【米国株インサイト】業績上振れ銘柄:パランティア、「AI革命の中心」で成果

パランティア・テクノロジーズ、米国の民間部門が好調

パランティア・テクノロジーズ(PLTR)が発表した2024年10-12月期決算は売上高が前年同期比36.0%増の8億2800万ドル、純利益が15.4%減の7900万ドルとなりました。調整後EPS(1株利益)は0.14ドルで、LSEGがまとめた市場予想の0.11ドルを26.5%上回っています。


株価連動型報酬という一過性の費用が2.1倍の2億8200万ドルに膨らみ、純利益が2桁減となりましたが、特別要因を除く調整後営業利益が77.9%増の3億7300万ドル、調整後純利益が80.3%増の3億4200万ドルと大きく伸びています。アレックス・カープ最高経営責任者(CEO)は「目覚ましい業績は我々が人工知能(AI)革命の中心に位置することを示している」とコメントしました。


米国事業の売上高が52%増の5億5800万ドルと好調でした。民間部門が64%増の2億1400万ドル、政府部門が45%増の3億4300万ドルとそろって急拡大しています。


2024年12月通期決算は売上高が前年比28.8%増の28億6600万ドル、純利益が2.2倍の4億6200万ドルです。特別要因を除く調整後営業利益が78.3%増の11億2800万ドル、調整後純利益が75.3%増の10億200万ドルとやはり急増しています。


パランティアが発表した業績予想によると、2025年1-3月期の売上高は8億5800万-8億6200万ドル、調整後営業利益が3億5400万-3億5800万ドルです。2024年1-3月期の実績は売上高が6億3400万ドル、調整後営業利益が2億2600万ドルだったので、ともに大きく伸びる見通しです。


一方、2025年12月通期の業績予想は、売上高が37億4100万-37億5700万ドル、調整後営業利益が15億5100万-15億6700万ドルです。米国の民間部門売上高の下限は54%増の10億7900万ドルで、引き続き民間部門が成長エンジンになると予想しています。



ファイザー、コスト抑制で24年10-12月期に黒字転換

ファイザー(PFE)が発表した2024年10-12月期決算は純利益が4億1000万ドルとなり、33億6900万ドルの純損失を計上した前年同期から黒字に転換しました。売上高が前年同期比21.9%増の177億6300万ドルに伸びる中、コストの抑制が寄与しました。調整後EPS(1株利益)は0.63ドルで、LSEGがまとめた市場予想の0.47ドルを33.8%上回っています。


新型コロナウイルスのワクチンと治療薬に振り回されてきた過去数年の事業環境が落ち着き、業績の改善につながりました。コロナ関連ビジネスの急激な縮小から脱却し、コスト抑制を推し進めた成果が出た格好です。


実際、新型コロナワクチンの「コミナティ」の売上高は36.9%減の33億8300万ドルに落ち込みましたが、治療薬の「パキロビッドパック」が7億2700万ドルを計上しました。会計処理上の問題もあり、新型コロナ関連全体では増収となっています。



コストでは売上原価が21.9%減、販売管理費が6.6%減、リストラ・買収費用が70.8%減と大幅に圧縮したことで利幅が広がっています。研究開発費は7.8%増えましたが、増収率を大幅に下回っています。


2024年12月通期決算は売上高が前年比6.8%増の636億2700万ドル、純利益が3.8倍の80億3100万ドルでした。「コミナティ」の売上高は半減しましたが、アミロイドーシス治療薬の「ビンダケル」、静脈血栓塞栓症治療薬の「エリキュース」などに加え、2023年12月に買収したシージェンのがん治療薬の販売が伸びました。


ファイザーが発表した2025年12月期の業績予想は売上高が610億-640億ドル、調整後の販売管理費が133億-143億ドル、調整後の研究開発費が107億-117億ドル、調整後EPSが2.80-3.00ドルです。2024年12月に発表した予想を据え置いています。



フォックス、大統領選加熱で政治広告の出稿が増加

フォックス(FOX)が発表した2024年10-12月期決算は売上高が前年同期比19.9%増の50億7800万ドル、純利益が3.4倍の3億7300万ドルでした。調整後EPS(1株利益)は0.96ドルで、LSEGがまとめた市場予想の0.67ドルを44.3%上回っています。


秋のスポーツ放送に加え、大統領選挙のニュース報道が10-12月期の好業績に結びつきました。ケーブルテレビや衛星放送から受け取るアフリエイト収入が6.3%増の19億ドル、広告収入が21.0%増の24億2200万ドルに伸びています。大統領選挙戦の加熱に伴う政治広告の出稿増加やメジャーリーグ・ベースボール(MLB)のポストシーズンの視聴率上昇などが寄与しました。


短期的に注目されるのはフォックスが2月9日(日)に放送するアメリカンフットボールの最高峰プロリーグ・NFLの王座決定戦である「スーパーボウル」です。フォックスのラクラン・マードック最高経営責任者(CEO)は「記録的な価格で広告枠が売れた」と話しており、単価が注目されています。


一方、フォックスは、ストリーミング方式の動画配信サービスを開始する計画も明らかにしています。エンドユーザーである消費者に直接サービスを提供するダイレクト・トゥー・コンシューマー(DTC)事業です。2025年末までに始めると表明しています。



リジェネロン、初の四半期配当を発表

リジェネロン・ファーマシューティカルズ(REGN)が発表した2024年10-12月期決算は売上高が前年同期比10.3%増の37億8900万ドル、純利益が20.9%減の9億1800万ドルでした。非GAAP(米国会計基準)のEPS(1株利益)は12.07ドルで、LSEGがまとめた市場予想の11.28ドルを7.0%上回っています。


製品別の販売額では、アトピー性皮膚炎や喘息の治療薬で仏サノフィと共同開発した「デュピクセント」が15.0%増の36億9800万ドルと好調でした。サノフィ協力事業の売上高が22.1%増の12億1300万ドルに伸び、売上比率も高まっています。


このほか眼疾患の治療薬「アイリーア」の販売額が2.3%増の14億9500万ドルと小幅ながら伸び、がん治療薬の「リブタヨ」は50.5%増の3億6700万ドルに急拡大しています。


リジェネロン・ファーマシューティカルズは、1株当たり0.88ドルの四半期配当を発表しています。四半期配当を出すのは初めてです。また、自社株買いの枠を拡大するなど株主還元を強化する方針を打ち出しています。


中国株情報部

島野 敬之

出版社を経て、アジアの経済・政治情報の配信会社に勤務。約10年にわたりアジア各国に駐在。 中国株二季報の編集のほか、個別銘柄のレポート執筆を担当する

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