景気動向指数には景気変動の大きさ、テンポ(量感)を測定するCI(コンポジット・インデックス)と、景気拡張が各経済部門へどのくらい波及するのかを測定するDI(ディフュージョン・インデックス)があります。
CIとDIは共通の全30指標を採用しており、30指標は「先行指数・一致指数・遅行指数」に分類されます。
CIやDI、各指標は景気や経済の動きを知る上で重要なものの1つです。
投資をする方は用語の意味や概要、景気動向指数の見方をこの記事で把握しておきましょう。
景気動向指数のCI、DIとは?
景気動向指数とは生産、雇用などさまざまな経済活動で重要となり、景気に敏感に反応する指標の動きを統合したものです。景気の現状把握や将来を予測するために毎月内閣府が公表しています。
景気動向指数にはCI(コンポジット・インデックス)とDI(ディフュージョン・インデックス)があります。
近年は景気変動の大きさや量感を把握することが重要になっていることからCIを中心に公表されています。
景気動向指数の30指標、先行指数・一致指数・遅行指数とは?
CIとDIは共通の全30指標を採用しており、30指標は「先行指数・一致指数・遅行指数」に分類されます。
採用系列の中には、完全失業率のように指数の上昇・下降が景気の動きと反対になる「逆サイクル」のものがあります。
指数の前月差がプラスになれば、CI遅行指数に対する寄与度のマイナス要因となり、逆に前月差がマイナスになればプラス要因となりますので注意しましょう。
先行指数で代表的なものは東証株価指数、新規求人数などです。
「実質機械受注統計」は、馴染みの無い方が多いかもしれませんが船舶・電力を除く民需の主要機械等製造業者を対象に機械受注の実績を毎月調査し、集計したものです。
製造業の企業が増産するためには機械を発注=設備投資が必要となりますので、機械受注が増えると将来的にメーカーの業績がプラスになると予測できます。ただし、金額が大きな案件や生産が複数月に渡って行われる場合でも契約のあった月に受注数が計上されますので、月次での受注額は振れ幅が大きい点に注意しましょう。
先行指数として重要であり、マクロ経済の代表的な指数と言えますので気になる方はチェックしてみましょう。
景気と一致して動くものとしては、有効求人倍率や営業利益などがあります。
企業の決算をチェックする際に、営業利益は現況と一致していることをおさえておきましょう。
遅行指数には、家計消費支出、消費者物価指数、完全失業率などがあります。
昨今インフレが進み消費者物価指数は上昇傾向にありますが、円安やウクライナ情勢などの影響を「遅く」受けた結果とみられています。
全30の指標は以下の通りです。
景気動向指数の見方
2025年3月10日に発表された景気動向指数2025年1月分(速報)を見てみましょう。
先行指数は、前月と比較して0.1ポイント上昇し108.0(2020年=100)となり、2か月連続上昇しました。ただし、3カ月後方移動平均は0.30ポイント下降、7か月後方移動平均は0.13ポイント下降し、8か月連続の下降となりました。
今回、先行指数のうち寄与度が高いのは「中小企業売上げ見通しDI」です。
中小企業売上げ見通しDIとは、中小企業の経営者を対象に業況判断・売上高・経常利益などについてヒアリングを行い、前年同期比または前期比で「好転」と回答した企業比率から「悪化」と回答した企業比率を引いた数値です。
全体として短期的には上昇傾向にあるものの、長期的には下降気味です。中小企業売上げ見通しDIは寄与度が大きいため、今後中小企業が伸びる可能性があります。
続いて一致指数を見ていきましょう。
一致指数は、前月と比較して0.1ポイント上昇しています。3カ月後方移動平均は横ばいです。
「景気動向指数 結果の概要」によると「景気動向指数(CI一致指数)は、下げ止まりを示している」と記載されています。
遅行指数は、前月と比較して2.0ポイント上昇し3カ月後方移動平均では0.77ポイントの上昇です。
最も寄与度が高いものは法人税収入ですが、還付金が含まれています。
一致指数は下げ止まりを示していますが、先行指数は長期的に見ると下降しているため景気の見通しは「良いと言えない状態」と言えるでしょう。
まとめ
景気動向指数の用語解説や指標について、見方などを解説しました。
東証株価指数は先行指数ですので、予測するのは困難ですがCIや各指数をチェックしながら今後の動向を見守っていきましょう。