ブラックロック、調整後純利益が20%増
世界最大の資産運用会社、ブラックロック(BLK)が発表した2025年1-3月期決算は営業収益が前年同期比11.6%増の52億7600万ドル、純利益が4.0%減の15億1000万ドルでした。調整後EPS(1株利益)は11.30ドルで、LSEGがまとめた市場予想の10.14ドルを11.4%上回っています。
投資助言・管理の手数料収入が17.0%増の42億4400万ドルに達し、営業収益が順調に伸びましたが、人件費や運用費用、一般管理費、減価償却費などの増加が利益を圧迫しました。一方、無形資産の減価償却費などの特別要因を加減した非GAAP(米国会計基準)の調整後営業利益は14.5%増の20億3200万ドル、調整後純利益は20.2%増の20億3200万ドルと好調です。
2025年3月末時点の運用資産総額は11兆5839億ドルで、前年同期比で10.6%増えました。内訳は「iシェアーズ」ブランドを軸に展開する上場投資信託(ETF)が1.7%増の4兆3028ドルと着実に拡大しています。
個人投資家の運用資産は0.8%増の1兆229億ドルと小幅に増えています。トランプ政権の誕生を受けた投資家の警戒感や株価の乱高下を受け、株式が小幅に減る半面、債券投資が拡大しています。
年金、基金、財団、公的機関、金融機関などで構成する機関投資家向けのビジネスでも資産運用に占める株式の割合が小幅に低下し、債券投資の割合が上昇しています。全体の運用資産は1.1%減の5兆3277億ドルで、内訳はアクティブ運用が0.9%増の2兆1552億ドル、インデックス運用が2.4%減の3兆1725億ドルでした。
ラリー・フィンク会長蒹最高経営責任者(CEO)は業績発表資料で、「顧客との結びつきがかつてないほど強固になっている」とコメントしています。具体的な成果として買収効果を除く手数料収入の自律成長が6%に達し、2021年以降で最高になった点を挙げました。
オムニコム・グループ、売上高の自律成長率が3.4%と堅調
広告・マーケティング事業を手掛けるオムニコム・グループ(OMC)が発表した2025年1-3月期決算は売上高が前年同期比1.6%増の36億9000万ドル、純利益が9.7%減の2億8800万ドルでした。調整後EPS(1株利益)は1.70ドルで、LSEGがまとめた市場予想の1.62ドルを5.0%上回っています。
売上高は買収効果などを除く自律成長率が3.4%と堅調です。自律成長率は売上高の規模が大きいメディア&広告部門が7.2%に達し、けん引役になっています。、精密マーケティング部門は5.8%増とプラスでしたが、広報部門が4.5%減、ヘルス・ケア部門が3.2%減とマイナスになっています。
オムニコム・グループが決算資料で自律成長率に焦点を当てた背景には、大型の企業統合・買収(M&A)が控えているためとみられます。同社は2024年12月、大手広告会社の米インターパブリック・グループ(IPG)の買収で合意しました。
このM&Aが実現すれば世界最大級の広告会社が誕生します。オムニコム・グループは決算資料の中でM&Aが2025年下半期に完了するという従来の見方を維持しています。
ユナイテッド・エアラインズ、通期予想EPSを据え置き
ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス(UAL)が発表した2025年1-3月期決算は純利益が3億8700万ドルとなり、1億2400万ドルの純損失を計上した前年同期から黒字に転換しました。売上高は前年同期比5.4%増の132億1300万ドルです。調整後EPS(1株利益)は0.91ドルで、LSEGがまとめた市場予想の0.76ドルを20.2%上回っています。
国際線が好調で、大西洋路線のRASM(有効座席マイル当たり収入)が4.7%増、太平洋路線のRASMが8.5%増とそろって伸びています。旅行需要が復調する中、輸送能力を4.9%増強した効果が表れています。
決算発表時のガイダンスでは2025年12月通期の調整後EPSを11.50-13.50ドルと予想し、今年1月に発表した予想を据え置きましたが、景気後退時のシナリオとして7.00-9.00ドルの予想を新たに加えました。また、2025年4-6月期の調整後EPSについては3.25-4.25ドルと予想しています。