で売ることは困難です。ラッキーもありますがこれを持続することはプロでも不可能なので、ある程度の含み益を確保できたら欲張らずに手じまいすることが鉄則と言えます。言葉に出すのは簡単ですが、何をもって売り時とするのかはっきりしたことは分かりません。昨日まで強気だったのに、急変動を受けた途端に弱気になるのが相場です。

過熱感を図るには、PER(株価収益率)やPSR(株価売上高倍率)といったバリュエーション指標、移動平均線やMACDといったテクニカル指標などがあります。モメンタム株はこれらを無視して買われるケースも多いので、なんとなく不安になってきたら売り時とするのが良いのかもしれません。「頭と尻尾はくれてやれ」という格言が適切に思います。





